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195. ◆肩慣らし

「ここのボス格を倒せば、ここらの異常発生については抑えられるか」

「ひとまずはね」


 ヒュム状態のペルフェとともに訪れたのは、アルブリアの北東部の峡谷。探索者ギルドで情報収集をした限りでは、この一帯で魔物の異常発生が起きているのは、この峡谷が最後だ。残りの狩り場はすでに沈静化している。俺がひとつずつ地道に潰していったからな。


「ちゃちゃっとやってしまうか」

「そうだね。でも、あんまり無理はしないように。様子見も兼ねてるんだから」


 早速、狩りに取りかかろうとしたところで、ペルフェに釘を刺された。


「わかってるよ。だが、問題ない……というか、前よりも戦いやすいくらいだ」

「地形破壊も起こさなくなったしね」

「女神様々ってところだな」


 問題ないと告げるとペルフェが何とも言えない表情になった。引っかかったのはどうも女神云々っていう言葉らしい。


「……よくあんな存在に軽口を叩けるね?」

「いや、感謝を口にしてるだけだぞ」

「だとしても、そんな気安くは扱えないよ」


 どうやら、ペルフェは女神に対して強い畏怖を抱いているらしい。そう言えば、あのときは一言も発せず息を潜めていたな。あまりの存在感に圧倒されていたのかもしれない。


 気持ちはわからないでもない。俺も、さすがに女神本人を前に軽口を叩くのは無理だな。まあ、あの女神ならちっぽけな人間の戯れ言など気にもとめないと思うが。


 あの邂逅から、一週間が経った。女神から特別な指令を下されたわけでもないので、基本的にはこれまでとは何も変わらない。ペンペンダーからの追求を逃れつつ、アルブリア周辺で探索者として活動している。


 唯一変わったことといえば、精神の崩壊を防ぐため、俺の能力にリミッターがかけられたこと。これによって、俺の戦闘力が低下したかといえば実はそうでもなかったりする。


 当然ながら、攻撃力とか破壊力とか、そういった面に関しては大きく低下した。だが――……


「はっ!」

「ギィギギィィイイ!?」


 空から飛びかかってきたムササビのような魔物をイベントリから取りだした清浄の青刃で斬りつける。青く輝く剣身は、ほとんど抵抗すら感じさせずに、ムササビの体をすり抜けた。一刀両断。真っ二つになったムササビはそのまま飛翔しながら左右に分かれ、やがて光の粒となって消えた。


 この通り、低下したはずの攻撃力でもアルブリアの魔物を相手にするには充分なのだ。今までの攻撃は威力が過剰すぎた。低下した今でも、そこらの探索者には負けない攻撃力がある。それもそのはずで、リミッターが掛かったはずの俺のステータスは、数値的には変化がなかった。


 というのも、俺の攻撃を過剰なほどの高火力に押し上げていたのは、ステータスよりも別の要因らしい。それこそが【竜の血族】だ。正確に言えば、バグによって謎種族になったせいで、【竜の血族】が暴走した結果なのだとか。その影響で俺の能力はステータス画面で表記される数値の少なくとも五倍以上になっていたらしい。


「……これは驚いた。というか、本当によく無事だったね。キミは本当に人間かい?」


 というのは、リミッターをかけるために俺の状態を詳細にチェックしたときの女神の言だ。


 暴走の原因は不明。もともと、【竜の血族】による能力上昇はステータス画面にも反映されていなかった。そして、イェードによって【反転の呪い】がかけられたときも、反転の対象になっていなかったように思う。


 これが何を意味するか。女神が言うには、【竜の血族】の暴走によるステータス強化はエルネマインのシステムに影響を受けていない仕様外の挙動なのだとか。従って、暴走状態が俺にどんな影響をもたらすか一切わからない。精神崩壊のことを抜きにしても、放置できない状況らしい。


 今のところ、スキルの暴走を防ぐ方法はない。ただし、複合的な要因で起きた暴走なので、要因の一つである種族バグ状態を修正することで症状は改善する。実際、女神が俺の種族をヒュムに戻してくれたことで、異常な攻撃力が発揮されることはなくなった。


