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雑文ラノベ「王立魔法学校高等部の優等生」  作者: ぽっち先生/監修俺
王立魔法学校 魔剣総戦編
44/52

レオンVSメイファンおまけで僕

試合開始の音花火が上空で破裂し魔剣総戦の開始が宣言されると、ジャックとユリウスのチームはそれぞれの獲物に対して攻撃を開始した。だが僕とレオンはユリウスチーム随一の刺客からの攻撃に備えて逆に前線から距離を取る。だが、その備えは空振りに終わった。なんとメイファンは椅子に座ったまま、ジャックとユリウスの戦いを見物しているのだ。お陰で周りでは激しい戦闘が始まったにも関わらず、僕とレオンはふたりでぽつんと蚊帳の外である。


「おい、アルベール。なんか当初の予定と違くないか?メイファンはなんで動かない?」

「レオンさん、そんな事僕に聞かれても答えられるはずないでしょう?」

「もしかして俺たちって忘れられているとか?」

「どうでしょう?試してみますか?」

「あんっ、試すってどうやって?」

「ロゼッタとローザのところに応援に行きましょう。ジャックたちはメイファンが見張っているから近づけませんが、ロゼッタたちならすぐそこですし、人数的にもロゼッタたちは2対3と不利です。ですが、僕たちが加わる事によって一気に形勢を逆転できます。」

「おうっ、そうだな。ローレンツの野郎を一気に叩いてメイファンの出番をなくすか。」

「はい、戦略的にもそれが一番かと。」

「OK、ならば俺が先に動く。アルベールは後ろに付いて周囲を警戒してくれ。特にメイファンからは目を離すなよ。」

「判りました。」


そうして僕らは、何故か動こうとしないメイファンを警戒しつつもロゼッタたちの援護に向かっう。だが、数歩動いた所で凄まじい殺気が僕とレオンを襲った。

「うおーっ!」

そのあまりの殺気に僕は金縛りにあったかの如く動けなくなってしまったが、レオンは気合を振り絞って耐えた。そして殺気の送られてきた方に向けて身構える。その方向には椅子に座ったままこちらを睨んでいるメイファンがいた。

「ちっ、畜生っ!殺気だけでちびりそうだぜっ!」

レオンは自分を奮い立たせる為なのか、声を荒げて吐き捨てる。はははっ、そうかレオン。ちびりそうかい?そうだね、すごい殺気だったもんな。はい、僕は少し漏らしました。あーっ、試合前に便所に行っておいてよかったよ。でなけりゃ、今頃ズボンがびしょびしょだ。

そんなメイファンの殺気に金縛り状態になった僕だが、レオンに活を入れて貰って何とが動けるようになる。

「がはっ、うわーっ、蛇に睨まれた蛙の気持ちが判ってしまった・・。」

「全くだな。畜生、メイファンのやつ俺たちをここから動かさないつもりだ。多分ジャックとユリウスの戦いに決着が付くまで邪魔させない気だな。」

「なぜそんな事を?」

「ユリウスの気持ちを慮っているんだろう。ユリウスはジャックに勝つ事が夢なんだ。だからメイファンは直接ユリウスに加勢しない。そして、それを俺たちに対しても強制しているんだ。今、あのふたりの戦いの邪魔をするやつは例え仲間であろうとメイファンは排除する気なんだろう。」

「仲間もって・・、そんな事に何の意味が?」

「判らんが、ユリウスには意味があることなんだろう。自分のチカラのみでジャックを倒す。そしてそんなユリウスの気持ちを推し量り、メイファンは場を守っているんだと思う。」

「それじゃ、僕たちって思いっきり不利なんじゃないですか?仮にジャックたちがユリウスに負けたら僕らの戦力はガタ落ちですよ。」

「おうっ、不利も不利、王手寸前だ。だが、まぁジャックがユリウス相手にガチンコで負ける事はないだろう。だから俺たちは当初の計画通り、何とかメイファンの注意をこっちに向けさせておく事に集中しよう。」

