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雑文ラノベ「王立魔法学校高等部の優等生」  作者: ぽっち先生/監修俺
王立魔法学校 魔剣総戦編
47/52

打ち上げパーティー

「やぁ、来たな。ちょっとこっちがごたごたしていたんでメイファンに・・へっ?」

ユリウス家のゲストハウスに着いた僕らは使用人たちにちょっとした驚きを味合わせた後、大広間へ案内された。そんな僕を見つけてジャックが声を掛けてきたけど、僕の隣にいる女性がメイファンだと気付いて彼もまた思わず言葉が止まったようだ。うんっ、今日はこれで二人目だ。本当に女の人って化けるよね。

「ジャック・イエーガー。今日はパーティーだから仕方がないけど、あまり私の側にいないでね。思わず手が伸びるかも知れないから。」

「ひゅ~っ!メイファンかよっ!どこのご令嬢かと思ったぜ!でも口ぶりは相変わらずだな。お陰で本当にメイファンだと確信したよ。まぁ、そう言わずに今日は楽しもう。なんだったらウチの戦場魔法部隊の隊長も呼ぶか?」

「この場を修羅場としたいのならそうなさい。でも、少なくともあなただけは道連れにして見せるわ。」

メイファンがジャックの軽口に軽く応える。でも、目は笑っていないな。本当にメイファンはジャックが、いや、ジャックの家の戦場魔法部隊の隊長が嫌いなんだなぁ。

「はははっ、冗談だよメイファン。まぁ、今のは俺が悪かった。でも、あんたは嫌かも知れないがウチのチームの連中は彼とは関係ない。だから出来れば挨拶くらいはしてやってくれよな。」

「あら、別にあなたの仲間に遺恨はないわ。今日だって馬車でこまで来る間にアルベールとは特別な関係になったのよ。ねっ、アルベール。」

えーと、メイファン。誤解を招くような言い方は止めてください。いや、誰も勘違いなんかしないか。どう考えたって僕がメイファンの玩具にされたとしか受け取らないよな。

「ほうっ、なんだアルベール。早々にメイファンの軍門に下ったのか?よしっ、今後お前は俺たちのスパイとしてユリウスたちの中に入り込め。まぁ、ばれた時の葬式はあの世に行っても自慢出来るくらいに盛大にしてやるから、どーんとメイファンの玩具になってくれ。」

くそっ、ジャックめ、いつになく上機嫌じゃないかっ!でもその冗談はいただけないな。

「ジャックさん・・、それこそ冗談になっていませんよ。」

「はははっ、すまん、すまん。俺も今日はちょっと浮かれているんでな。まっ、仲間内のパーティーだ。楽しもうぜ、アルベール!」

いや、だから全然仲間内のパーティーじゃないでしょう?なんなの、この参加者の数って。これだから社交慣れしたブルジョア階級は嫌なんだよ。どこまで本当か判ったもんじゃない。

僕は会場となっている大広間を再度見渡しため息をつく。どう見ても二百人はいるよね?しかも皆さん、何やら偉そうな雰囲気をまとっていらっしゃいます。う~んっ、彼らって誰なの?そんな僕の疑問にメイファンがそっと忠告してくる。


「アルベール、どうせ後で彼らの方からあなたに挨拶をする為に出向いてくるから勘ぐりはその時になさい。あなたは今、ウエストキャナルのしがない孤児院出の中卒魔法使いではなく、ジャックグループの正式な一員としてこの場にいます。仮に相手があなたの出目を刺激してきたとしても、それは相手があなたを値踏みしているだけです。そのようなやつらに遠慮はいりません。がつんと上からの物言いで軽くあしらいなさい。ジャックグループの一員という事は、彼らにとってはそれくらいの態度を返されても何も言えないくらい危ない存在なのだから。逆に隙を見せたら付け込まれるわよ。」

メイファンは僕の心を読み取ったのか何とも面倒な事を言ってくる。しかし、上からの態度ですか。えーっ、それはちょっと嫌だなぁ。そもそも、それって僕の実力故ではないじゃん。本当の虎の威を借る狐だよ。吹けば飛ぶようなモブキャラだよね?こうゆうのって何て言うんだっけ?えーと、スネオキャラ?

