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雑文ラノベ「王立魔法学校高等部の優等生」  作者: ぽっち先生/監修俺
出会い編
16/52

2回目のダンジョン探索

さて、親方の件は後にして、次の日僕とジャックたちは例のダンジョンへと向かった。手元にはシスターが作ってくれたお弁当もある。うん、まるでピクニックだね。前回と違い、今度はジャックもいる。ミハイルだって魔法対策部を名乗る以上経験はあるはずだ。だから今回は大船に乗った気分でダンジョンに入れるのさ。


それに僕自身も前回と違い、ダンジョンに入ると何やらチカラがみなぎってくる気がする。やっぱりあれか、2度目だと違うのかね。経験者というものはやっぱり違うのだろうか。


そして今、僕らは例の第2経路の看板の前にいる。僕が使った棒もそのまま残っていた。しかし、いくら見ても天井にあの穴がない。


「おかしいなぁ、この前はここに棒を立てて上を見たら穴が空いていたのに・・。」

「あそこに穴が開いていたんだな?」

僕の言葉にミハイルが天井を見ながら確認してきた。


「はい、位置的にはあそこら辺に人ひとりがやっと入れるくらいの穴が開いていたんです。」

「そうか、まぁ、ダンジョンだからな。入り口や通路が変わる事も珍しくはない。」

僕の返事にミハイルがそれらしい予測をする。確かにダンジョンでは通路が自然と塞がったり、新たな穴が見つかったりする事はままある。でもそれはもっと階層の下での事だ。ここってまだダンジョンの入り口部分だよ?そんな事があるのかね?


「そうですね、それではちょっと調べてみましょう。ミハイルさんは周囲の警戒をお願いします。」

「ああっ、引き受けた。」

ミハイルの予想を受け、ジャックが何やら変わった探査魔法で周囲を調べ始める。壁に手を当てて、ずしんっといった感じの衝撃波を発生させたのだ。それを壁の両側で行なう。そして何かを感じたのかジャックがその結果をミハイルに報告する。


