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雑文ラノベ「王立魔法学校高等部の優等生」  作者: ぽっち先生/監修俺
出会い編
13/52

人生初の取調べです

さて、国家安全対策省に拘束されて、僕は今取り締まり室にて尋問を受けている。拘束魔法を解かれた後、無理やり筋肉柔軟魔法を掛けられたので節々が痛い。後、取調べと言えばカツ丼が定番じゃないのか?僕は昼飯の途中だったんだぞ!


どんっ!


僕の心の罵倒を感じ取ったのか尋問官がタイミングよく拳で机を叩いた。


「だんまりはよくないぞ、アルベール。子供だからって甘くして貰えると思ったら大間違いだ。違法魔法の行使はA級犯罪だからな。場合によっちゃ、棺桶に入ってここを出る事になるかも知れんぞ。さっさと仲間の名前を言えっ!」

はい、実は僕って実行犯として捕まった訳ではないようです。別に主犯がいて、そいつを捕まえる情報を得る為に拘束されたらしいです。そりゃ、そうか。だって僕って、しがない中卒魔法使いだもんな。誰が考えたって違法魔法なんか扱える訳がないもん。


「えーと、こう見えて僕って色々なグループに所属しているんで、どんな違法魔法で捕まったのか説明して貰えないと答えられないんですが。」


どんっ!


「舐めるなっ!知っている事は全部吐けっ!」

尋問官はまたまた拳で机を叩いた。どうやら僕のジョークに気を悪くしたようだ。ぐすん、渾身の勇気を振り絞って虚勢を張ったのに問答無用かよっ!いつか冤罪と認められたら自白を強要させられたって言いふらすからなっ!


「ですから違法魔法の種類を教えて下さい。僕はこれでも魔法使いなんですから知らず知らずの内に違法魔法に携わっていた可能性は否定しません。だけど、種類も判らないんでは答えようもありませんよ。」

「ふんっ、いっちょ前に論理武装かよ。まぁ、いいだろう。お前は転移魔法容疑を密告されたんだ。何でも無許可で千キロオーダーの魔法陣の開発をしていたんだってな。」

尋問官の言葉で漸く僕が連行された理由が判った。そうか、あれが原因か・・。確かに300キロ以上の転移魔法の開発は国に申告する必要がある。そして公式に実用化されている転移魔法陣の距離は確か100キロくらいだったはずだ。研究所レベルでも漸く500キロの転移に成功したと話題になったのはついこの前である。そうゆう意味では千キロは確かに違法魔法かも知れない。


でもおかしいな。僕が転移魔法でウエストキャナルから跳んだ事を知っているのは、ジャックたちと工房のみんなだけだぞ?しかも工房の人たちはまた聞きだ。云わば噂話のようなものだ。そんな信憑性の薄い話を国安に告発するか?ましてやジャックたちは当事者である。告発したって何のメリットもないと思うんだけど。実は仲間割れでもしていたのかね。


「あのぉ、それって情報源は教えて貰えないですよね?」

「当たり前だ。」

う~んっ、判らん。そもそもあの転移魔法陣をあそこに配置したやつの事なんて僕は知らないぞ。つまり、僕は尋問官の質問に答えられない。でも尋問官にその事を話しても信じて貰えないだろう。こいつ絶対僕に仲間がいると信じているみたいだからな。


どうしよう?いっその事、親方が主犯だとか言うストーリーをでっち挙げるか?これなら信憑性もあるだろうし、親方にも意趣返しが出来て一石二鳥かも知れない。


「あのぉ、僕がどこから跳んで来たとかはご存知なんですか?」

「あんっ?ウエストキャナルなんだろう?」

ほうっ、その事まで知っているのか。ではひとつカマを掛けてみよう。


「僕がウエストキャナルでは結構名の知れた魔法使いの弟子だと言う事も?」

「いや、それは知らんな。その魔法使いが主犯なのか?名はなんて言うんだ?」

僕の話に尋問官はやっと喋る気になったかという感じでのってきた。でもそうか、ウエストキャナルにおける僕の立場までは把握していないんだな。となると情報源はジャックたちではないかも知れない。ジャックたちなら僕が小さな工房の見習いという事を知っているからね。話に信憑性を持たせる為に敢えて伏せたとも考えられるが、そんな事をする意味があるのか疑問でもある。


う~んっ、一体誰なんだろう?僕を告発したやつは。そもそも僕を告発する意味が判らんよ。告発すると国安からお小遣いでも貰えるのかね。いや、そんなでは小遣い欲しさにデマ情報が多くなり過ぎて国安も処理がしきれないだろう。


「あのぉ、ちょっと時間を頂けませんか?頭が混乱して考えがまとまらないんです。」

「ふんっ、時間稼ぎか?まぁいい、別に貴様の証言などなくても裏は取れるんだ。精々自分が犯した罪を悔いるんだな。おいっ、こいつを独房に放り込んでおけ!尋問は明日に延期だ!」

「はっ、尋問官!」

僕は尋問官の隣に控えていた憲兵に連れられ部屋を出た。行き先はこれまた人生初の独房である。う~んっ、人生経験としては随分過激な体験である。成程、これ程のプレッシャーを掛けられたらやっていない事でも自分がやりましたと言ってしまいそうだ。


