王妃の思惑
王妃がやって来たんだけど......
新入社員となる貴族の子息らと共に、王女セラフィアがやって来た。この事で信頼雑貨の面々も男爵も混乱していたのだが、そこにやって来たのは王妃クリステラと男爵夫人マリアンヌだった。
到着した2人を応接室に案内させ、社内見学していた一同も向かう。
◇◇◇
応接室~
「こちらにお邪魔するのは初めてでしたね」
ニコニコ顔でそう言う王妃。しかしそれを見たセラフィアは、下を向いて固まった。
「そ・れ・で。うちの王女は、どうして勝手な事するのかしらね?」
ああ、明らかにキレてますね。周りも声を出す事が出来ない。
「ご、ごめんなさい! 皆がここに来るって言うから寂しくなって」
「貴女は自身の立場を理解しなさい! 学院内なら構いませんが、外の社会は貴女を守ってくれませんよ!」
「ひっ、ご、ごめんなさぁぃ。もうしませんからぁ」
涙目で謝るセラフィア王女。充分反省している様だが、王妃は続ける。
「貴女の軽率な行動で、どれだけの人数が動かされるのか? その結果、どれだけのお金が掛かるのか? 貴女に何かあった場合に誰が処分されるのか? 考えなさい!!」
「まぁまぁ。王妃様、それぐらいになさって下さいな。セラフィア様も今回は軽率でしたが」
マリアンヌ男爵夫人から助け船が入る。王妃とは、よほど仲が良いのだろう。
「いえ、マリアンヌ。この子は甘やかされ過ぎました。頭のいい子ですから、考えなくこんな事はしないわ。そうよね? セラフィア」
「はい。私も将来の国を考えて、先進の技術を持つこの商会に興味を持ちました」
「それならば先に相談しなさい。私達だってその話を聞けば、考える事もあります」
「はい。私の軽率な行動で皆さんにご迷惑をお掛けしました。申し訳ありませんでした!」
そう言って頭を下げるセラフィア王女。執事と侍女が止めに入るが、王妃は言った。
「良いのよ! 例え王族であっても頭を下げるべき時は、下げる」
王族らしくない考え方だなぁと信頼雑貨の面々は思った。それは男爵や子息らも同じだったようだが。
「セラフィアの考えは分かりました。それなら私に考えがあります。貴女は今15歳。貴女は飛び級で卒業しましたから、本来であれば18歳までは学生なのよね。なら3年待ちます」
「えっと、お母様。お話が見えません。3年?」
「ふふふ。貴女は3年間ここで勉強しなさい。そしてこの国に必要な物を見極めなさい」
「王妃様! いけません! 国王様に何と申し上げれば良いのですか!」
執事の男性が必死に訴えたのだが、王妃は聞き入れない。
「構いません。国王には私から話します。セラフィアは頭脳明晰。将来は学者でも慣れるわよ」
王妃の言葉に周りは絶句。沢田と清水は頭を抱える。完全に巻き込まれたからだ。
「という事ですの。こちらの商会で、うちのセラフィアをよろしくお願いしますね」
「か、畏まりました。セラフィア様は責任をもってお預かり致します」
王妃の勢いに負けて沢田はそう返した。しかし問題もある。
「王女様をお預かりする事は了承致しますが、身辺の警護はこちらではできません。如何お考えでしょうか?」
今度は清水が発言する。流れ的に王女を預かるのは避けられないが、安全面に関しては保障出来ない。
「それについては、セバスとメリアをこのまま置いていきます。良いわね?」
セバスさんは執事の方。メリアさんは侍女の様だ。
「「畏まりました」」
「この二人は護衛としても優秀なのよ。元軍人ですから」
「成程、身辺については安心ですね。後は、王女様の待遇なのですが......」
「特別扱いは無しね。あくまでも貴方達商会の一員として3年間お願いします。それとセラフィア。伴侶も見つけて来て良いのよ」
「え?! そ、それは如何なのかしら? ですが3年間頑張ります!」
両手をグ-にしてフンスカ言ってるセラフィアは可愛らしいのだが、何気に爆弾発言をぶっこんでくる王妃。しかしこの事で新たな新入社員は、合計で6名と言う事になった。この後、沢田と清水は王妃と男爵夫人の案内をする事になった。残された新入社員と花崎は、とりあえず残りの見ていない部門を見学に回る。
◇◇◇
一通りの部門を見回った後、会議室に皆を案内し希望を聞くことにした。さて新たな社員達はどの部門を希望するのだろうか?
「さて、部門は見せたけど気になる事ややりたい物合ったかしら?」
「私は、『J-Style』の部門で働きたいです。お洋服が好きなので」
「セシルさん。貴女はそうなのね。後で担当者に引き合わせるわ」
「僕は販売部が気になります。人に物を売るなんて経験した事ないので」
「クオン君は、販売部ね。後で田村君に声を掛けておくわね」
「私も『J-Style』の部門にお願いします。セシルさんと同じで」
「メルエンダさんもそっちと。わかったわ」
「私は品質管理部門が気になりました。新たな物を作りあげてみたいです」
「ソラ-リさんは、品管と。後で岡田さんに声を掛けとくわ。ロイド君も一緒だよ」
「ロイド君も一緒なんですか? ひっさしぶりだぁ♪」
「俺は工場部門ですね。あの物作りの技術を学びたい」
「サダム君は工場部門ね。蓮見さんに声を掛けるとして、レビン君も居るわね」
「レビンの奴。やっぱりか。元気にしてるかな?」
「私は総務部門が気になります。何か新しい事を企画するって楽しそうです♪」
「セラフィア様は総務部ね。分かりました」
「あ、あのー。その様って言う呼び方はやめて欲しいです!」
「そう? わかったわ。じゃあ、セラフィアさん。これからよろしくね」
「はい! よろしくお願いします!」
「皆もこれからは新しい仲間。宜しくね!」
「「「「よろしくお願いします!!!!」」」」
こうして新たに6名。合計で9名の新入社員が入って来た。彼らがこの国を支えて行く人材に慣れる様、頑張って欲しい物だ。この様に速水が出ている間にこちらでも騒ぎがあったんだ。
さて、王都の速水は何をしているのだろうか?
何か王妃に丸め込まれた気がする。しかしまさかの王女まで期限付き社員に!
次話は速水君走り回るみたいです。




