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56. ◇当たり前のようにバグ

 さて、この不快な名前の戦闘職業をサブとして設定すべきか否か。


 ステータスアップと特性が得られることを考えると、絶対に設定した方がお得だ。各職業の詳細データを見ても、おかしなところは名前くらいで、成長傾向や職業特性はごく普通だ。おそらく、名前の先頭に“セプテトの(なにがし)”が付け足されているだけで、実質的には戦士や騎士と同じなのだろう。だとすれば、名前にさえ目を瞑れば何の問題もない。


 とはいえ、この名前はなぁ。


「もし、一度設定したら外せないとかだったら厄介だよなぁ」


 いや、【幻惑】スキルで偽装することはできるので、対外的に公開されることはないのだが。結局は俺自身の心の問題。あと、セプテトのニヤケ顔を想像するとイラッとするだけだ。


「まあ、お試し版と言っていたしな。正規版になるときには付け替えられるだろう。さすがに」


 そうやって、自分を納得させる。名前が不快だったとしても、有益そうな新システムをみすみす見逃すなんてゲーマーとしてはできないのだ。


 さて、そうなると、どの職業を選ぶか、だ。五つのうち、俺が選ぶとすれば、戦士か密偵か魔術師だな。


 戦士なら物理攻撃、魔術師なら魔法攻撃が伸ばせる。俺はどちらも使うので、どっちが伸びてもありがたい。ドレイン系のアーツはたぶん魔法分類なので、どちらかといえば魔術師の方が有力候補だろうか。


 密偵はほぼ盗賊と同じ傾向……というか全く同じかもしれない。密偵を選んだ場合、俺のバグ盗賊の長所である敏捷と器用を伸ばせるのが利点だ。今までの戦闘で、敏捷はかなり重要なステータスだと思っている。強敵相手でも敏捷で圧倒していれば攻撃を避けることができるのだ。敏捷に特化するのは悪くない。さらに言うなら、【気配察知+】を取得できる点も優秀だ。魔物から奇襲されるリスクが減るからな。


「よし、密偵にしておくか」


 設定前に現在のステータスを確認しておく。



名  前:ジンヤ(偽装)

戦闘職業:盗賊

レベル:22

生命: 487/ 487

マナ: 457/ 457

筋力: 226 魔力: 226

体力: 189 精神: 194

器用: 282 抗力: 189

敏捷: 285 幸運: 282



 それから、システムカードを操作して、サブ職業をほにゃらら密偵に設定する。設定完了の前に、警告メッセージが表示された。


“セプテトに仕える密偵 に設定する場合、6,600,182エルネが必要になります”


 およそ660万エルネか。それなりに高額だな。だが、その程度の金額なら何も問題がない。躊躇わず、設定継続のボタンを押した。そして、再度ステータスを確認する。



名  前:ジンヤ(偽装)

戦闘職業:盗賊

    :セプテトに仕える密偵 

レベル:22

生命: 487/ 571

マナ: 457/ 499

筋力: 264 魔力: 247

体力: 227 精神: 215

器用: 337 抗力: 215

敏捷: 339 幸運: 326

職業特性:

【盗賊技能+++】【魔術技能+】

【気配察知+】【サブ職業付け替え可】



 おお、思ったよりも能力値の向上幅が大きいぞ。おそらく、メイン職業に対して20%くらいの寄与率がある。20レベルだったら4レベル分余計にレベルアップしているようなものだ。


 ……ところで、この【サブ職業付け替え可】ってのは何だ?


 少なくとも、密偵の職業特性にそんなものはなかった。もしかして、お試し版の機能なのか。意外と気が利く機能を実装しているじゃないか。


 だったら、他の職業も試してみるか。先程と同じようにサブ職業の設定操作をやってみると、問題なく職業の変更はできそうだ。だが、問題もある。


“セプテトに従う魔術師 に設定する場合、7,200,182エルネが必要になります”


 サブ職業を変更するのに、再びエルネを要求されるのだ。しかも、金額はさっきほどよりも高い。増分はおそらく職業ランク関連だろう。密偵は☆がひとつ、魔術師は☆がふたつだからな。それはいいとしても、ステータス再計算にかかる代金まで再要求されているようだ。ぼったくりである。


「バグだろうな」


 もともとステータス再計算は予定になかった機能だ。突貫作業で修正していたので、付け替えのことを考慮していなかったのだろう。そのせいで、付け替える度にエルネが要求されるという残念な仕様になってしまったのだ。


「まあ、エルネなら余っているから、いいか」


 あとで修正を要求したいところだが、ひとまずは気にせず変更してみよう。幸い、ハリソンから奪ったエルネが大量に残っている。ここで少しくらい使っても問題ない。


 ということで、サブ職業を再設定してみたのだが――……



名  前:ジンヤ(偽装)

戦闘職業:盗賊

    :セプテトに従う魔術師 

レベル:22

生命: 487/ 656

マナ: 457/ 599

筋力: 301 魔力: 302

体力: 261 精神: 248

器用: 369 抗力: 260

敏捷: 377 幸運: 364

職業特性:

【盗賊技能+++】【魔術技能+++】

【魔攻ブースト】【気配察知+】

【サブ職業付け替え可】



 ……おかしいよな?


 気のせいじゃなければ、密偵をサブ職業に設定した状態のステータスに、丸々、サブ魔術師のステータスが上乗せされている。それどころか、密偵の職業特性まで残ったままだ。


 それなら、他の職業もサブに設定したらどうなるんだ?


 再設定を繰り返した結果、俺のステータスはこうなった。



名  前:ジンヤ(偽装)

戦闘職業:盗賊

    :セプテトに仕える密偵 

レベル:22

生命: 487/ 959

マナ: 457/ 797

筋力: 427 魔力: 373

体力: 398 精神: 358

器用: 466 抗力: 377

敏捷: 474 幸運: 485

職業特性:

【近接攻撃+++】【盗賊技能+++】

【守護者の心得】【魔術技能+++】

【法術技能+++】【魔攻ブースト】

【破邪】【気配察知+】

【サブ職業付け替え可】



 どの職業も最初に設定したときには、ステータスに上乗せされるらしい。二度目以降は、ステータス再計算も起こらず、要求エルネも0だ。つまり、ノーコストでサブ職業を付け替えることができる。もっとも、職業特性も引き継いだままなので、あまりサブ職業を付け替える意味がないが。


 明らかなバグだ。そのせいで、俺のステータスはサブ職業設定前に比べると二倍近い値になっている。さすがに、これはマズいだろう。ということで、セプテトを呼び出してみるものの、


“ただいま、忙しくしておりますので、呼び出しに応じることはできません”


 というメッセージが返ってくるだけだった。おおかた、サブ職業の名前で文句を言われることを恐れて、こちらの呼びかけを無視しているのだろうが……。


 まあ、セプテトに連絡がつかないのなら仕方がない。こちらはちゃんと連絡を取ろうとしたのだ。無視するアイツが悪い。



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