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雑文ラノベ「王立魔法学校高等部の優等生」  作者: ぽっち先生/監修俺
出会い編
4/52

もしかして未発見?

この場所の天井の高さは大体6メートルくらい。岩肌はゴツゴツしているので手掛かりには不自由しない。しかし、穴は天井の真上にある。僕は蜘蛛ではないのでそのままでは穴まで辿り着けない。そこで魔法だ。僕はロープを解いてその先端に魔法を掛ける。所謂操作魔法というやつだ。これは魔法の成績が芳しくなかった僕が唯一成績上位者と肩を並べられた魔法である。


ロープは魔法によってするすると天井の穴まで昇っていった。僕はそのロープに手を触れ目を閉じる。するとロープから先端部分の感触が伝わってきた。これもまた魔法だ。出来るやつはこんな事をしなくても直接穴の内部を知覚出来るんだろうけど、僕には無理だ。でもそんな僕にも媒体があればその先を知る術はあるのである。


「う~ん、狭いなぁ。しかも良い感じの突起が無いよ。これじゃロープを固定できないじゃないか。」

ロープから伝わる穴の中の感触に僕はひとり愚痴った。でも更に奥の方へ伸ばしてゆくと良い感じの出っ張りを見つける。


「おっしゃーっ!見つけたぜっ!」

僕は漸くうまくいきそうな感触を得た為、思わずガッツポーズを決めてしまった。その後、ロープの端を出っ張りに固定した僕はロープを昇り始める。しかし、梯子なんかと違ってロープって昇りづらいったらありゃしない。しかも今回は自分の体重だけじゃなくて20キロほどの装備も背負っているからね。ロープを握る手の平が痛いぜっ!


それでも10分程、悪戦苦闘したのち僕は天井の穴まで達した。因みに装備をロープに縛っておけば後で引っ張り上げられた事に気づいたのは、ロープを回収した時である。うん、やっぱり経験の無さが見に染みるね。


さて、無事天井部分の穴に辿り着いたはいいのだが、その穴は本当に狭かった。穴自体は緩く上に向かって伸びていたので下に落ちることはなかったが、とにかく狭かった。前に進む度に体のあちこちが出っ張りに引っかかる。これは本当にただの亀裂なんじゃないだろうか?だとしたら苦労して進んでも意味がない。そこで僕はまたロープに魔法を掛け穴の先を探る。ロープ自体は20メートルほどあるので、その分だけは事前に穴の状況を調べる事ができるはずだ。


そんな探索を5回くらい繰り返しただろうか?僕は、なんか周りが明るく且つ広くなっている事に気付く。

「えっ?何?光源があるの?」

僕は視覚強化魔法を一旦解いて暫く目を閉じた。そうしないと視覚強化魔法によって感度を上げていた目のセンサーが光を認知しないからだ。


1分ほどそうしていただろうか。ゆっくり目を開けた僕は洞窟の先に小さな白い光を見た。成程、これくらいの光だと僕の視覚強化魔法は光源部分を減光してしまうから気付かなかったんだな。しかし、問題はあの光だ。


「あれ~?もしかして外に繋がっているの?僕ってみんなに知られていない入り口を見つけちゃった?」

僕が潜り込んだ天井の穴はダンジョンの入り口から数百メートルほどのところだ。そしてダンジョンの上には頂上部の高さが500メートル程度の山になっている。


潜り込んだ天井の穴は確かに緩やかに上っていたけど進んだ距離は100メートルくらいである。さすがに山の頂上には出ないだろう。となると光源の正体は人工光と推測できる。でもこんなところに人間の照明器具があるとは思えない。となると答えは・・。


「げっ、もしかして魔物の誘導光源か?」

そう、魔物に限らず暗闇では光源を囮に獲物を誘き出して狩りをする生き物がいる。人間だって海などでは魚相手に盛んにやっているらしい。


僕は広くなった洞窟部分から狭い場所まで匍匐後進する。そして再度視覚強化魔法を発動。焦点をあの光の部分に合わせる。そして感度を徐々に上げ且つ分解能を上げていった。


何もしなければ僕の視覚強化魔法は強過ぎる光を勝手に減光してしまうが、そこは手動とゆうか僕の意思で調整できる。だからそこにあるとさえ認識すれば最適な感度で光源を観察できるのだ。


「んーっ、光源に揺らぎはないな。となれば焚き火やランブの光ではない。色調は青味かかった白か。何だろう?」

じっと身を伏せて観察を続けても光源に動きはない。仮に魔物本体に光源があるとすればそいつも動いていないという事だ。


そんな正体不明の光源とにらめっこをする事10分。とうとう僕の方が痺れを切らした。僕は護身用の短剣を手に謎の光源の方へ身を屈めて進んでゆく。そしてとうとう謎の光源の前まで進んだ。