「げーっ、さっきみたいな殺気を受けるのは勘弁して貰いたいんですが・・。次にあんなのをまともに喰らったら、僕、失神してしまうかも知れません。」

「全くだぜ!クラーケンだってあんなに凄まじい殺気は発していなかったからな。そう考えるとメイファンは化け物以上と言う事か・・。」

僕はレオンの言葉にクラーケンと対峙した時の事を思い出す。確かにクラーケンはとても恐ろしい化け物だったが、あの時の僕はそれ程恐怖を感じていなかった。それは多分、子供たちを守らなきゃならないと言う気概が僕に恐怖を忘れさせていたのかも知れない。だが、一番は隣にシスター・ミッシェルが居てくれたからだろう。なんだかんだ言っても僕の中ではシスター・ミッシェルは最強だ。そんな強力なチカラに守られていたから僕はクラーケンを恐ろしいと思わなかったのかも知れない。

だが今、僕の隣にシスター・ミッシェルはいない。こう言っちゃ失礼だけどレオンじゃシスター・ミッシェルの代わりにはならない。僕はレオンが強い事を知っている。試合前の練習でその事は十分判っているのだ。レオンは強い。でも、それでも何と言うかレオンとシスター・ミッシェルでは強さの格が違うのだ。それは多分ふたりの経験の差からくるものなのだろう。これは技とか技量の差うんぬんではない。何故戦うのかという意味を心に刻んだ精神力の違いなんだと思う。レオンもいずれその域に達するのであろうが、今はまだ道半ばだ。その差が同じ守られるという立場の僕に、安心感の度合いの差として感じとられているのかも知れなかった。


「さて、殺気には気合だっ!胆に力を込めて気力を振り絞れっ!」

レオン・・、結局あんたもそこにいくのか?さすがは剣士馬鹿だな。ブレのなさには脱帽するよ。

その後も僕らはメイファンの隙を見てロゼッタたちのところへ向かおうとしたが、その度にメイファンの殺気に邪魔される。うんっ、もうおしっこも品切れです。さすがに大きい方は勘弁して下さい。恥ずかしくて明日から学校へ行けなくなってしまいます。

だが、そんな状況に動きがあった。それはジャックとユリウスの対決にケリが付いた時だった。僕がふと目を離し目線を戻した時にはメイファンはもう椅子に座っていなかった。

「レオンさんっ!メイファンがいないっ!」

僕の警告に、しかしレオンは動じない。じっとユリウスの方を見ているだけだった。そして僕も視線をレオンが見ている方へと向ける。そこには座り込むユリウスに何か話しかけているメイファンがいた。

「馬鹿なっ!僕が目を離したのは一瞬だぞっ!なんで椅子に座っていたメイファンがあそこにいるんだっ!」

「ああっ、びっくりだよな。俺はずっとあそこを見ていたけどメイファンが近付いたのに気付かなかった。気が付いたらメイファンが立っていたよ。」

ずっと見ていたって?それで気付かなかった?えーっ、そんな事あるのかっ!

その後、メイファンは力尽きて倒れこんでいるロベルトに止めを刺し、ロゼッタたちの援護に来たジャックからあっさりギブアップをとる。しかも何故かその戦いに巻き込まれてローレンツも気を失いギブアップ判定をとられた。いやはや、本当にメイファンは容赦がないな。

そして、そんなメイファンの次の獲物は当然僕らだった。


「くるぞっ、アルベール!覚悟を決めろよっ!」

レオンが僕になんとも無情な事を言う。えーっ、ギブアップしちゃ駄目ですか?もう、なんて言うか勝敗は決していると思うんですけど・・。

でもまぁ、一太刀も交えずにギブアップするのは僕の今後の学生生活に多大な影響が出るはずだ。弱虫とかヘタレとか根性なしとか、それはもう多種多彩な二つ名が僕に付けられる事だろう。

だから嫌々ながらも僕は戦闘態勢を整える。僕は腰に輪にしてぶら下げていたロープを外して、その中央辺りを握り締めた。これにより使えるロープの先が二つになる。その二つを僕はどちらも剣化した。うんっ、これは今回の訓練で僕が新たに編み出した戦法です。いや、たまたまなんだけどね。やってみたら出来てしまっただけです。はははっ、僕ってすごいだろう?なんて言うか、自分の才能と機知に誇らしさを感じるね。そう、僕はやれば出来る子なのさ。えっ、そうでもない?ちょっと考えれば誰でも思いつく?えーっ、そうなの?しょぼ~ん。

だけどこれは云わば二刀流だ。メイファンも短剣をふた振り使うから武器の数としては同等となった事になる。まぁ、数の上だけでの事だけどね。

だけどこのロープの剣化はちょっとすごいんだぜ?ロープだから湾曲したりするし、相手が切断しようとするとその箇所だけ剣化して防ぐ事も可能なんだ。そして万が一切断されても後で編み直せば元通り。さすがはマジックアイテムっ!これでもかと言うくらいチートだぜっ!

