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5、知識と冒険者

しばらく古びた魔法の本を読んでいると、見たことある記述があった。錬金術に関する事だった。

 魔石と、特定の武器や装備で生成すると効果が違う物や、まったく形状が違う物ができる。隅のほうに手書きで、失敗した場合は術者が犠牲になることや災害級の爆発が起きたりとか物騒なこともあると書いてあった。アニメの世界でも似た作品があったような気がする。

 魔法の本は、教科書のような淡々と紹介や歴史なものや、スキルブックとして魔法を習得するものさまざまな物がこの世界に存在する。

 興味深い一冊で、老人の店主に値段を尋ねた。店主は、こちらをチラッとみて無愛想に答えた。

 『坊や、その本が欲しいのか。残念じゃが売り物でないのじゃよ。古代文字で書かれていてな、歴史的価値のあるものじゃ。もしかしたら禁書かもしれんから、人目のつかないようなところにおいておるのじゃよ。わかったか坊や』店主の言う事にも一理ある。禁書は法律に触れるもので、所持してるだけで極刑に処罰される可能性があるからだ。

 先ほどまで読んでいた本を元の場所に戻そうとしたとき、老人が興味深いことを言ってきた。

 『この世界には、迷宮がたくさんある。未だに発見されていない財宝や、古文書などがあるのだそうじゃ。冒険者を目指しているなら探してみるのも良いじゃろう。もう少しで日没じゃ、早く家に帰るんじゃぞ。このあたりは、不審者が多い』 

 外はすっかり夕暮れの空だった。日中、薄暗かった路地の闇が深まる前に、この区域から出なければ。トラブルに巻き込まれるなんてごめんだ。

 老人に簡単な挨拶をし、また来ると言って店を後にした。

 来た道を帰る。晩ご飯の支度をしているのか、調理している匂いや、薪を燃やしたような焦げ臭い香りがこの路地を包んでいく。

 家々のあかりが灯る。働いてる母親に心配させることはしたくない。今日あったことは秘密にしておくべきか考えていると、人通りの多い商店街へといつの間にか戻っていた。少し安心した。

 商会の横の従業員用の玄関から帰宅した。ドアをあけると口論している。仕事に関することだろう。彼らの横を通りすぎ、3階の住んでいる部屋へと戻った。

 母親の姿は無く、テーブルには王都からの母親宛の手紙が置いてあった。しばらくすると、ドアをノックして、カーマインが入ってきた。

 『おかえりなさい、アル。クリスティーナさんから伝言で、帰りが遅くなるから先にご飯を済ませておくようにと。晩ご飯は、下の給仕が使っている部屋で食べることになりますが大丈夫ですか?』

 『それで大丈夫です。ありがとうございますカーマインさん』彼の後に続いて、2階の方へといく。香辛料と肉を焼いた香ばしいの効いた食欲を誘う美味しそうな匂いが漂う。給仕が使う作業部屋みたいな素朴な部屋で、何人か先に食事をしている。

 席に着くと、向かい側に座っている同い年くらい男子が、話しかけてきた。 

 『なあ、ここにきて間もないだろ?親にでも捨てられたか?』パンを頬張りながら、こちらを見ている。少し間をあけて、事情を簡単に話した。

 彼は一口飲み物を飲み、素っ気ない態度で食事を終えた食器をさげに席を立った。

 きっと見たことないやつがここで食事をするのが珍しかったのだろう。カーマインが食事を2人分持ってきて隣の席に座った。彼から食事を渡されて、自分の分をとり、食事をはじめた。

 『カーマインさん、迷宮に行くためにはどうすればいいの?』唐突に彼に質問を投げかけてみた。ここに長く住んでいるのならそういう話も知っていそうだったからだ。

 『基本的は誰でもいけますが、1人でいくのはオススメはしません。魔物が出ますからね。冒険者ギルドに登録して、仲間と一緒にいくのが一般的です。腕に自信がある方は1人でもいく方もいますね。深層部へ進むとより強い魔物が出るとか。特定の魔物やモンスターに懸賞金とかも掛かっていて特別扱いされてる個体もいるそうです。アルは冒険者になりたいのですか?』不思議そうにカーマインが尋ねてくる。

 『いいえ、ただどんなところなのか気になっただけです。冒険者にはなれません。母が反対してますので』ため息混じりで返答すると彼はくすりと笑いスープを飲んだ。

 食事を済ませて部屋にもどると、母親が手紙を読んでいた。真剣な表情で少し困惑しているようにも見えた。

 『母さん、おかえりなさい。なんかあったの?』

 『あら、アル。ただいま。母さんね、王都の魔法協会に呼ばれているの。前に冒険者やってたのは話したわね。その頃、母さんはちょっとした有名なパーティーにいて、治癒師としていたの。ギルドからだけではなく、国からの依頼も受けてたことがあって今の治癒魔法に関することに協力したことがあるの。だからたまに王都から依頼じゃないけれど、相談されることがあって先日の王都へ行ったのもそうだったの。ただ今回はちょっとね…』濁した言い方をする。これ以上は深く聞くのはよそうと思い、自室へと戻った。

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