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雑文ラノベ「王立魔法学校高等部の優等生」  作者: ぽっち先生/監修俺
王立魔法学校 魔剣総戦編
33/52

メイファン・カルティア登場

さて、まずはメイファン・カルティアについて説明しておこう。彼女はユリウス・ハーウェイの身辺警護としてこの学校に来ている。なので学生と言う身分ではない。だから授業は受けていない。因みになんでユリウスに警護が付いているかと言うとユリウスのじいさん、ミクテグラ王国内務大臣グラディウス・ハーウェイの見栄からである。


ミクテグラ王国は過去に4つの王国が合併して誕生した。そこに至るまでには数々の血が流れている。そんな中、政治家の家族がテロの標的に狙われる事件が頻発した。そこで政治家たちは家族にそれぞれ警護を付けた。その範囲は当然子供たちの通う学校内にも及ぶ。最初こそ、逆にテロに巻き込まれるのではないかと心配する声が挙がったが、いざ蓋を開けてみると、学校に警護がいる事によりさまざまな厄介事が未然に防がれる事が判った。

そのような事情から逆に要人のご子息、ご息女は警護を伴う事がステータスとなったのだ。さすがにテロが鎮圧され世間が安定期に入ってからは子供にまで警護を付けさせる家は少なくなったが、それでも一部の有力政治家は自分への箔付けとして子供に警護を付けさせていた。内務大臣グラディウス・ハーウェイもその口である。


さて、そんなお飾りの警護職の為かメイファン・カルティアは暇を持て余していた。なので座学は勘弁とばかりにユリウス・ハーウェイを放って、剣術学科の実技にちょくちょく顔を出すそうだ。そして学生相手に稽古をつけているんだとか。

これは先生たちも黙認しているそうだ。なんせ、彼女は旧ユーロピア王国の指南剣法カルティア流の免許皆伝者らしいからね。その中でも彼女は短剣を用いた二刀流を使うんだとか。つまり戦場における斬った張ったではなく、狭い屋内などでのやり取りに特化したエキスパートと言う事である。はははっ、なるほど。だから護衛なのか。適材適所だねぇ。


だけどそんな彼女ではあるが、いきなり僕に果たし状を送り付けて来たりはしない。しないんだけど結果としては同じようなものだった。彼女は僕にローレンツの非礼を詫びたいと申し出、且つ千キロジャンバーの話を聞きたいと言って来たのだ。

うんっ、これはもう罠以外の何ものでもないよね。しらばっくれたら次の日、僕の頭と胴体は繋がってないよね?だからジャックたちに相談してもいいよね?

でも、そんな時に限ってジャックは学校にいなかった。はい、ダンジョンへ実習に行っているんだってさ。ロベルトとレオンもカルティア流の師範が稽古を付けてくれるとかで剣術科全員で道場に泊まり込みだってさ。はははっ、完璧に外堀を埋められているよ。さすがにロゼッタたちには相談できないしなぁ。彼女たちって魔法使いだから、剣術系は専門外だろうし。

かといって先生に相談するにしても、先生だってどう対処すべきか迷うだろう。別に僕は果たし状を貰った訳ではないんだ。相手は謝りたいと言ってきているだけである。それなのにあんまり過敏に反応しては他の生徒たちにも示しがつかないからね。仮に先生が同伴してくれて今回を事なきにやり過ごせても、向こうはまた別の事案を持って僕を呼び出せばいいだけだ。だから先生には頼れない。ここは僕自身がなんとかしなくちゃならない場面なんだろう。


仕方がないので僕はしぶしぶこの誘いを受ける。一応、ローリーにはこの事を伝えたんだけど彼女は笑って腕の一本も折られてあげれば相手も溜飲を下げるでしょうから諦めて行ってらっしゃいと言われてしまった・・。ぐすんっ、ローリーって現実主義過ぎるよ。ある意味怖い女だね。


そして今、僕は指定された場所へと向かっている。そこは校内でも特に人気のない廃材置き場だった。う~んっ、謝りたいって言っておきながらこんな場所を指定するのってどうなんだろう?まぁ、体育館裏なんていうベタな展開よりはマシか。


そしてそこにはメイファン・カルティアだけでなく数人の生徒たちもいた。当然ローレンツ・モルデランもいる。でもユリウス・ハーウェイらしき人物はいなかった。まっ、当然か。やつは黒幕だからな。こんな茶番に付き合っては威厳がなくなっちゃうもんね。

さて、当のメイファン・カルティアだが、聞いた話と違って見た目は普通に可愛いかった。いや、ロゼッタたちを基準にしているからそう感じただけで、彼女は十分に美しかった。多分町を歩けば、男たちに声を掛けまくられだろう。なんだよ、ローリー。どこがゴリラみたいなんだよ。あいつ、僕をからかったな。


「みなさんお集まりのようで恐縮です。そちらの方が僕を呼び出したメイファン・カルティアさんですか?」

僕はユリウスグループをバックにひとり椅子に座っている女性に声を掛ける。はははっ、すごい絵図らだな。まるで女王様みたいだよ。

「あら、お利口ね。ええ、私がメイファン・カルティアよ。さて、前置きは面倒なので本題に入りましょう。あなた、ジャック・イエーガーに取り入って、ユリウスについてある事ない事吹聴しているんですって?困るわぁ~。ウチの坊ちゃんって繊細だから陰口とかに敏感なのよねぇ。この前もちょっと腹回りが出てきましたねと声を掛けたら、拗ねちゃって部屋に閉じこもっちゃうんだもの。何やってるんだろうと扉をぶち破って入ったら、私の名前を書いた紙を前に呪いごっこの最中でしょう?本当にあの年頃の童貞って扱いが難しいわぁ。2、3回ぶん殴っただけじゃ懲りないんですもの。」