そんなロープの長さは約10メートル。でも今回は両端を剣化しているから中央部を持っていると攻撃できる半径は5メートルになってしまう。でもまぁ、これは如何様にもなる。剣化した片方だけを延ばせばいつも通りに10メートルまで届くからね。

そんな変幻自在なロープを構えて僕はメイファンがやってくるのを待ち構えた。うんっ、本音では来て欲しくないです。でも来るんだろうなぁ。あっ、来たよ。


「うぉーっ!」

そんなメイファンに向けてレオンが気合と共に突進を開始した。そして激突。そんなふたりの間に火花が飛び散る。げっ、今回レオンの使っている剣ってぶっとい対アーマー戦用の大太刀だよ?確かロベルトがシスター・ミッシェルと一戦交えた時の剣より重いやつだよ?あの時はシスター・ミッシェルの短剣はふた振りとも折れたよ?なのに何で今回は折れないの?う~んっ、これが剣の性能の差なのかねぇ。あの時、シスター・ミッシェルが使っていた短剣は飛行船に備え付けられていた装飾用の剣だったしな。実戦用の剣って短剣と言えども侮れないんだねぇ。


だが、レオンは初撃を防がれるのは織り込み済みだったのだろう。メイファンに反撃する暇を与えないよう、次々と剣刃を繰り出した。だがメイファンはそれを全て受け流す。う~んっ、これはどちらを褒めればいいんだろう?あの大太刀を小枝のようにぶん回すレオンを褒めるべきなのか、はたまたそんなくそ重たい斬撃を短剣でいなしてしまうメイファンの技量を称えるべきなのか?まっ、どちらにしても僕は魔法使いだから剣士同士のやり取りなんか説明出来ません。


そしてそんな攻防が1分ほど続いただろうか、ちょっと斬撃を送るレオンのスピードが落ちたところにメイファンの短剣がレオンの喉元に決まった。丁度上段から斬撃を送るべく大剣を振り上げたレオンはその姿のまま動けない。そんなレオンにメイファンの評定が下る。

「あなた、短剣相手にそんな大振りをしたら刺してくれって言っているようなものだわ。でも、その大剣じゃそれしか方法がないか。小手先の技に逃げずに、剣の性能を最大に使える技法に徹したのは評価してあげる。だから6点ってとこかな。」

えーと、メイファン。それって10点満点での6点ですよね?もしも100点満点評価での6点だったらレオン泣いちゃいますよ?

「さて、レオン・ブリッツ。ギブアップ?オア デス?」

「くっ・・、ギブ・・アップ・・。」

「ふふふっ、賢明ね。」

レオンのギブアップ宣言に会場からはおーっというどよめきが起こった。まぁ、そうだよな。終始攻めていたのはレオンの方だもんなぁ。素人目にはどう見たってレオンが優勢に映っていただろう。でも実戦での勝敗は過程の優劣では決まらない。最後にそこに立っていた者が勝者なのだ。う~んっ、ならば僕は最初から寝転がっていてもいいですか?いや、それじゃ、僕の二つ名に『駄犬』という名が追加されるだけだな。くっ、人生って厳しいぜっ!


さて、僕の護衛であるレオンがあっさり瞬殺された事により、僕はひとりでメイファンと戦う事になる。いや、そもそも戦いになるんだろうか?気付いた時にはぐさりとされているんじゃないか?魔剣総戦のルール上、それは駄目なんだけど模擬戦とは言え戦闘行為をしている訳だからね。完全に安全とは言い切れない。メイファンの事だから、さらりと「あら、ごめんなさい。間違って刺しちゃった。」とか言いそうだよ。


「アルベール、なにぼけっと立っているの?戦闘中に考え事なんかしていたら命が幾つあっても足りないわよ。」

その時、僕の耳元で誰かが囁いた。僕は驚いて声の主の方を振り返る。はい、案の定、そこにはメイファンが立っていました。えーっ、なんでぇ~っ!なんでメイファンがここにいるんだよぉ~っ!あなた、今々までレオンに短剣を突きつけていましたよね?僕、今回は目を離していませんでしたよ?レオンとここまでは10メートル以上離れてますよ?一体どんな魔法を使ったんだぁーっ!