だが、メイファンの忠告にどう答えればいいのか僕が躊躇していると、僕の存在に気付いた人たちがちらちらとこちらを見ながら仲間内で話し始めたのが見て取れた。うんっ、やっぱりあれってメイファンの事を話しているんじゃないよな。ひゃ~っ、僕ってこんなに注目されるのは初めてかも知れない。はははっ、緊張してしまう。おしっこしておいた方がいいかな?


さて、今回のパーティーの主賓としては僕らが最後の登場だったのだろう。役者が揃った事で、パーティーの進行役らしき人物が、会場に散らばっていた世話係たちへ合図を送り始める。するとそれまで忙しそうに会場を歩きまわっててた世話係たちが、水が引くように奥へと下がっていった。

それに合わせるように会場の奥にある壇上へひとりの紳士が上った。その姿を目にした人々は、今まで盛んに交わしていたお喋りを中断する。その為、ざわついていた会場から一斉に音が消えていった。すると司会進行役と思われる男がそれを期に会場に集まった人々に声を掛ける。


「それでは皆さん。本日の主賓も揃いましたので、先日行なわれた王立イーストリバー魔法学校、魔法と剣術の総合戦闘模擬試合の慰労会を催したいと思います。」

「おーっ。」

司会進行役により慰労会の開催を宣言されると会場にいた人たちから拍手が沸きあがった。その拍手が止むのを待って司会は次のプログラムを紹介する。

「それでは今夜の慰労会を始めるに辺り、当ハーウェイ家の当主であるグラディウス・ハーウェイより、挨拶と乾杯の合図をお願いしたいと思います。」

司会に紹介された壇上の紳士、つまりハーウェイ家の当主であるグラディウス・ハーウェイは手に持ったグラスにメイドから酒を注がれ一同を見渡した。ほうっ、あの人がユリウスのじいさんか。あーっ、確かに何処となくユリウスに似ているな。


「さて、皆も知っているだろうが試合の結果はユリウスにとっては残念なものであった。しかし、覇を競う以上どちらかは敗れる運命にある。だが、それはあくまで一時だ。負けた事は残念ではあるが、それは己が技量と策が足りなかった故であろう。勝負に負けるとはその事を思い知る事でもある。その事を持ってすれば負けもまた次への糧となるであろう。そしてそれは勝者となった者たちも肝に銘じているはずだ。故に今夜はお互いの健闘を称え新たな明日へ再び歩みを始めるべく飲み明かそうではないか!それではジャックチームの優勝とユリウスチームの健闘を労い、ここに杯を掲げようっ!乾杯っ!」

「おーっ!」

当主の合図により会場のみんなが杯を掲げグラスに口を付ける。そしてみんなからの拍手の中、グラディウス・ハーウェイは壇上を降りていった。

うんっ、やるなじいさん。長々と演説を始めないなんて心得ているじゃないか。しかも言うべき事はちゃんと言っているし。やっぱり大物は違うのかね。どこぞの社長や行政の長たちも見習って貰いたいもんだ。


さて、乾杯の挨拶も済んだので皆はそれぞれ中断していた歓談を再開する。僕もジャックたちに混じってお喋りでもしようとジャックに連れられてみんながいるテーブルへ向かったんだけど、何故かメイファンがついて来るよ?えーっ、なんで?

「アルベール、折角だからあなたのお仲間に挨拶させて頂戴。」

ぐわっ、さっきの話はマジだったんですかっ!しかも僕が紹介するのかよっ!

でも、さすがにみんなは2年生という事で慣れているのかメイファンが寄って来ても気にしていないようだった。それどころか、ロベルトなんかメイファンの衣装を見て大喜びだよ。

「ひゅ~っ、メイファンかよっ!どこのご令嬢かと思ったぜ!馬子にも衣装ってことわざがあるけど、あんたには当て嵌まらないな。うんっ、しっかり着こなしているねぇ。あんたを知らない男なら鼻の下を伸ばしながら近づいてくる事受け合いだ。まっ、その後そいつがどうなるかは火を見るより明らかだけどな。」

ロベルト・・、その台詞ってさっきジャックも言っていたよ・・。まぁ、言いたくなるのは判らなくもないけどね。

「ふふふっ、ありがとう。でも、その相手があなたじゃないのが残念だわ。」

「あっ、気に触った?だとしたら勘弁してくれ。びっくりしただけだからさ。でもその衣装ってココ・シャロンじゃないの?そのフリル周りのボリューム感や、腰周りのラインの鋭さなんかはあんたにぴったりだな。もしかして、特注品かい?いやはや、ココ・シャロンって綺麗だけど着こなすのが大変だって聞いているけど、さすがだねぇ。」

うんっ、本当にロベルトは女性に対する観察眼がすごいな。ドレスのブランドまで把握しているのかよ。しかも、ドレスを褒めつつ、ちゃんとメイファンの事も褒めているしな。ほら、メイファンも満更じゃないみたいだよ?

