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雑文ラノベ「王立魔法学校高等部の優等生」  作者: ぽっち先生/監修俺
出会い編
25/52

シスター・ミッシェルvs僕

「それでは両名、位置に付いて下さい。」

スターター役のロベルトが僕らに声を掛ける。その声に僕は足元の砂をぎゅっと踏み締め直した。


「アルベールお兄ちゃん、がんばってぇ~!」

「シスター・ミッシェルぅ~、手加減してあげて下さいねぇ~!」

波打ち際からは、僕とシスター・ミッシェルの勝負に気付いた子供たちからの応援の声が届く。でも声援は僕へだけだ。シスター・ミッシェルへはない。まっ、今までの戦績が100戦全敗だからな。仕方ないか。シスター・ミッシェルに至っては余裕をぶっこいて子供たちに手を振っているよ。


だが今回の僕は今までとはちょっと違うぜっ!何たって賭けているモノがお宝だからなっ!死ぬ気で取りに行くぜっ!でも、シスター・ミッシェル。僕にも立場がありますから、子供たちの手前やっぱり手加減して下さい。後で僕のおやつを奉納しますから・・。


そして子供たちの声援の中、ロベルトが僕らに最終確認をしてきた。


「双方準備はよろしいか?」


「おうっ、ばっちこいっ!」

「はい、いつでもいいですよ。」


「それでは用意~、スタートっ!」

スタートの掛け声と共に僕は海へと走り出す。駆けっこならシスター・ミッシェルともいい勝負が出来るんだ。ただここはいつもの地面と違い砂浜である。しかも波打ち際へ向かって突っ込んでゆくのだ。当然僕は波に足を取られて盛大にコケた・・。うんっ、これで二度目だな。学習しねぇなぁ、僕も。


でも今はそんな事を気にしている暇はない。僕は転んだ勢いのまま水中に潜り込み一気に沖合いに進む。そしてタイミングを合わせて寄せ来る波の向こうへと顔を出した。そこでチラリとシスター・ミッシェルを確認する。


そしたらあんた、なんとシスター・ミッシェルはまだ波打ち際だよ。どうやら波に水着を持っていかれないように静々と波を避けてから泳ぎ出すつもりらしい。


ふっ、性別のハンデがこんなところで僕に味方するとはな、今日こそはイケるぜっ!


僕は有利に事が運んでいる状況に気を良くして猛然と沖に向かって泳ぎ出す。川で溺れてベソをかいていたのは昔の事だ!あの後、猛特訓して魔法中学での水泳の成績はクラスで2番だったんだぜっ!今回は貰ったっ!


だが、魔法中学の水泳の授業は川から水を引きこんだ、流れのない場所で行なわれていた。そんなぬるま湯な場所と海では全然勝手が違う。川程ではないにしても海にも流れがあるのだ。そんな波に逆らって沖に出ようとするのは骨がおれた。


うんっ、全然前に進んでいる気がしない。3回水を掻いても波に2回分押し戻されている感じだ。まぁ、多分シスター・ミッシェルも同じだろうから最初のアドバンテージは保っていると思うけど気持ちは焦る。そこで僕は必殺技を繰り出す事にした。


その必殺技とは!そう、水中潜水だっ!なんと水の抵抗は水面より水中の方が少ないらしいのだ。これは科学的に証明されている。・・多分いるはずだ。確認した事はないんだけどね。それに推進力となる腕の振りと足のバタバタも水中の方が効率が良い・・はずだ。だって水面では半分水面に出ちゃっているんだから。


まっ、これは僕の経験論なので真偽の程は定かではないが、水泳の授業ではタイム的に水中潜水の方が速かった。おかげでみんなが真似したよ。でもこの泳法には弱点もあった。そう、僕らは魚と違って肺呼吸なので水中では息が続かないのである。


それでも僕はシスター・ミッシェルから初勝利を掴む為、息の限り水中をドルフィンキックで突き進む。水中では抵抗が増すので腕は真っ直ぐだ。でも全力で筋肉を動かしている僕は急激に体内の酸素を消費してゆく。あっ、駄目。もう限界・・。


僕は堪らず酸素を求めて水面に顔を出した。うんっ、それでもかなり距離を稼いだ。既に波による押し戻す力は弱い。ならばこのまま一気にスパートだっ!


僕は泳法をクロールに変えて流木目掛けて突進する。時々呼吸のタイミングと波が重なって海水を飲んでしまうが気にしない。そんな事など勝利を手にする事に比べたら屁でもないのだ。行くぜっ!初勝利!勝利の栄冠を掴むんだ!


「いけぇ~、お兄ちゃんっ!まだ勝っているよ~っ!」

水上に出た為、砂浜から応援する子供たちの声が聞こえてくる。ふふふっ、よしよし、いい子だ。僕のおやつを半分わけてやろう。でも『まだ』ってなんだ?それって結局僕が負けると思っているのか?こらこら、言葉を選ばんかいっ!『まだ』はいらん!やっぱりおやつを分けるのは止めよう。


さて、水面を泳ぎ続けると漸く流木を目視できる距離まで近付いた。残りは20メートルくらいか?これはもう勝ったな。だが、勝負に油断は禁物だ。僕は最後の駄目押しとばかりに再度の水中潜水に入る。これで一気にシスター・ミッシェルを引き離し副賞のパンツを手にするのだ!


しかし、ここで異変が起きる。ゴールまであと少しというところで僕の脇を大きな影が通り過ぎようとしたのだ!