まぁ、それを知ったからと言ってどうなるものでもない。僕は咄嗟にロープを操りメイファンへ突撃させる。するとなんと槍化されたロープの先端はものの見事にメイファンを貫いたよっ!げっ、なんで?まずいっ!これってルール違反になっちゃうんじゃないの?でも僕には寸止めなんて高等技術はできないよ?技量的には僕の槍化されたロープを防げなかったメイファンが悪いよね?僕は悪くないよね?最悪、自己防衛が成立するよねっ!

でも、予想外の事態に狼狽している僕の耳元にまたあの囁きが聞こえた。

「まぁ、アルベール。女性にいきなり突っ込むなんてあなたレイプ魔なの?しかも2本も。もぉう、駄目よぉ。いくら若い衝動に駆られたからと言って相手の同意なしにそんな事をしたら犯罪なのよ。だからあなたにはお仕置きが必要ね。」

「えっ?」

僕は声の聞こえた方を振り向く。そこには傷ひとつ負っていないメイファンが立っていた。

「えっ?なんで?なんでメイファンがふたりいるの?」

僕は交互にふたりのメイファンを見る。方や僕の槍化されたロープに貫かれ血を流しつつも微笑んでいるメイファンと、もう一方は傷もなくにこにこしながら立っているメイファンがそれぞれの場所に立って僕を見ていた。

「なんだぁ~?」

僕は驚いてふたりのメイファンから遠くなる方へと飛び退いた。そしてロープの先端をそれぞれのメイファンへ向け構える。その時、この状況を見ていたレオンが僕に声を掛けた。

「アルベールっ!それは分身だっ!本体はお前の後ろだっ!」

「えっ?分身?」

レオンの言葉に僕は後ろを見る。するとそこにもメイファンの姿があった。

「バッド!レオンっ。ギブアップした者がアドバイスするのはルール違反よ。折角アルベールのおどおどした表情を楽しんでいたのに台無しだわ。だからこの代償はアルベールに償って貰うわよ。」

そう言うとメイファンは僕に微笑みかける。ぐわっ、怖い・・。止めて下さいメイファン。あなた少し精神を病んでいませんか?血を見ると興奮する人なんですか?献血でもしてちょっと血を抜いた方がよくないですか?

「逃げろっ、アルベールっ!」

またまたレオンが僕にアドバイスをする。はい、言われなくたって逃げます。もう、世界の果てだろうと逃げまくります。あっ、メイファンは100数えてからスタートしてくださいね。それが僕の地方における隠れんぼのローカルルールですから。

でも、僕が逃げようとすると何故か目の前にメイファンの姿が現れる。あらら、これも分身ですか?うわっ、それはルール違反だよメイファン。隠れんぼの鬼はひとりじゃなぎゃ駄目なんだ。何故って?そうゆう決まりだからさっ!

僕は目の前に現れたメイファンを分身と判断し、目を瞑って走り去ろうとした。でもこれが失敗。どんっと何か柔らかいものにぶつかって動きを止められました。

「あら、今度は体ごと突進してきたの?でも、駄目よ。女性にはもっと優しく接しなくちゃ。」

ぎゃーっ!これって本体だぁーっ!なんで本体が突然現れるんだぁーっ!

僕は目の前の悪魔から少しでも離れようと両手でメイファンを押す。でもその手の先にはなんか柔らかいものが存在した。


むにゅ。もみもみ。


あれ、何だこれ?なんか僕の本能が勝手に柔らかいものを揉みしだくよ?しかもその感触たるやこの世で最高の桃源郷みたいだ。あーっ、なんか男の子に生まれて良かったと心の底から喜びが湧いてくるよ。

「ふふふっ、さすがは男の子。本能に逆らえないのね。まぁいいわ、冥土のお土産に堪能なさい。その代わり後で私をもっと楽しませてね。」

「!!」

僕はメイファンの言葉に現実へと引き戻される。ぐわーっ!なんて事をしているんだ僕の手はっ!ちっ、違う!メイファン、違うんだっ!これは僕が命じたんじゃないっ!手が勝手にやった事なんだ!だから命だけはお見逃し下さいっ!

