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雑文ラノベ「王立魔法学校高等部の優等生」  作者: ぽっち先生/監修俺
王立魔法学校 魔剣総戦編
34/52

決闘を申し込まれました

「げっ!メイファン・カルティアだって?」

メイファン・カルティアとのやり取りから2日後。学校に戻って来たロベルトとレオンに僕は事の顛末を話した。パーティリーダーであるジャックに相談する前に、同じ剣士ならばとまずはロベルトとレオンに相談したのだ。その返事が先程の言葉である。うんっ、僕から相手の名を聞いたふたりは本当に驚いたようだ。


「うわっ、いきなり懐刀のご登場かよ!ローレンツのやろう、血迷ったのか?」

「全くだ。しかし、アルベールも大したもんだ。さすがはシスター・ミッシェル仕込みといったところか。」

「そうだよなぁ、あのメイファンの初撃をかわすなんて、いくら相手が油断していたとしてもそうそう出来るもんじゃないからな。」

「ああっ、あれって来るのが判っていても動けないんだよな。なんか呪いでも掛けているのかね。」

「どうかなぁ、本番ならともかく、剣術の授業でそんなズルはしないと思うんだが。」

はい、ふたりは僕の相談など放っておいてメイファン・カルティアの剣術解析を始めてしまった。これは僕の失敗だ。剣術馬鹿に強そうな剣士の事を相談したらこうなるのは目に見えていたのに気付かなかったよ。なので仕方がないから僕はふたりに話を合わす事にした。うんっ、具体的な対応はジャックに相談しよう。


「メイファンってそんなにすごいんですか?いや、すごいのは判っているんですけど剣士の目から見た場合と言う意味で。」

「あーっ、ずごいなんてもんじゃねぇよ。ありゃ、化け物だ。まず動きが見えねぇ。いや、見えてはいるんだけど何故か体が反応しないんだよ。対応しようとした時にはいつも目の前にいるんだ。」

「そうだね。剣捌き自体はそんなでもないんだけど、あの動きは厄介だ。」

僕の問い掛けにふたりは嬉々として答える。このふたり、なんで嬉しそうなんだろう?これってあれか?男の子特有の強い者への憧れみたいなものが混じっているのかね。


「もしかして、シスター・ミッシェルよりも強いんでしょうか?」

僕は知っている人で剣に関して一番強いと思われる人の名を挙げる。うん、すまんねロベルトとレオン。残念ながら君たちは次点なんだ。でも銀メダルと銅メダルだからしょげないで下さい。

「んーっ、メイファンってシスター・ミッシェルとはまた別の強さなんだよ。シスター・ミッシェルの剣を『剛』と例えるならメイファンの剣は『瞬』だね。所謂スピード系の剣術なんだ。だから得物も短剣だったろう?」

「あっ、はい。」

僕はレオンに言われてあの時の事を思い出す。あの時はそれ程動揺しなかったけど、後で鞄の傷を見ていたら震えたよ。あれ、本気だったら鞄ごと刺し貫かれていたんだろうな。しかも位置的に内臓をぶすりとされていたに違いない。筋肉なんかと違って一部の内蔵は再生しないらしいからぐさりとされると致命傷なんだそうだ。だから暗殺などでは針みたいな剣で内臓を刺し抜く奥義などがあるらしい。これって毒なんかと違って証拠が残りにくいんだって。傷自体も小さいから見落とされ易いんだとか。う~んっ、怖いねぇ。


「しかもメイファンって、二刀流なんだよ!初手を防いでも、その隙をついて次の剣が伸びてきてお終いなんだ。剣ごとぶった斬るって手もあるけど、まず斬れる気がしねぇ。ロングソートの剣速より速い動きが出来るなんて信じられねぇよ。」

僕があの時の事を思い出して黙り込んでいるとロベルトが構わず話を進める。でもその内容はどう聞いてもメイファンの技量を褒めているよね。剣士ってやつは本当に強いやつには憧れがあるんだなぁ。でも次のレオンの言葉で話の流れが変わった。


「そうだよなぁ、そもそもカルティア流って戦場叩き上げの一撃剛剣が流儀なのにメイファンは異質だよ。」

「そう言えばメイファンってファミリーネームがカルティアでしたよね。もしかして宗家の人なんですか?」

うんっ、カルティアって名字はちょっと珍しいからこの疑問は結構当たっているかも知れない。


「あっ?ああ、彼女はカルティア流宗家の養女なんだ。とは言っても家に向かい入れられたのは5、6年前の事らしいけどね。その前はなんて名乗っていたんだっけ?」

「なんだったかなぁ、確か・・、ヒノモト系の姓だったはずなんだけど・・。あっ、思い出した!ヨシオカだっ!」

ロベルトがぽんっと手を叩いてレオンの問い掛けに答えた。すごいぞロベルト。剣関係の事ならちゃんと覚えているんだな!なのに何で勉強は覚えられないんだ?座学だって剣術学科は一般教養じゃなくてほとんど専門科目だろうに。


「ああ、そうだ。うんっ、ヨシオカだね。」

「ヨシオカ?メイファン・ヨシオカですか?」

「いや、ヒノモト系の名前は姓が前だから正式にはヨシモト・メイファンだな。」

ヨシモト・メイファン・・、あれ?なんかどこかで聞いた気がする名前だな。どこでだっけ?