うんっ、前言撤回だ。彼女はみたいじゃなくて、本当に女王様らしい。雇い主の孫になんて事するんだこいつは。なんかユリウスが可哀想になってきたよ。本当は雇い主特権で彼女にエロい事をしたいんだろうけど、そんな童貞の夢をばっさりされちゃったんだろうな。はははっ、僕はシスター・ミッシェルのおっぱいを背中で堪能したもんね。うんっ、勝ったな。


「で、そんなユリウスの悪口を言いふらす悪い子には、お仕置きが必要だろうと言う事になってあなたに来て貰ったの。お分かり?」

「えーと、それって冤罪だって判って言ってますよね?」

「ふふふっ、当然ね。ローレンツのすかぽんたんの言葉なんて信じられないもの。でも、あなた千キロジャンパーなんですって?だから今回は面白そうだからローレンツのお願いにのったの。」

メイファンの言葉にローレンツが顔をしかめる。こいつ、ユリウスの側近の癖してこうなる事が判んなかったのか?それとも、それにも増して僕が憎かったのかね。どっちにしてもローレンツは馬鹿決定だな。

う~んっ、しかしまた千キロジャンパーの件かよ。どいつもこいつもなんでそんなに興味を持つんだ?宇宙からやって来ましたとかならともかく、千キロなんて馬車でも10日あれば移動できるじゃん。もしかして僕の頭に輪っかでも付いていると思ったのか?


「えーと、千キロジャンプの件に関してはあまり他言しないようとある組織から言われているんでここで話すのはちょっと。そもそも聞いても大して面白くないですよ。」

「そうなの?それは残念ね。なら体に聞いてみましょうか。」

そう言うとメイファンは初動もなく椅子から僕の目の前に飛び込んできて短剣を僕のわき腹に押し当ててきた。

ぐはっ、は、はぇ~っ!おいおい、椅子からここまで10メートルはあるんだぞ!どうやって動いたんだ?いや、動くだけでなく僕の目の前でぴたりと停止したよ!信じらんねぇーっ!物理法則を無視しているんじゃないのかっ!


だが、僕もやられっ放しという訳ではなかった。メイファンの短剣が僕のわき腹を突いて来るのは何となく判ったので、教科書の入った鞄で咄嗟に防いだのだ。お陰で鞄と中の教科書に穴が開いてしまった。くすん、教科書はともかく、鞄は買ったばかりなのに・・。いや教科書も新品だったな。でも穴が開いた程度なら読めるからいいや。

しかし、この行動が逆にメイファンの関心をかってしまった。これは彼女のプライドを少し傷付ける行為だ。彼女は寸止めで短剣を止めるつもりだったはずなのだ。だが鞄で剣先を防がれた事により条件反射で短剣にチカラが入ったのだろう。うわ~、まずい、非常にまずい展開になったぞ。


「あら、びっくり。まさか防がれるとは思っていなかったわ。もしかして剣術の心得があるのかしら?」

はい、あります。主におふざけへの対応ですけど。今回僕が取った咄嗟の対応は、シスター・ミッシェルが孤児院にて暇潰しに僕へ絡んできた時に鍛えられた条件反射だ。速度的にはメイファンの方が速かったけど、シスター・ミッシェルは四方八方どこからでも仕掛けてきたからね。もう、なんていうか体が覚えているのよ。

「えーと、剣術はやった事はありませんが、防御は叩き込まれましたから。門前の小僧じゃありませんけど体が覚えていたんでしょうね。」

「ふ~んっ、ただの魔法使いかと思っていたらとんだ隠し玉を持っていたのね。さすがは千キロジャンパーと言う事かしら。」

だから千キロジャンプは僕の実力じゃねぇって言っている・・、いや説明してなかったか。はい、すいません。


「あーっ、なんか毒毛を抜かれちゃったわ。本当は腕の骨1本くらいで終わらせるつもりだったけど、あなたちょっと危険な香りがするわね。だからまた日を改めて勝負しましょう。今度は本気で行くからジャックたちに泣きついてもいいわよ。じゃあね。」

そう言うとメイファンはさっさとどこかへ行ってしまった。この状況を飲み込めないユリウスグループはどうしたものかと右往左往だ。だが、主戦力のメイファンがいなくなっては彼らもどうすることも出来ないのだろう。さすがに寄って集って僕をタコ殴りにする気はないらしい。メイファンが僕を危ないと表現したのも彼らを怖気づかせたのかも知れなかった。

そして捨てゼリフもなく彼らもメイファンの後を追った。いや、ひとりだけ女の子が僕に寄って来てお金を差し出して来たよ。

「あの、これ。鞄の修理代です。」

女の子は僕にぺこりと頭を下げてローレンツたちの後を追う。ふ~んっ、あの子もユリウスグループなのか。でも、僕への気配りからして悪い子とは思えない。多分、何らかのしがらみがあるんだろうな。家がローレンツと付き合いがあるとかね。本当に人との付き合いって大変だよな。


さて、メイファン・カルティアとの面倒は取り合えずお流れとなった。だけど、決着が着いた訳ではない。どちらかと言うと余計に火が付いちゃったかもしれない。なんたって今度はジャックたちも連れて来いなんて言われちゃったもんな。すごい自信だね、メイファン・カルティア。さすがはカルティア流の免許皆伝者だ。おっかねぇ~。


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