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190/227

190. ◆呼び出し

 それではお楽しみのスキルドレインタイムだ。


「むーっ! むー!」


 口まで塞がれた状態のイェードが呻く。拘束から逃れようと身を捩るため、ルゥルリィの操る蔦はぶちぶちと千切れている状態だ。それでも、次から次に生えてくるので、イェードに自由を許さない。


「悪く思うなよ。これも自業自得ってヤツだ。お前のようなヤツに力を持たせておくと危険だからな」

「むーっ!」


 ドレイン前に、一応、俺のやることに対する正当性を告げておく。すると、イェードは顔を引きつらせて、ますます暴れた。一体、何故……?


「ペル。ますた、変な顔……」

「あれは、変な顔っていうより、悪い顔だね。ルゥルリィは真似しないようにね」

「わふぅ……」


 おっと、いけない。喜びが顔に出ていたらしい。合法的に探索者のスキルをゲットできる機会なんてあまりないからな。しかし、あまり大っぴらに出すのはよろしくない。建前は大事だ。


「あんなことがあったのに、アナタたちは呑気ねぇ……」


 いつの間にか、精霊神の首飾りから出ていたらしいネーフェが呆れた目で、俺たちを見ている。今のうちにフラウルたちを住処に帰すというので、そちらは任せるとしよう。


「やっぱり、魔物と違ってバリエーションはないな」


 ベテラン探索者だけあって、イェードの保有するスキルは全体的にレベルが高い。が、魔物と違って、奇抜さがないので、どんなスキルなんだろうと考えるワクワク感みたいなものはなかった。まあ、使い方もわからないような地雷スキルが幾つあっても意味は無いので、実用的には助かるのだが。


 新規スキルはこの三つ。



【剛剣技】<スキル結晶体 lv37>

剛剣技アーツを追加取得可能


【部隊指揮】<スキル結晶体 lv37>

小範囲の味方にバフを与える号令アーツが使えるようになる


【ブラッドオーラ】<スキル結晶体 lv31>

自らの血を代償に身体能力を強化する

強化中は被ダメージが増加する



 剛剣技は【剣術】を拡張するスキルのようだ。強力なアーツを使えるようになるのだろうが……正直言って、あまり必要性を感じないな。俺はわりところころ武器を変えるし、ステータスが上がりすぎて、普通に攻撃しても十分なダメージを与えることができる。誰に使うかは要検討だ。


 部隊指揮は悪くない気もする。ペルフェたちは十分に強いが、雪精はまだ耐久面以外はいまいちだ。アイツらを率いるときには使えるだろう。ただ、小範囲というのがネックだな。パーティ単位を想定しているなら、かなり狭い範囲の可能性もある。俺が使うよりも、雪精のリーダーを決めて、ソイツに使わせてもいいかもしれない。


 ブラッドオーラは発動することで自己バフをかけるアーツらしい。発動中は継続的にダメージを受けて、しかも被ダメージが増えるようだ。デメリットがある分、おそらくバフの効果自体は高いのではないか。


 だがなぁ。正直言って、これ以上俺のステータスを上げてもあまり意味が無い気がする。というか、本能的な危機感があるんだよな。


 アイゼンピードと戦っていたときの俺は明らかにおかしかった。ただ目の前の敵を壊したい。それだけしか考えられなかった。アイゼンピードを倒したことで衝動は収まったが……もし長引いていたら、果たして戻ってこれただろうか。俺にはその確証が持てない。


 というわけで、ブラッドオーラも保留だな。まずは、あの暴走状態の原因を探らなければならない。俺だけで解決するのは無理だろうが、セプテトに協力を仰げばなんとかなるだろう。仮にも探索者担当の御使いだからな。まあ、ちょっと……というか、かなり不安な面もあるが、ユイットを見張りにつけておけば大丈夫だろう。


 スキルを奪ったあとは、レベルドレインでイェードのレベルを下げていく。アースリルの……確かハリソンとかいった探索者よりもレベルが高いらしく、クレアテ結晶体がざっくざくと手に入った。


「まあ、この程度でいいだろ」

「そうだね。完全にレベルを下げきるには時間がかかるし」


 【吸収力強化】の効果によって、効率は上がっているがそれでもかなりの時間がかかる。後半は手間に対して得られるエルネも少ないので80回のドレインで打ち止めとした。セプテト曰く、レベル10は切ったとのことなので、ほぼ無力化できたと見ていいだろう。


 能力が低下したことで、イェードは拘束を振りほどく力もなくなったようだ。今は顔を青くして大人しくしている。おまけにかなりぐったりしているような……?