僕は心の中でメイファンに懇願する。まぁ、口に出してもメイファンは許してくれないだろうからね。なら、謝るだけ損だ。僕のプライドにも関わるし。これは事故です。僕の前に飛び出してきたメイファンにも非があります。だから今回の事はお互いの為にもなかった事にしましょう。それじゃ、僕は行きますので、メイファンはレオンと遊んで下さい。

でも、僕の心の声を聞けないメイファンは、そぉーっと立ち去ろうとする僕の襟首を掴まえて離さなかった。

「あら駄目よ。今度は私が楽しむ番でしょう?」

「あっ、そうですね。では何をして遊びましょうか?僕としては痛くないやつがいいんですけど・・。」

「そぅお?大丈夫よ、私そうゆうのも得意だから。痛覚を刺激しないように斬り刻むのなんか朝飯前なの、うふっ。」

ぎゃーっ!止めてくれぇーっ!メイファンが言うと全然冗談に聞こえないってのっ!審判っ、ギブっ、僕はギブアップしまーすっ!

だが、いくら心の中で叫ぼうとも僕の口からは何故か一言も言葉が出なかった。あーっ、これが猫に睨まれた鼠ってやつなのかね?はははっ、本当に怖いと体はおろか、声すら出ないんだね。参ったなぁ。でもメイファンはそんな僕に新しい遊びを提案してきた。

「それじゃアルベール。あなたはそのロープで私をぐるぐる巻きに出来たらあなたの勝ちとしましょう。私はあなたの背中にタッチしたら勝ちね。」

「はぁ?」

僕はメイファンの提案に首をかしげる。あのぉ~、どう考えても僕の方が難易度高くないですか?もしかしてメイファンって拘束プレイが好きなの?以外だなぁ。でもそうゆうのは僕以外の人とやって下さい。僕、まだ中学を卒業したばかりですから。

そんなお子ちゃまな僕に、メイファンは無情にもゲームの開始を促がしてくる。

「では準備はよろしくて?」

「あっ、はい・・。よっしゃー、ばっちこいだっ!」

僕はヤケクソになって返事をする。こうなりゃヤケだ、本当の僕の実力を見せてやるぜっ、メイファン・カルティア!ぐるぐる巻きにされた後で泣いたって許してやんないからなっ!でも僕が泣いて許しを乞うた時は許して下さい・・。


「それではゲーム、スタートっ!」

そう言うとメイファンは一旦僕から10メートルほど飛び退いた。これは多分僕の持っているロープの攻撃半径から出たのだろう。今回のゲームでは僕とメイファンでは武器のリーチが違う。僕はロープの長さである半径10メートルが攻撃の有効範囲だ。それに対してメイファンは僕に対して1メートルまで近付かないと手が届かないはずである。しかも、タッチが有効なのは僕の背中だけだ。つまりメイファンはどうにかして僕の後ろに回り込まなくてはならないのである。はははっ、実は僕ってすごく有利なんじゃないの?なんか負ける気がしないね!・・うんっ、相手がメイファンじゃなければね・・。


さて、メイファンのゲーム開始の声に、僕はロープの中央を持って両端をメイファンの方へ向ける。今回は先端の槍化はしていない。メイファンも短剣は両方とも腰の鞘に仕舞ったままだった。つまりこれは戦闘模擬戦ではなくて本当のお遊びだ。まぁ、それはメイファンだけの事で僕にとっては命がけの戦いである事に変わりはない。

さて、ロープを2系統にした事により僕の攻撃有効距離は半分になったが、攻撃する武器の数は倍となった。だが、いざとなったらロープを片方だけを延ばすのは簡単だから、攻守どちらにも切り替えられるのが僕のロープの利点である。

対するメイファンは短剣を使えない。いや、そんな約束はしていないけど多分メイファンは使わないはずだ。これは彼女にとってはお遊びである。だから剣などを使わずに純粋に遊びたいんだろう。そんなメイファンの武器は素早さである。はっきり言ってメイファンが本気になったら僕は彼女を目で追いきれる自信がない。10メートルの距離を空けていても次の瞬間には目の前にいそうで怖いよ。

なので僕はロープを7対3の割合に持ち直して、長い方をメイファンの前で左右に振った。こうする事でメイファンの動きを牽制したのだ。もしもメイファンが、たかがロープと侮って邪魔になるロープを払って突進してくれればこっちのものだ。僕が密かにロープに仕込んだ吸着魔法によってロープは自ら意思があるかのようにメイファンに纏わり付くはずである。そしてそうなった時のロープの速度は僕が与えられる限界まで高めてある。多分飛んでくる矢だって絡め取れると思うよ。どうだ!メイファンっ!僕だってやろうと思えばこれくらいは昼飯後なんだぜっ!あれ?前だったか?

