表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

49/108

49. ざくざくエルネ

 さて、ボロボロになったハリソンへの対処だが、まずはとにかくレベルドレインだ。瀕死状態ではステータス低下が引き起こされるらしいので、現状なら難なくドレインも効くことだろう。奴が意識を取り戻す前に、できるだけレベルを下げることが肝要だ。


 あ、ついでにセプテトを呼んでおこう。システムカードをタブレット端末に変形させる。新たに追加された“コール”機能で奴を呼び出せるようになっているのだ。いちいち、宿屋で呼び出すのはやめて欲しいと言われたので、代替手段として実装させた。


 呼び出し操作をすると、しばらくして空間の歪みからセプテトが姿を現した。少し不機嫌そうな顔をしていたが、倒れ伏したハリソンの姿に顔色が変わる。


「もしかして、()っちゃったの!?」

「いや、死んでないからな」

「ええ? これで?」


 セプテトが疑わしいと言わんばかりの目で、ハリソンを見ている。まあ、そう思うのも無理はないほど、ハリソンはボロボロだった。


『人間って意外に頑丈だよね』

「あい」


 生死確認……というわけではないが、ペルフェと実体化したルゥルリィが、ちょいちょいとハリソンをつついていた。ピクピクと反応があるので、ちゃんと生きている。


「目を覚ますと厄介だから止めなさい」

『はーい』

「眠る花、使う?」

「コイツが起きたら頼むな」

「あい!」


 ペルフェたちの悪戯を中断させて、早速、作業に入る。


「で、コイツを平民に落とすんだっけ?」

「その前にできるだけ弱体化させる。レベルを見といてくれ」

「ああ、はいはい」


 セプテトを呼んだのは、ハリソンのレベルを確認させるためだ。システムカードは基本的に所持者以外が触れることはできないが、御使いであるセプテトならば操作することもできるのだ。


「じゃあ、はじめるからな」

「うん。さっさとやっちゃってよ」


 と言ってレベルドレインをはじめたのは良かったのだが……これがなかなか大変だった。なにせ、高レベルになればなるほど、レベルアップに必要な経験値は膨れあがる。50レベルともなると、その膨大な経験値を削るのはかなり大変な作業だ。


「これで100回目だ。レベルは?」

「24だね」

「まだ俺より高いのかよ……」


 レベルドレインを繰り返すこと100回。そろそろ面倒になってきたが、それでもまだまだ高レベルだ。それからさらに50回と少し繰り返したところで、ようやくレベルが10を切った。


「さすがに十分だろ。次はスキルだ」

『待ってました!』

「あい!」

「この子たちも染まっちゃってるね」


 俺の宣言にペルフェとルゥルリィのテンションが急上昇する。それをセプテトが可哀想なものを見る目で見ていた。スキルドレインを初めて見たときには、同じようにはしゃいでいたくせに。


 それはともかく、ここからが本当の戦いでもある。スキルドレインのマナ消費は200と大きいので、全てのスキルを奪おうとすると大変なのだ。マナ回復薬は大量に確保してあるのだが、飲み薬なので何度も使うとお腹が大変なことになる。


 そこで俺が編み出したのが白猿ドレイン方式だ。白猿から吸えるマナは僅かに20ほどだが、マナ回復薬で回復させればまた20吸える。これを繰り返せば、自分のお腹を膨らますことなくマナを回復することができるのだ。


「うわぁ……」


 セプテトは軽く引いていたが、効率的なので仕方がない。


 そうしてハリソンから全てのスキルを奪い取った。その中には奴が使っていたスキル看破系のスキルもあるはずだ。是非、習得したいところだが――……


「先にコイツをなんとかしないとな」


 盗るものは盗ったので、あとはハリソンを貴族から蹴落としてやればいい。貴族階級から平民へと落ちる条件は単純。税の支払いが滞ったときだ。


「セプテト。男爵の毎月の税はどのくらいなんだ?」

「300万エルネだよ」

「300万か。なかなかの額だな」


 貴族階級の中でも下っ端の男爵級でさえ、平民の税の300倍だ。それだけエネルギー集めに貢献しているからこそ、傍若無人な振る舞いも許されているんだろうが。


「ここまで弱体化しているなら、そのまま放置してても、平民落ちするんじゃないのか?」


 税の支払い日は、数日後に迫っている。それまでに弱体化したハリソンが300万エルネを集められるとは思えない。だが、セプテトには呆れた声で否定されてしまった。


「いや、手下がたくさんいるんじゃなかったの? それに、300万くらいの蓄えは当然持ってるよ」

「ああ、そうか」


 弱体化したハリソンに手下たちが従うかといえば疑問は残るが、蓄えがあればすぐに平民落ちということにはならない。やはり、当初の予定通り、奴の資産を減らす必要があるか。


「で、ハリソンの所持エルネは?」

「んー……。10億エルネくらいだね」

「10億エルネ!?」


 予想外の高額に、驚きを隠せなかった。この10億を削らないと、奴を平民に引きずり落とすことはできない。想定が甘かったと言わざるを得ない。


 だが、俺の計画を知るはずのセプテトは呆れた顔でこちらを見ている。


「何、言ってるの。10億くらいたいしたことないって」


 そう言って、セプテトは周囲に転がっているクレアテ結晶体を見た。それらはハリソンから抜き取ったものだ。適当に放り投げたので、どの結晶体が何度目に抜き取ったものなのかを正確に判別することはできないが、それでも大体は見当がつく。最初に抜き取ったものほど、結晶体が大きく、輝きも強いのだ。


 そう言えば、クズ探索者からドレインしたクレアテ結晶体は80万エルネくらいの額だったか。レベル25でそれくらいだとして、50だとどのくらいだ? 高レベルほど必要経験値が増えるので、これ全部集めると10億に届くのか?


「これ、幾らくらいだ?」


 近くの結晶体を手にとって眺める。輝きが強いので、かなり最初の方に抜き出したものだろう。


「それは、150億くらいだね」

「……はい?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
高レベ奪って借金返済もなんのそのぉ(笑)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