「そう?私はよく知らないけど、ユリウス坊ちゃんの見立てなのよ。だからまぁ、変なものは着せないはずだわ。」

「あっ、ユリウスの趣味かっ!うんっ、あいつってこうゆうのが好きだよな。でもそうなるとその髪はちょっといただけないな。う~んっ、ちょっと弄ってもいい?」

げっ、ロベルトっ!何を言い出すんだ、あんたはっ!確かにメイファンの髪はピンでちょこっと留めてあるだけでドレスとはちょっと合っていないかも知れないけど、こんなところで女の人の髪なんか弄ったらみんなの注目を集めちゃうだろうがっ!

「ロベルト・・、場所をわきまえなさい。こんなところで女性の髪を触るだなんてはしたないわ。」

ほら、話を脇で聞いていたロゼッタに怒られたよ。

「そっ、そうよ!そんなに触りたいならしょうがないから私の髪を触らせてあげるわっ!あっ、でも控え室でよっ!」

う~んっ、ローザの言葉は多分嫉妬心からなんだろうけど、知らない人が聞いたらそれもちょっとはしたなくないか?ほらレイチェルがため息をついて注意してきたよ。

「ローザ・・、変な事を言わないの。ロベルトも大概にしなさい。でもメイファンさんの髪型も確かにアレかな。直ぐに直せるから控え室に行きませんか?」

話の流れが変な方へ向かいそうなところをレイチェルが戻しに掛かる。そうだね、髪は女の命っていう人もいるからねぇ。

「そう?ならお願いしようかしら。一応出かける前に整えたつもりなんだけど、馬車の中でアルベールとふざけたから乱れちゃったのね。やっぱり馬車の中で着替えるのは無理があったかな。」

メイファンの言葉をはしょった説明に女の子たちがジロリと僕を睨む。ちょ、ちょっと!そんな訳あるはずないじゃんっ!みなさん、なに言葉通り受け取っているんですかっ!僕はこう見えても紳士なんですからねっ!ちゃんと目を隠していましたよっ!まぁ、指の間からちらっとは見えていましたけど・・。でも、それはあれです、えーと、安全確認なんです!常に廻りを確認して万が一に備えるのが男子の務めなんです。決して、エロい興味からガン見していたのではありませんっ!・・、うんっ、全然説得力がないな。


さて、こうしてメイファンと女の子たちは控え室へと消えていった。あーっ、メイファン。後生ですから彼女たちにある事ない事言って話を盛り上げないで下さいね。僕って彼女たちの間では純情キャラで通っているんですから。うんっ、通っているよね?えっ、そう思っているのは僕だけ?


「何だよ、アルベール。お前たちいつからそんな仲になったんだよ。ずりいぞ、俺も混ぜてくれよな。」

女の子たちがいなくなったのをこれ幸いに今度はレオンたちが僕をからかい始める。

「おうっ、そうだぜ!でも俺たちがメイファンに近づくといつもユリウスが邪魔をしてきたからなぁ。別に言い寄っている訳でもないのにあいつは反応がちょっと過敏だよ。お陰でメイファンとは中々プライベートな事は話せないんだよな。そうゆう意味ではお前はうまくやったなぁ。」

ロベルト・・、人事だと思って言いたい放題ですね。その代償に僕がどれだけの自尊心を崩されたか知らないでしょう?ううっ、童貞に面と向かって童貞と言うのは国の法律で取り締まって欲しいよ・・。あっ、そうなると女の子に処女って言うのも駄目だよな?むーっ、自分の身に置き換えて初めて知る相手の受け取り方なんだなぁ。うんっ、これからは言葉に気をつけよう。知らず知らずの内に相手を傷付けているかも知れないからね。


まぁ、メイファンの事でそんな事を言ってくるのは剣士学科のロベルトたちだけで、魔法科であるジャックはさすがに言っては来ない。ロベルトたちも別にメイファンの女性としての魅力に惹かれて言っているのではなく、あくまで剣士としての興味から言っているのだろう。本当にこいつらって剣一筋だな。もっと別の事にも興味を示せよ。そんなんじゃ、ジジイになった時に楽しかった思い出が少なくてしょんぼりになっちゃうぞ?