「あーっ、確かに空洞がありますね。ここの真上からあちらの方に向かっています。結構長いな、100メートルは続いていそうだ。」

「アルベール、君はこのダンジョンには詳しくないんだよな。」

「はい、全然。」

ジャックの報告を受けてミハイルが僕に聞いてくる。


「そうか、ではここに詳しい者も知らないか。」

「えーと、ここはCランクのダンジョンなので、入り口で待っていればパーティの出入りがあるかも知れません。僕が潜った時も一組すれ違いましたから。」

「そうか、まぁそこまで確認する事もないか。ジャック君、ちょっと派手にやるから君たちは下がっていてくれ。」

そう言うとミハイルは持ってきたリュックから何やら取り出して床に置いた。


「ほうっ。」

ミハイルが床に置いたものを見てジャックが声を上げる。どうやらジャックにはあれが何だか判るようだ。

「何ですか、あれは?」

「あれは指向性を持たせた爆薬だよ。主に鉱山なんかで使うんだが、ダンジョンでも使うやつらがいる。入り口を塞がれた時とかにね。」

「爆薬?もしかして塞がった穴をこじ開けるつもりなんですか?なら天井に仕掛けなけりゃ駄目なのでは?」

「まぁ、見ていたまえ。やり方は色々あるのさ。」

僕とジャックが話している間にもミハイルはてきぱきと準備を進める。そして僕らの近くまで後退するといきなり魔法陣を展開した。


「操作術!ベクトル、アップ!」

ミハイルの詠唱により展開された魔法陣は中央に置かれた爆薬を天井へと吹き飛ばす。そして天井に達した爆薬は、どんっという腹に響く振動と共に天井の岩を粉々にした。


「操作術!ウエルカム・ウインド!」

続いてミハイルは風を操作して、爆発で発生した埃を入り口に向かって拭き流す。そしてもうもうとした埃が晴れると、そこには前に僕が入った穴が見てとれた。


「お見事!手馴れたもんですね。」

「ははっ、嫌味はよしてくれ。総合魔法学科の君ならもっとスマートにやれただろう?」

「何でも魔法で片付けられる訳ではないですよ。道具があるのならそれを使う方法を覚えろとも教えられています。」

「まっ、それもまた正論だ。どれ、それでは道具を使って確かめてみよう。」

そう言うとミハイルは、何やら長いケーブルを取り出し空いた穴へと操作魔法で送り込んだ。そのケーブルの端はミハイルの手元の四角い箱に繋がっており、ゲージが行ったり来たりしている。


「成程、これは当たりかもしれないな。」

ミハイルは測定器を見ながらひとり呟く。

「何か判ったんですか?」

僕は気になって問い掛けた。


「ああ、だが君たちにはちょっと話せない。だから気にしないでくれ。」

そう言ってミハイルがケーブルを更に奥へ送り込もうとした時である。測定器から警告音が鳴り響き、ゲージが振り切れたのが見てとれた。


「ちっ、トラップか!」

ミハイルは測定器を投げ出して、腰の剣を抜き放った。ジャックも僕を後ろに庇いつつ戦闘態勢にはいる。

「なんです?どうかしたんですか?」

訳が判らない僕は情況を把握しようとジャックに問い掛ける。


「あの穴の奥から魔物が来る!しかも尋常じゃない数だ!」

ジャックの説明が終わらない内にそれは天井の穴から零れ落ちてきた。


それはドクトレイブの森でジャックたちが相手にしていた蜘蛛のような形をしていた。しかし、大きさは倍以上ある。そんなやつらが後から後から天井に開いた穴から溢れ出てくる。忽ち入り口方向の通路は蜘蛛でいっぱいになった。


「えっ、あれってファントム・ミラージュの幻影ですか?」

僕はひとり推測を口にするが、周りを見渡してもファントム・ミラージュの姿は無い。となると・・。

「いや、どうやら本物らしい。ここにファントムの気配はない。」

僕の推測をジャックが否定する。そうか、幻影じゃないならやり様はある。少なくとも倒せばそいつは生き返らない。僕は腰のロープに手を伸ばし手元に魔力を溜めていった。


「ジャックさんっ!僕も戦います。結界を解いて下さい。」

「大丈夫なのか?」

「いけます!」

掛け声と共に僕はロープを操作して、迫ってくる蜘蛛目掛けて投げつけた。当然ロープの先は槍化してある。


「ギッ!」

僕のロープに貫かれた蜘蛛が短く鳴き声を発しつつも動くのを止めない。基本昆虫形態の魔物は急所というものを有していない場合が多い。学校で受けた説明では神経系が分散している為、一箇所を破壊されても他が補うそうだ。


その為、昆虫系の魔物を相手にする時は武器となる牙や足をなぎ払い攻撃力を無くすのが最良とされている。でも蜘蛛って足が沢山あるからな。多分こいつらは糸も吐くはずだ。一斉に糸を吐かれたら避けきれんよ。まぁ、そこいらはジャックの結界を信じるしかない。


僕は槍化による突きでは効率が悪いので、試しに剣化が出来るか試してみる。とは言ってもやり方が判らないから念じるだけだ。でもこれはうまくいった。槍化した穂先を残したまま、ロープが平たい剣と化したのだ。


僕は横殴りに剣化したロープで蜘蛛たちをなぎ払う。剣化したロープの斬れ味は凄まじく、まるでケーキを斬るかのように蜘蛛たちを斬り刻んでいった。


「ほうっ、やるじゃないか!」

剣で蜘蛛たちをぶった斬っていたミハイルが僕のロープ操作を見て褒めてくれた。

「いや~っ、それ程でも。」

その時、褒められてちょっと気を抜いた僕目掛けて、蜘蛛たちが必殺の糸を吐き掛けてきた。


ぷわ~っ!