僕はメイファンの名前にちょっと引っかかるものを感じた。う~んっ、どこかで聞いた気がするんだけど、思い出せないなぁ。


「ところでメイファンってユリウス・ハーウェイの護衛として学校に出入りしているんですよね?多いんですか、そうゆう人って?」

「あーっ、最近はあんまりいないらしい。でも全然ではないな。メイファン以外にも数人いるよ。大抵は政治家の家系のやつらが連れて来ている。」

「そうだな、でも殆どパフォーマンスに近いかな。昔と違って学校内へ押し入るようなアホは居なくなったからな。」

「と言うと、昔はいたんですか?」

「らしいねぇ、特にアラビニア王国が、つまり今のサウスバレー地区が合併した時は、あちこちでテロが頻発したらしい。この学校の生徒も狙われたらしいよ。まっ、襲撃されたのは校外でだったらしいけどね。」

「アラビニア王国の合併というと20年前?」

「いや、テロが横行したのは10から15年前だな。当初は合併に積極的だったアラビニア王国の王様が、合併条件に文句を言い出してから頻発するようになったらしい。」

「へぇ、それは初耳です。」

「これは政治的にはタブー扱いだからな。でも噂は今でも語られているよ。テロの後ろ盾は旧アラビニア王国の王様なんじゃないかってね。」

「うわっ、国家ぐるみですか。それは確かに公には出来ませんね。」


合併してひとつになった国内に旧領主国間の火種が燻るのはよくある話だ。でもそれが原因で国民同士で仲違いを始められては合併した意味がない。特に僕たちの暮らすミクテグラ王国は、当時海を挟んだ隣の強国『セント・カリメア帝国』に対抗する為に4王国がひとつにまとまろうといった動機があり、各国の国王たちが話し合って合併したのだ。

まぁ、実際は合併に反対する領主貴族たちも大勢いて血の流れるすったもんだがあったらしいが、そこは各国の国王たちが力でねじ伏せたらしい。うんっ、いつの時代も大勢が生き残る為には少数の意見は抹殺されるんだね。でもそれも仕方ないのだろう。生きるって事はきれい事だけではやっていけないんだと思う。

船が難破して救命ボートの定員が6人だった場合、7人目は乗る事が出来ない。情に流されて無理やり乗せても待っているのは定員オーバーによる沈没だ。ひとりくらい乗せろよと思うかも知れないが、危機的状態の時に乗せなきゃならない人数がひとりなんて事はまずないんだ。そうやってなし崩しに乗せていけば救命ボートは沈んでしまう。大勢を救う為に少数を捨てる。残酷な理論ではあるがそれが生きると言う事なのだろう。

ただ、そんな冷酷な判断をした事が国民に知れると国内に遺恨が残るから、旧ユーロピア王国、現ミクテグラ王国の王様が悪役となって力ずくで合併したなんて話をでっち上げたとも聞いている。この事により国民の怒りが少数を切り捨てた各国の王たちから旧ユーロピア王国、現ミクテグラ王国の王様に向き、合併した各国内の治安は安定したんだとか。

これは所謂ガス抜きだ。国民の不満のベクトルを一点に集中させる事により、民意を単純化させる。そしてミクテグラ王国の王様となった旧ユーロピア王国の王様は何人かの生贄を民衆の前で潰して黙らせたのだろう。つまり恐怖による民意誘導だ。そして当時、その役目を負ったのが国家安全対策省なんだって。

いや~、悪役って必要なんだねぇ~。でも僕はやりたくないね。だって報われないじゃない。多くの民の為に仕方なくやっているのに、文句を言われこそすれ、誰も判ってくれないんだぜ?あーっ、やだやだ。絶対やりたくない。

しかし政治って本当に大変だ。話し合いじゃ結論が出せない事が多過ぎるよ。王様が武力で黙らせたくなる気持ちも判るね。あっ、だからローレンツは僕にメイファンをぶつけて来たのか。うんっ、前件撤回。少数の意見も尊重して下さい。はははっ、僕もとんだ手のひら返しだね。


さて、そんなこんなでローレンツたちが次に仕掛けてきた方法は合法的な決闘だった。つまり、魔法と剣術の総合戦闘の模擬試合をやろうじゃないかとユリウスからジャックに申し入れが来たのだ。

この魔法と剣術の総合戦闘の模擬試合とは通常『魔剣総戦』と略され、学生間で執り行われるお祭りのようなものだ。どこかの国の行事に例えるなら体育大会のようなものである。但し、学校行事ではないので学校側は関与しない。まぁ、書類を提出し許可を受ける必要はあるらしいが、あくまで学生が自主的に行なう実力把握試合なんだって。

因みに場所と装備等は学校から借りられるが、学校行事ではないので装備等を損傷した場合は弁償しなくてはならない。う~んっ、シビアだね。もっとも装備に関してはここの生徒ってお金持ちの家が多いから殆ど自前らしい。くっ、どうせ僕は貧乏だよ。でもだから何?この国は貧乏人が支えているんだぞっ!金持ちなんか革命が起きたら首ちょんぱだっ!

まっ、冗談はおいといて、こう説明すると『合法的な決闘』とは言い過ぎじゃないかと思うかも知れないがさに非ず。場合によっては大怪我を負う事もある非常に危ないイベントらしい。ましてや、今回はこの学校で覇を競い合っているユリウスグループとジャックグループの対決だ。うんっ、よく許可したよな、学校も。ここまで学生に自由にさせるって、もはや自主性を重んじるというより、放任主義に近いんじゃないのか?


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