でも、メイファンに関して僕らジャックチームは所詮傍流だ。常に接している訳じゃないから本当の苦労を味わった事はない。いや、僕は馬車の中で十二分に味わったけどね・・。だけど世の中にはそうゆう立場におかれているやつもいる。そう、それはユリウスチームにおける嫌われキャラ担当のローレンツだ。

はははっ、まぁ、あいつは性格がちょっとアレだから、メイファンがローレンツに絡んであいつが困っているところを見たりすると、まるで物語の『ざまぁ展開』を見ているようで傍から見ている限り爽快な気分になったりするらしい。そうだね、嫌われキャラってそうじゃないと存在意義がないもんな。

でも、ローレンツ。僕はこれからあなたを見る目を変えるよ。大変なんだねぇ、あなたのポジションって。もしかしたらメイファンの被害が他のメンバーに及ばないように一身に引き受けているのかい?そう考えるとあなたを嫌われキャラと捉えるのは失礼だったね。そうか・・、本当の『漢』ってやつはみんなから見えないところで体を張っているんだなぁ。・・いや、ローレンツに限ってはそんな事はないか。あいつはどう見ても期待を裏切らない嫌われキャラだよ。


メイファンがいなくなり、ほっとした事でちょっと余裕が出来たのか、僕がそんな事を考えているとそれを狙ったかのように当人が僕の方にやって来ました。はい、ローレンツです。

「やぁ、アルベール・ドレステン。楽しんでいるかい?いや、君のような出目の者にはちょっと緊張してしまうか?はははっ、でもこれも経験さ。『村』に帰ったら自慢できるぜ?何てったってここにいるのは各界にて重鎮を務めている方々に繋がる人ばかりだからな。」

うんっ、こいつ。僕からメイファンが離れるのを虎視眈々と待っていたんだね。なんだかなぁ。しかも、すげー嬉しそうだよ。もしかして、こいつって僕に惚れているのか?所謂好きな女の子にわざと意地悪しちゃう男の子キャラ?げーっ、想像してしまった・・。


「おいっ、ローレンツ。こんなところで絡むなよ。折角の雰囲気が台無しじゃないか。」

ローレンツが僕に突っかかってきたのを見て、レオンが注意をしてくれた。でも当のローレンツは気にもしていないようだ。

「なんだ、レオンか。君こそメイファンにコテンパにされたくせに、よくもまぁ平然としていられるな。君には自尊心と言うモノがないのかい?」

「なんだとっ!」

「止めとけ、レオン。ローレンツにとってはそんな言いがかりも挨拶みたいなもんなのさ。なんせローレンツはユリウスチームの鉄砲玉担当だからな。体を張って相手に突っ込むのがローレンツの役目なんだ。ある意味、凄い自己犠牲じゃないか。俺だったら1日で止めちゃうよ。うんっ、すごいなローレンツ。尊敬しちゃうぜ!」

うんっ、ロベルトは止めに入ったと思ったんだけど違いました。更に燃料を投下しています。ほら、おかげでローレンツは爆発寸前だよ。

「言うじゃないか、ロベルト。先日は役割担当が違ったから相手をしてやれなかったが、ここで決着をつけてもいいんだぜ?」

おおっ、やる気満々だね、ローレンツ。でも、ある意味君も凄いな。ここってジャックチームのテーブルだぜ?あなた孤立無援なのではないですか?先程のロベルトが言っていた鉄砲玉役って本当だったの?もしかして、ユリウスから言ってこいって言われたのか?

でも、そんな険悪な雰囲気も絶対者の一言であっという間に霧散してしまったよ。えっ、誰だって?そんなの決まっているじゃん、メイファンさっ!