「何だよ、ただの光苔じゃないか。びっくりさせやがるぜ。」

僕は正体不明の光源が光苔だと判って安心した。

「でもさすがはダンジョンにある苔だな。こんな元となる光源のないところでもこんなに強く発光するのか。」

僕はその青白く輝く光苔を見ながら感心してしまった。多分、この苔の光の源もダンジョン内に充満する魔力だろう。このダンジョン内に生息するやつらの多くは、魔力を取り込みエネルギー源としているのだ。


「う~んっ、学校の授業では聞いてはいたけど、百聞は一見にしかずだな。実地こそが理解への近道なのか。」

そう言いつつも僕は急速に光る苔に興味をなくす。残念ながら僕の目的は魔石だ。苔ではない。だから少しだけ広くなった洞窟を身を屈めながらまた進み始めた。


しかし、進み始めるとまた光苔が現れる。それらは進むほど数が増した。50メートルほど進むと、もはや視覚強化魔法が必要ないくらい光苔によって洞窟内が明るくなる。


「う~んっ、不思議な感覚だね。洞窟を進んでいると言うより魔力パネルライトの通路を進んでいるみたいだ。」

魔力パネルライトは公共機関や金持ちの屋敷に使われている壁自体が光る照明器具だ。種類は色々で太陽光の色調に合わせたものや、この光苔のように青白い色のものなどその場の雰囲気に合わせたものが貼り付けられている。最近では照明のオンオフが機械的に出来るようになった為、安価な物が出回っており、一般家庭でもランプに変わって普及している。


そんな明るい環境が僕の警戒心を緩めてしまったのかも知れない。僕は不自然に床に転がっていた板状の石を注意もせずに踏んでしまった。するといきなりその石を中心として魔法陣が発動する。


「げっ!トラップかっ!」

僕は急いで魔法陣内から逃げ出そうとしたが、そこは広くなったとはいえ屈まなくては歩けない洞窟内だ。しかも魔法陣の大きさはえらく大きい。しかも床だけでなく壁や天井にまで描かれている。いや、それだけでは足りないのか洞窟内を何十にも折り重なって描かれていた。はっきり言ってぱっと見、何が描かれているのかさえ判らない程である。


「なんだっ!こんな大きな魔法陣が必要な魔法って一体・・。」

僕は学校の実習で見た一番大きな魔法陣を思い出す。別に魔法陣の大きさは魔法の強度や精度に直接関係はしない。どちらかというと如何に正確に描かれるかの方が魔法の発動には大事だ。でも大きく描けばそれだけ精度補正が効く為、魔法が発動しやすくなる。だからノートに描いた魔法陣では発動しないレベルの魔法でも、地面に大きく描けば僕ら学生でも魔法が発動したりしたのだ。


そして今僕を取り込んでいる魔法陣はその大きさといい、精度といい超一級品に見える。精度のいい魔法陣はその描かれた文様がくっきりと浮かび上がるものなのだ。そしてこんな光度で光る魔法陣を僕は見た事がなかった。


「うわーっ!駄目だ!死んじまうっ!」

僕の最後の言葉は実にチープなものだった。うんっ、でもまぁ、大抵はこんなもんでしょう?そもそも僕って中卒だよ?しかも今年の春に卒業したばかりの新人だもの。こんな場面で「くっ、無念っ!」なんて言ったら逆に笑われてしまう。


ああっ、でもこんなダンジョン内で死ぬのか・・。短い人生だったなぁ。やりたい事はいっぱいあったのにこれで終わりかぁ。


生まれてこの方、一度も会った事のないお母さん、お父さん。すいません、僕は死にます。確かに辛い事が多かった人生だけど、少しは楽しい事もありました。次に生まれ変われるとしたら、お金持ちのボンボンか貴族の長男がいいです。


あっ、可愛い妹なんかがいたら最高だな。うんっ、お兄ちゃんがんばっちゃうよ!でも弟を溺愛するお姉ちゃんも捨てがたい・・。くーっ、迷うなぁ。


人生の最後は走馬灯を見るというが、何故か僕は煩悩が爆発した。うんっ、さすがは中卒1年生だ。実に若いね。でもそんな若い身空で死ななきゃならないんだからこれくらいは許してよ。


僕がそんな懺悔をしていた次の瞬間、魔法陣が一気に発光して僕の体は消えてしまった。そして僕を消した魔法陣は暫くすると減光し、徐々に消えた。後には辛うじて魔法陣の外にあったロープの切れ端が残っただけである。

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