そんな根拠のない自信から僕はメイファンに対してちょっと挑発する。

「おらぁーっ!掛かってこいやぁっ!」

ひゃーっ、言っちゃった。うわーっ、大丈夫かね?メイファン、機嫌を悪くしないかなぁ。

でも、当のメイファンはあまり気にしなかったようだ。にこりと笑うとすたこらとこっちに向かって歩きだしたよ。えーっ、走りもしないんですか?それって自信があるからですか?それとも僕を舐めてます?はっ、もしや分身か?

だがこちらに向かって来るメイファンは本人だった。当人なんだけどロープに仕掛けた魔法が何故か発動しません。いや、してるのか?だけどロープはメイファンの廻りをうろうろするだけでメイファンを見つけられないようだった。

「ちっ、何しているんだ、このボロロープっ!とっとと絡みつけっ!」

僕はロープに掛けた吸着魔法の性能にがっかりして、自ら直接ロープを操作する事にした。だが結果は同じだった。メイファン目掛けて確実に飛ばしたはずのロープは何故かメイファンの横をすり抜けていく。ならばと横殴りにロープを払っても、ロープはメイファンの頭上を通り過ぎてしまった。

「なんだぁ~?」

僕は僕の操作通りに動かないロープに困惑する。そんな僕にメイファンが話し掛けてきた。


「ふふっ、アルベール。いいものを見せてあげる。」

そう言うと何とメイファンは胸のボタンを外し始めた。えーっ!もしかして良い物っておっぱいですかぁーっ!こっ、こんな公衆の面前でそんな嬉し・・、もとい、破廉恥な行為をしてもいいと思ってるんですかーっ!そうゆうのは人目のないところでそっと見せて下さいっ!その後は・・、ああっ!駄目だ、想像できないっ!くっ、これが童貞男子の限界なのかっ!経験した事が無いから想像すら出来ないよっ!畜生っ!

だけど僕の妄想はそこで終了する。はい、メイファンは胸元に隠していたペンダントを取り出しただけでした。でもそのペンダントが問題だった。なんとそれは魔石だった。色の具合からして多分、ステルス系、もしくは中和系か。あっ、ロープが迷ったところを見ると幻惑系かもしれない。どちらにしろ、僕がロープに仕掛けた魔法強度では太刀打ち出来そうもないほど高出力なマジックアイテムのようだった。


僕はメイファンが掲げるマジックアイテムを見て自らの敗北を知る。メイファンとの距離はもう3メートルもない。剣士相手にこの距離は絶体絶命だ。次の瞬間には後ろに回りこまれて背中にタッチされるだろう。

だが、メイファンの対応はもっと力ずくだった。なんと僕に足払いをして僕をすっ転ばしたのだ!


どすんっ!


「へっ?」

僕は始め何が起こったのかさえ判らなかった。メイファンが向かって来たのさえ見えなかったよ。気付いたら空を見上げて地面に寝ていました。ああっ、今日は良い天気だなぁ。あっ、トンビが飛んでいる。ほうっ、ロゼッタたちの爆炎魔法合戦で上昇気流が発生したんだな。はははっ、本当にくるりと輪を描いて上昇してゆくよ。

だけどそんなアホな事を思って寝転がっている僕のわき腹へメイファンは無情の足蹴りを入れてきた。

「ぐふっ!」

僕は堪らずごろりと回転してうつ伏せになる。うわっ、吐きそう。みぞおちに入っていたら確実に吐いたな。でもそんな僕に対するメイファンの攻撃は止まらない。今度は倒れこんでいる僕の背中にメイファンの足がどすんと落ちてきた。

「ぐはっ!」

「はい、私の勝ちね。アルベール。」

ぐふっ、メイファン・・、確かに僕の背中にタッチするのがあんたの勝利条件だったけど、何も足で踏みつける事はないんじゃないの?しかも力いっぱい踏みつけたよね?う~んっ、メイファンは本当に敗者に容赦がないなぁ。


こうして僕らの対メイファン戦は終了した。まずレオンはメイファンに惨敗。僕に至っては猫の玩具みたいに遊ばれてしまったよ。いや待て!僕はまだギブアップ宣言をしていないな?あれ?という事は、もしかして第2ラウンドがあるんですか?えーっ、もう十分に遊んだでしょう、メイファン!許してくれよぉーっ!そもそも僕が何をしたって言うんだっ!あっ、メイファンのプライドをちょっと傷付けちゃったんだった・・。う~んっ、失敗したな。いや、そもそもメイファンが僕を舐めて掛かったのが悪いんじゃないの?僕は僕の身を守っただけじゃんっ!僕、悪くないよね?当然の事をしたまでだよねっ?どう考えたって理不尽だよねっ!