おわっ、何だ?もしかして鮫か?こんなところに鮫がいるのか?ちょっと止めてくれ。僕は食べても美味くないよ。あっちへ行けっ!


だが影の正体は鮫ではなかった。そう、シスター・ミッシェルがラストスパートを掛けて来たのだ。げげげっ、何で?結構なアドバンテージがあったはずなのに!畜生っ、負けて堪るか!


僕は足の筋肉に体内アドレナリンをぶち込み速度を上げる。急激な負荷にみるみる体内の酸素が消費されてゆくが我慢だ。ここで安全策などを取っては負けてしまう。負けたら今までの苦労も意味がなくなってしまう。勝負とはそれ程敗者にとって残酷なのである。


そして我慢の成果は結果として現れた。一時は並ばれたが、また僕は半身ほどリードする事に成功する。流木までは後5メートル。このまま泳ぎきれば僕の勝ちだっ!


しかし、それはシスター・ミッシェルも同じだったらしい。ぐいっと増速したかと思うと忽ち僕の前に出た。くそっ!この期に及んで増速出来るのかよっ!やっぱり化け物だな!


この時、僕の頭に『敗北』の二文字が浮かび上がった。畜生っ!また負けるのか。


その時である。体ひとつリードしていたシスター・ミッシェルが深く潜った。えっ、なんで?どうしたの?もしかして足がつったのか?


でも見た限りでは体に異変はないようだ。もしかして僕をからかっているのか?ならとんだ失策だよ、シスター・ミッシェル。勝負に油断は禁物だぜっ!


僕はシスター・ミッシェルが潜行した事により、再度頭ひとつ分リードする事となった。そしてそのままの勢いで流木にタッチする。


「やったぜ!初勝利だっ!」ごぼごぼごこぼ・・。

うんっ、水中で喋っちゃ駄目だよね。でもそんな僕の脇をシスター・ミッシェルが水上目掛けて下から駆け上がってくる。そして、そのままの勢いで水上に躍り出た。


「あっ!」

その行為を見て僕は自分の失策に漸く気付く。そう、今回の勝利条件は『流木に結んだリボンを先に取った方が勝ち』だったのである。流木に先に辿り着く事ではなかったのだ。まぁリボンが無かったので流木に結ばれたのはシスター・ミッシェルのパンツだったが条件は変わらない。


そして僕の脇に、人魚よろしく自分のパンツを手にしたシスター・ミッシェルが空中から再度水中に飛び込んでくる。僕は流木に掴まりながらその光景を見ていた。はぁ~っ、やってしまった・・。ルールを勘違いするなんてとんだ馬鹿野郎だぜ。ぐすんっ、これでまた連敗記録が伸びてしまった・・。


そんな僕をシスター・ミッシェルが慰める。


「成長しましたね、アルベール。今回はぎりぎりでした。」

「はぁ、どうも・・。」


「決め事なのでご褒美は上げられませんが、私も少々疲れました。この後、私はロベルトとひと勝負しなくてはなりませんので、体力の温存を図らなければなりません。よって勝利者権限として海岸線まで私をおぶって行く事を命じます。」

「はぁ、判りました・・。えっ、おぶるんですか?」


「負けたのですからあなたに拒否権はありませんよ。それとも疲れ果てて無理ですか?」

いや、シスター・ミッシェル。誰が拒否などするものかっ!青少年たちなら土下座してこちらからお願いしたいようなスペシャルミッションじゃないですかっ!


「大丈夫です!さぁ、シスター・ミッシェル。掴まって下さい!波がありますから密着して下さいね!」

シスター・ミッシェルからの粋な計らいに僕の体内魔力ゲージがぐいーんとマックスになる。ついでに言うと、シスター・ミッシェルの胸が背中を圧迫してくる感触を感じた途端、僕の男の子もにょきにょきといきり立った。あててっ、くそっ、水泳用のパンツはぴっちりし過ぎていて具合が悪いぜっ!


僕はさりげなく元気になったマイサムの位置を直して泳ぎ出す。そんな僕へシスター・ミッシェルが耳元で話し掛けてきた。


「強くなりましたね、アルベール。でも油断は禁物です。あなたは守ろうとするモノが多過ぎる。でも全ては守りきれません。だから仲間を大切にしなさい。そして助け合うのです。そうすれば何れ大きなモノを手にする事ができるでしょう。」

うんっ、シスター・ミッシェルがなんか言っているけど、この時の僕の全神経は背中に当たるふたつの膨らみに集中していたので聞き逃しました。


しかし、至福の時間は長くは続かない。思いっきりゆっくり泳いだつもりなんだけど、僕らは波に押されて早々に海岸へと着いてしまった。う~んっ、流木に忘れものをしたと言って、もう一回戻っちゃおうかな。


「はい、お疲れ様。ここまででいいですよ。」

頭の上からシスター・ミッシェルの非情な終了宣言が降って来る。その言葉に僕は名残惜しくもシスター・ミッシェルを降ろした。まぁこれ以上は波を被っちゃうからな。仕方ないや。


でもここでひとつ問題が発生した。このまま海から上がっちゃうと僕のマイサムのぽっこりがみんなに知れ渡ってしまう。はいっ、子供たちも集まってきているからこれは教育上あまりよろしくないよ。なので僕はもう少しここにいます。うんっ、魔法陣の詠唱でも復習しよう。

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