「ルゥルリィ。蔦の吸収能力は抑えているか?」

「うん。弱々だよ?」

「……だがこれは。もういい。解放してやれ」


 ルゥルリィの操る【吸命蔦】は捕らえた者の生命力を吸い取る。なので、単に拘束したいときは吸収能力を抑えているのだが……ステータス差が開いたせいで、微弱な吸収効果でも致命的なダメージとなってしまったようだ。拘束から解かれたイェードはぐったりどころか意識がなかった。


「た、大変だ!」


 セプテトが顔を青くして叫んだ。異様なほど慌てている。さすがに、イェードを瀕死にしたのはまずかったかと反省しつつ、セプテトを宥める。


「あ、ああ、そうだな。だが、まだ生きてる。しばらくすれば回復するだろ」


 だが、セプテトはぶんぶんと大きく首を横に振った。どうやら、慌てている原因は別のことらしい。


「そうじゃないんだ! クレアドルサ様から指示があって……いますぐ来いって」


 なんと、上司()からの呼び出しがあったらしい。色々やらかしているセプテトにしてみれば、あまり歓迎したくない事態ということだろう。


 とはいえ、俺にとっては他人事にすぎない。


「そうか。それは、まあ頑張ってくれ」


 適当に励ましの言葉をかけてやると、セプテトに強い力で肩を掴まれた。よほど追い詰められているのか、目が据わっている。


「何を言ってるんだよ! キミも呼ばれてるんだ!」

「……は?」


 予想外の言葉に頭が真っ白になった。


 俺が、神に……呼ばれてる?

 それってマズイのでは!?


---

アイゼンピード撃破直後のステータス


名  前:ファントム|ミツカイ・セプテト

戦闘職業:ファントム|盗賊

    :聖騎士  |ホーリーオーダー

レベル:38

――――――――――――――

生命:5122/5122

マナ:3699/3699

筋力:1931 魔力:1925

体力:1950 精神:1913

器用:1767 抗力:1754

敏捷:1839 幸運:1835

スキル:

【盗む Lv35】【幻惑 Lv29】

【聖者の号令 Lv31】【格闘 Lv40】

【剣術 Lv31】【槌術 Lv32】

【杖術 Lv42】【鉄拳 Lv33】

【強襲 Lv26】【強撃 Lv33】

【暗殺 Lv33】【突撃 Lv41】

【鉄壁の構え Lv36】【二刀流 Lv40】

【疾駆 Lv40】【跳躍 Lv31】

【登攀 Lv28】【足捌き Lv32】

【潜伏 Lv33】【看破 Lv35】

【暗視 Lv33】【▼超回復 Lv36】

【▼生命活性 Lv36】【威風 Lv35】

【底力 Lv23】【消費マナ軽減 Lv42】

【魔法範囲強化 Lv35】【領域把握 Lv35】

【吸収力強化 Lv35】【火魔術 Lv33】

【水魔術 Lv31】【光魔術 Lv33】

【闇魔術 Lv32】【土魔術 Lv31】

【風魔術 Lv48】【操砂術 Lv31】

【操氷術 Lv31】【放電 Lv27】

【雪精召喚 Lv33】【▼念動 Lv31】

【▼獣力解放 Lv37】【▼咆哮 Lv34】

【▼▼竜の血族 Lv31】

【解錠 Lv18】【罠解除 Lv21】

【従者強化 Lv33】【統率 Lv34】

【雪原の戦士 Lv36】【毒耐性 Lv31】

【環境耐性:砂 Lv25】

【環境耐性:氷雪 Lv36】

【環境耐性:水中 Lv37】

【▼渇水耐性 Lv22】【低温耐性 Lv35】

【付与:肉斬骨断 Lv19】

【呪い:生命の蝕み Lv21】

【呪い:弱化の澱 Lv33】

特性:

【痛覚耐性++】【頑強+】

【状態異常耐性++】【精密動作+】

【魔術威力UP+】

職業特性:

【近接攻撃+++】【盗賊技能+++】

【守護者の心得】【魔術技能+++】

【法術技能+++】【防御技能++】

【魔攻ブースト】【守護領域】

【破邪】【気配察知+】

【精霊の守護者】

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