でも事態は僕の愚痴などお構い無しに急転する。何とメイファンの足に踏んづけられ、どうしたもんかと思案している僕に対しメイファンが次のように問い掛けてきたのだ。

「アルベール・ドレステン。ギブアップ?オア デス?」

えっ、選んでいいの?うわっ、助かった!勿論僕の答えは一択だっ!

「ギブっ!ギブアップっ!」

「OKっ!アイ アム クリア ビクトリーっ!」

メイファンが僕を片足で踏んづけながら大きく両腕を広げて勝利宣言をする。う~んっ、すごいなメイファン。どこまでいっても敗者に容赦がない。俺は広目天に踏んづけられる東寺の邪鬼じゃないんだぞっ!

だがそんなメイファンはまたしても意味不明な行動に出た。なんと僕らに勝利したにも関わらず自らもギブアップ宣言をしたのだっ!


「さて、玩具で遊ぶのも飽きたから終わりにしましょう。審判っ、私もギブアップするわ。」

これには審判はもとより、会場にいた生徒たちも唖然とする。実況のローリーも何が起こったのか判らないのか沈黙したままだ。

しかし、この事により今回の魔剣総戦で唯一ギブアップしていないのはレイチェルだけとなった。故に審判は高らかにジャックチームの勝利を宣言した。

「ユリウスチーム、オールギブアップっ!よってここにジャックチームの勝利を宣言するっ!」

「・・。」

だが会場からは歓声が挙がらない。そりゃそうだ、誰の目にも勝ったのはユリウスチーム・・、いやメイファンである。実際に試合を観ていた人たちの目には今回の魔剣総戦はメイファンの圧勝と映ったはずだ。いや、試合に臨んだ僕らだってその事に異議を唱える事はないだろう。

だから、こう言っちゃなんだがメイファンがちょこっと本気を出せば、レイチェルは試合的には瞬殺されたはずである。だがメイファンは僕を弄りまくって満足した事により、既に魔剣総戦に興味をなくしたようだ。だからもうレイチェルを獲物として認識していないのだろう。いやはや、なんとも気分屋なお姉さんだ。


そんなこんなで今回の魔剣総戦は僕たちの勝ちです。その事に一部の生徒たちは納得出来ないかも知れないけど、さすがにメイファン相手にブーイングは送れない。そんな事をしたら明日の朝日が拝めなくなっちゃうからな。

そして棚ボタ式にジャックグループは魔剣総戦に勝利した。いや、正確にはユリウスチームが勝ちを拾い損ねたと言った方がしっくりするかも知れない。でもルールはルールだからね。はははっ、ユリウス。敵は身内にいたんだねぇ。ご愁傷様。でも、君も前評判以上の実力だったよ。その事は今回みんなの前で証明された。だからその一事を持って今回の挑戦はよしとするんだな。

因みに試合時間は驚きのたった15分くらいだったよ。はい、殆どメイファンが瞬殺した形です。実際彼女が動いたのって5分くらいじゃないかな。いや~、圧倒的なチカラの前には時間稼ぎも出来ないんだね。こんな尺じゃ短過ぎてアニメにも出来ないよ。あれ?そもそもアニメってなんだろう?


さて、こうして今回の魔剣総戦は終了した。事前の噂では4、5時間は掛かるんじゃないかと言われていた試合だが、いざ蓋を開けたら20分掛からずでお終いです。格闘スポーツの試合だったらその呆気なさにブーイングが起こりそうだけど、そこはほら、魔剣総戦は見世物じゃないからね。いや、ある意味メイファンの強さをまざまざと知ら示めさせられた試合だったかも知れない。

因みにメイファン・カルティアの最終オッズは0.4倍でした。はははっ、みんな判っているねぇ。でもメイファンの券を買った生徒って、みんな元本割れだよ?やれやれ、参加選手もくじを買った生徒も、みんなまとめてメイファンひとりに引っ掻き回された感じだ。こりゃ~、魔剣総戦の管理委員も後始末が大変だね。

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