しかし、尋問官は僕の証言などいらないと言っていたけど、なら何で僕を捕まえたんだ?あれも尋問のテクニックなんだろうか?そもそも僕の証言がいらないなら捕まえないで欲しいよな。全く一方的な告発だけで人民を拘束するとはけしからん組織だ。僕が偉くなったら王様にチクってやる。いや、偉くなんてなれないけどね。


さて、ここは独房である。はっきり言って、今朝まで僕が片付けていた部屋より3ランクはグレードが落ちる。ベッドはないし、トイレは桶だよ?広さだって2メートル四方くらいだ。でも壁の厚みだけは最高級ホテル並みかも知れない。しかもしっかりとした石積みだ。うん、今が初夏で良かった。冬だったら1時間で凍えてしまう。


そんな牢屋で僕がどうしようかと悩んでいると、午後の遅い時間にジャックが尋ねて来てくれた。僕はこの状況をどう言えばいいのか口ごもっていたが、ジャックの方からすまなそうに状況を説明してくれた。


「すまん、どうやらユリウスたちに君の存在を知られたらしい。」

「ユリウス?誰ですか?」

「ローザがいざこざを起こしたグループのリーダーだ。」

ああっ、そう言えばそんな事を言ってたね。でもそれと今回の事はどう繋がるんだ?


「俺は君の存在を誤魔化して、彼らと今回の腕試しの決着を付けたかったんだが、相手が納得しなくてな。それでローザがぽろっと喋ってしまったらしい。」

う~んっ、元凶はローザだったか。そして僕の千キロ跳躍を聞いたシリウスとやらが国安に僕をチクったのか。しかし、そんなあやふやな情報で国安が動くのか?


「そのユリウスって人、国安に伝手がある人なんですか?」

「ああっ、ユリウスは内務大臣の孫なんだ。」

おーっと、でたよ。またまたお坊ちゃまのお出ましだ。さすがは王立イーストリバー魔法学校だな。貴族の息子くらいじゃ大きな顔も出来ないのか。


「でもいくら大臣の孫からの告発だからといって、裏も取らずに国安が動くもんなんですか?だって僕とあなたたちが、あのダンジョンで出会ったのって3日前ですよ?」

うん、自分で言っておきながらこの言い分に無理があるのは承知だ。国安って国家の安全に関係する事に関しては強い権限を有しているからね。つまり王さま直轄の機関なのだ。国家の不安材料になりそうな事に関しては、例えそれが噂話レベルの事でもしょっ引くのが彼らのやり方だった。


「まっ、国安のやり方はまずは拘束。そして勘違いだったら釈放というのが基本だからな。荒っぽいと言えばそうなんだが、その方法で成果も挙げているから中々直らんらしい。」

そうか、そうゆうものなのか。まぁ、100あたって1当たりが出たら確かに成果があったと言えるもんな。犯罪の未然防止に関してはそれくらいやらなきゃ防げないのかも知れない。なんせ、いざ犯罪が起こってからじゃ、何をしていたんだと弾劾されるのは国安の方なんだし。


「あの・・、そうなると、もしかして僕ってこのまま犯罪者として投獄されるんでしょうか?」

僕は僕の置かれている状況を知ってしまったが故に、逆に不安になる。中学を卒業した途端前科持ちになったなんてシスターたちに知れたら泣かれてしまう。町の人たちの孤児院を見る目も冷たくなるはずだ。


ぐはっ、まずい!それはまずいよ!僕の事はともかく、シスターたちに累が及ぶのはまずい。ただでさえ僕は孤児院にまだ大した恩返しをしていないのに、孤児院の看板に泥を塗るような噂が立ってはシスターたちに合わせる顔がないではないか!うんっ、やっぱり親方を主犯にして全部あいつに罪を擦り付けよう。


だけどそんな僕の企てもジャックの言葉でご破算になる。


「いや、君の事に関してはロゼッタとレオンの家が保証人になる事で、もうすぐ釈放されるはずだ。」

「えっ、本当?」

「ああ、それでも内務大臣がぐすぐず言うようなら俺の家が相手になる。でも、さすがに大臣もそこまで事を荒立てようとはしないはずだ。」

おおっ、すごいな大魔法使いアルティナの直系は!内務大臣ですら屈服させられるのか!


「そうは言っても国家安全対策省の面子を潰す訳にもいかん。だから君は証人として、ウエストキャナルで君が飛ばされたという転移魔法陣の場所を案内する必要がある。」

「はぁ、まぁそれくらいでしたら・・。」

成程、僕が跳んだのは事実だからその原因となった魔法陣は確認しておく必要があるんだな。


「それで俺も君を発見したパーティのリーダーとして着いて行く事にした。よろしくな。」

「はぁ、それはどうも。」

「とゆう事で、今しばらくは牢獄生活を満喫してくれ。善人たる君には、本来縁のない場所だろうからな。いい経験になるぞ。」

「はぁ、そうですか・・。」

うんっ、さすがは名家のおぼっちゃまだ。投獄された庶民の心細さなんか判らないんだろうな。


それにしてもユリウスめっ!ジャックたちとの駆け引きに僕を使うとは許せんな。権力には権力だ。ジャックに頼んで成敗してもらおう。うんっ、僕じゃぺしゃんこにされちゃうからね。庶民には庶民の生き方があるのだよ。


こうして僕は予定より早く故郷に帰れる事になった。だけど工房の人たちには悪い事をしたな。二日目の昼休みで職場からいなくなるなんて、これって離職スピードでベストテンに入れるんじゃないのか。う~んっ、自慢できないね。

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