左右無数の蜘蛛から噴き掛けられる蜘蛛の糸に逃げ場はない。ロープで防ごうとしても粘液の付着した蜘蛛の糸が絡みつき、すぐに糸を斬る事が出来なくなった。


「うわっ、ちょっと待った!」

待てと言われて待ってくれるほど蜘蛛はお人よしではない。哀れ、僕は蜘蛛の糸でミイラと化すかと覚悟した。でもそんな覚悟は必要なかった。ジャックが直前で結界を張ってくれて蜘蛛の糸は僕まで届かなかったのだ。


「ありがとうございます!」

「油断するなよ。次は助けられんかも知れんぞ!」

「はい!」

うんっ、さすがはパーティリーダーだ。厳しいね。だけど状況はもっと厳しかった。倒しても倒しても蜘蛛は天井の穴から湧き出てくる。このままだと、その内このダンジョンを埋め尽くすんじゃないのか?


だけどそこは場数を踏んでいるであろうミハイルが解決策を提示してくる。


「ジャック君!これではきりがない。焼けるか?」

「いけますけど、他に人がいると巻き込みませんか?」

「天井の入り口だけでも塞ごう!」

「判りました、バックフラッシュが起こるかも知れません。気を付けて下さい!」

「了解した!」

「アルベール!下がるんだ!天井を焼くぞ!」

えっ、火を使うの?ここで?ここってドクトレイブの森のダンジョンみたいに広くはないよ?え~っ、大丈夫なのかよ!


「リミテイション・バーナー。ケルビン1000!」

はい、ジャックも馬鹿ではないよ。ちゃんと必要最小限の火力で天井の蜘蛛たちを焼いた。でも確かに範囲は限定されていたけど火力は凄いね。レイチェルの業火魔法はオレンジ色だったけど、ジャックのやつは青白かったよ。そのせいか、焼かれた蜘蛛たちもぱさぱさになって崩れ落ちているよ。


だけど狭い洞窟内の、それ以上に狭いあの天井の空間で高温の炎を発生させたツケはでかかった。一気に暖められた狭い空間内の空気が膨張して、出口を求めて僕らのいる洞窟目掛けて噴出してくる。そこで新鮮な空気に触れた高温の空気は、科学の道理に基づき一気に燃え上がる。


その灼熱の火流は下にいた蜘蛛たちを吹き飛ばしつつ焼き尽くす。僕らは辛うじてジャックの防御障壁にて守られたが、1分ほどは空気が熱過ぎて呼吸が出来なかった。


「ふうっ、何とか撃退したか・・。」

1分後、熱くなった空気を魔法でジャックが排出し終えると、ミハイルが肩で息をしながら額の汗を拭い一息ついたようにぽつりと呟く。僕に至っては言葉を喋る事も出来ないくらい疲れ果てていた。


「この蜘蛛は何だったんですかね?」

焼け焦げて足を上にひっくり返っている蜘蛛の焼死体を見ながら、ひとり平然としているジャックがミハイルに問い掛ける。さすがは総合魔法学科の優等生だ。あれ程の魔法でも息も切れないんだな。


「ん~っ、その事に関してはちょっと教えられないんだ。まぁ、いずれは知るかも知れないが、今は我慢してくれ。」

「国家機密と言う訳ですね。」

「ああ、そうだ。」

げーっ、国家機密だって・・。僕ってそんなキナ臭い魔法陣を踏んづけたのか・・。運が悪いな。


「で、どうします?あの穴の中は焼いちゃいましたけど?」

「そうだな、まぁまだトラップがあるかも知れん。このまま突っ込んでも対応出来んかも知れんな。今日はここまでとしておこう。」

「そうですね、この蜘蛛たちも何とかしなくちゃいけないでしょうし。」

うんっ、そうだね。ゴミは持ち帰るのがマナーだしな。しかし、この量は大変だ。僕がやらなきゃならないんだろうか?

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