「あら、ローレンツ。なに?もしかしてユリウスのお使い?あーっ、私はもう暫くここにいるからひとりで遊んでいるように伝えて頂戴。後、ドレスの見立てはみんなに好評だったから私が褒めていたって言っておいてね。」

「おっ、おう。わかったよ。それじゃな、あんまり遅くなるなよ。ユリウスはあんたがいないとちょっと機嫌が悪くなるんだ。」

「はいはい、判ったからあなたもテーブルに戻りなさい。折角のパーティーなんだから、わざわざ揉め事を起こさないの。」

「くっ、はやく戻れよ。本来ならパーティーは個別に行なうはずだったんだ。対戦チームと和んだりするんじゃないぞ。」

「はぁ~、ローレンツ。先程のグラディウス・ハーウェイの挨拶を聞いていなかったの?あなたもこの国での重責を担う国家指導委員の息子ならもっと感情のコントロールを上手になりなさい。その様なことではお父上の期待に応えられないわよ。」

「おっ、親父は関係ないだろうっ!私は私の実力で上に立ってみせるっ!親の七光りなど必要ないっ!」

「はいはい、それは事を成し遂げてから陰口を叩く相手に言って上げなさい。それまでは思っていても口に出してはなりません。この世は結果こそが全て。あなたは今その為の試練を味わっているのです。そしてそれなくして人を動かすオーラは纏えないわ。さて、あなたはその試練を乗り越えられるのかしら?」

「くっ・・。」

メイファンの叱責にローレンツは何も言わずにこの場を立ち去った。はぁーっ、人ってそれぞれ色んなもんを背負っているんだねぇ。あの嫌われキャラのローレンツもそうならざる得ない背景があるのか・・。あははっ、もしかしてこの中で一番幸せなのって僕なのか?いや、僕だって守るべきものとして孤児院を背負っているんだ!まぁ、ほんの一部分だけどね。


さて、ローレンツに気をとられて見逃していたけど、髪を直してきたメイファンはまさに真っ赤な花束になっていました。おーっ、すごいぞメイファンっ!いや、ここはロゼッタたちの技量を称えるべきなのか?はははっ、女の子たちって本当に髪を飾るのが好きだよな。でも好きこそモノの上手なれだ。うんっ、最高の出来栄えだね。お陰で今やメイファンはこの会場一の宝石です。はははっ、他の出席者のご婦人やご令嬢たちがかわいそうだよ。なんせ一気に持っていかれたからな。ほら、あちこちでメイファンを見ながら囁きあっているよ。

あーっ、でもやっぱりロゼッタたちも気にしたんだね。メイファンの背中の傷を隠すようにショールを纏わせているよ。そうだよなぁ、玄関で出迎えた人たちも通り過ぎるメイファンの後ろ姿を見て目を見開いていたもんな。

でも、やっぱりこうゆう場の空気を読まないロベルトがまたまたメイファンの髪を見て絶賛してくる。


「ひゃ~っ、これはまた派手にあげてきたな。なんだメイファン。あんた魔剣総戦だけじゃなく、ここでも全部掻っ攫っていくつもりなのかい?いやはや、ユリウスのじいさんに取り入ろうと気合を入れてきたご夫人たちの嫉妬の目線がびしばし突き刺さっているぜ。」

うんっ、それは僕もさっきから感じています。そうだね、折角着飾ってきたのにまさか会場にこんな華が用意されているとは思わなかっただろうからねぇ。はははっ、でもメイファンはおっかないから聞こえるように嫌味を言っちゃ駄目だよ。ほら、メイファンもふざけているんだろうけど、早速怖い事を言い出したし。

「あら、それもいいわね。でもさすがにハーウェイ卿の顔に泥は塗れないからひとりづつ連れ出して始末しようかしら。」

「はははっ、止めてくれよ。あんたが言うと冗談にならねぇ。まっ、あんたがユリウスのテーブルに戻れば好奇の視線も落ち着くさ。まさかグラディウス・ハーウェイの知り合いに陰口を叩くやつはいねぇからな。」

「えーっ、今日はずっとアルベールで遊ぶつもりだったのにぃ。」

はい、メイファンが僕の首に腕を回してしな垂れながらとんでもない事を言ってきます。メイファンっ!遊ぶつもりってなんですかっ!普通そこは『で』じゃなくて『と』でしょうっ!はぁ~、もしかして今夜はこんな事ばっかりなの?僕の知識では社交界って華やかで楽しげなところと思っていたんですけど、結構気疲れする場だったんだなぁ。

あっ、メイファン。あんまり胸を押し付けてこないで下さい。僕の愚息がまた反応してしまいます・・。

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