 とはいえ、原因が解明されていない以上、いつまたおかしな挙動をするかわからない。なので、今はスキルドレインで外してある。


 結果として、全能力は大幅に下がった……はずなのだが、数値上は元のままだ。女神にリミッターをかけてもらったあとも、数値に変化はなかった。数値通りのステータスならば、現状でも精神に異常は(きた)さないということらしい。【竜の血族】の暴走による超強化を経験したことで、精神が鍛えられたのではないかという話だ。


 また、異常な強化が消えたことで、力のコントロールが利くようになった。これが大きい。うっかり地形を破壊することもなく、ずいぶんと戦いやすくなった。任務遂行能力という意味では以前より上がっているだろう。


「おっと、団体でお出ましだぞ」

「そうだね。さっさと片付けちゃおうか」


 物音を聞きつけたか、周囲の魔物どもが集まってくるのが気配でわかる。わざわざ、探して回るのは面倒なので好都合だ。


「ルゥもやる!」

「わふぅ!」


 ルゥルリィとフェリルも宿環から飛び出してきたので、四人で集まってくる魔物を片っ端から倒していく。


 四時間ほどかけて、ボス格を含めてほとんどの魔物を殲滅できた。おそらくだが、アルブリア周辺の異常発生はこれで沈静化しただろう。レベルも充分に上がったので、そろそろ別の地域に向かうべきだな。


---

ついに名前が!


名  前:ジンヤ

戦闘職業:魔法戦士 |盗賊

    :聖騎士  |ホーリーオーダー

レベル:38

――――――――――――――

生命:5122/5122

マナ:3699/3699

筋力:1931 魔力:1925

体力:1950 精神:1913

器用:1767 抗力:1754

敏捷:1839 幸運:1835

スキル:

【盗む Lv35】【幻惑 Lv29】

【聖者の号令 Lv31】【格闘 Lv40】

【剣術 Lv41】【槌術 Lv37】

【杖術 Lv42】【鉄拳 Lv33】

【強襲 Lv26】【強撃 Lv33】

【暗殺 Lv33】【突撃 Lv41】

【鉄壁の構え Lv36】【二刀流 Lv40】

【疾駆 Lv40】【跳躍 Lv39】

【登攀 Lv35】【足捌き Lv40】

【潜伏 Lv37】【看破 Lv35】

【暗視 Lv33】【▼超回復 Lv36】

【▼生命活性 Lv36】【威風 Lv35】

【底力 Lv23】【消費マナ軽減 Lv42】

【魔法範囲強化 Lv35】【領域把握 Lv35】

【吸収力強化 Lv35】【火魔術 Lv33】

【水魔術 Lv36】【光魔術 Lv33】

【闇魔術 Lv32】【土魔術 Lv31】

【風魔術 Lv48】【操砂術 Lv31】

【操氷術 Lv36】【放電 Lv27】

【雪精召喚 Lv33】【▼念動 Lv31】

【▼獣力解放 Lv37】【▼咆哮 Lv34】

【解錠 Lv18】【罠解除 Lv21】

【従者強化 Lv33】【統率 Lv34】

【雪原の戦士 Lv36】【毒耐性 Lv31】

【環境耐性:砂 Lv25】

【環境耐性:氷雪 Lv36】

【環境耐性:水中 Lv37】

【▼渇水耐性 Lv22】【低温耐性 Lv35】

【付与:肉斬骨断 Lv19】

【呪い:生命の蝕み Lv21】

【呪い:弱化の澱 Lv33】

特性:

【痛覚耐性++】【頑強+】

【状態異常耐性++】【精密動作+】

【魔術威力UP+】

職業特性:

【近接攻撃+++】【盗賊技能+++】

【守護者の心得】【魔術技能+++】

【法術技能+++】【防御技能++】

【魔攻ブースト】【守護領域】

【破邪】【気配察知+】

【精霊の守護者】

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