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101/210

101. ◆決まり手は……

『ちょっと、何をやってるんだよ! ドレインはやらないって言ってなかった?』


 ペルフェがさきほどの俺の行動に文句をつけてきた。俺がスキルドレインを試みたとでも勘違いしたのだろう。だが、俺がやったのは別のことだ。


「ドレインじゃない。さっきのは呪いをプレゼントしてやったのさ」

『呪い? ああ、生命の蝕みか!』

「そうだ」


 と言っている間に、巨人が再び突撃してくる。それを先ほどと同様にいなした。そして、追加で呪いを付与していく。失った生命は、インベントリに確保しておいたポーションで回復だ。エナジードレインがあるので、普段はあまり出番がないが、それでも念のために買っておいて良かった。


『あれって大した効果がないんじゃなかったの?』

「そうなんだが、実はそうでもないんじゃないかと思ってな」


 【呪い:生命の蝕み】は触れた相手に【生命の蝕み】を強制獲得させることができるスキルだ。当然、その検証はすでにすませてある。そのときは、ペルフェの言うとおり大して使えないと評価した。


 スリップダメージは微少。それでも守りが堅い相手には有効だと思ったのだが……そこが問題だった。


 そもそも、物理、魔法の両方に強い魔物というのがあまりいないようだ。もっと高レベル帯には存在するのかもしれないが、コークスロー周辺にはいない。物理・魔法どちらの攻撃手段も持っている俺だと、スリップダメージに頼る必要がなかった。


 さらに言えば、コークスロー周辺の魔物ならばステータスの暴力で蹂躙できる。物理に強い魔物でも殴れば倒せるのだ。スリップダメージが必要とされる場面は皆無だった。


 だが、相手が格上となれば別だ。自動回復能力を持つ相手ならば、特に。呪いの効果で回復能力を相殺できれば有利に戦える。


 加えて、スリップダメージを増加させることもおそらくは可能。ヒントは【凶魔の贄】だ。触れられた時間が長いほど、スキルレベルが高くなるという性質。あれが、呪いにも適用されるのではないかと思うのだ。


 だから、何度も、巨人の攻撃を躱しては、せっせと呪いを積み込んでいる。ヤツの強力な自動回復能力を完全に打ち消すほど積み込むのはそれなりに時間がかかるだろうが、それでも積み込めば積み込むほどこちらに有利になるはずだ。


「おっ……?」


 状況が変わったのは、五回ほど追加で呪いを与えてやったときのことだ。巨人が攻撃するのをためらうような動きを見せたのだ。


 よく見れば、ヤツの右手が僅かに負傷している。おそらく、俺に攻撃するときに地面まで殴ってしまい自傷ダメージを負ったのだ。これまでは、自動回復能力で瞬く間に回復していたのだろう。だが、今はその回復能力に陰りが見え始めた。


「想定していたよりも早かったな。例のスキルのせいか?」


 呪いを積み込んでやったのにもかかわらず、スキル看破で見れば、ヤツのスキルは未だに一つだけ。無効化されている可能性も考えたが、この状況を見る限り、きっちりと効果を発揮しているようだ。


 もしかしたら、ヤツの能力はスキルを取り込んで効率的に強化するようなものなのかもしれないな。通常のスキルでそれをやられると不味かったろうが、今回は呪いスキルを効率良く強化してしまった。結果、自分の首を絞めたことになる。


 全て、想像だ。真相はわからない。だが、こちらが有利になった。それさえわかっていれば問題はない。


「ルゥルリィ、拘束を頼む」

「あい!」

「ペルフェはこっちに移れ」

『了解!』


 ここで一気にたたみ込む。そのためにも、ペルフェには、アースリルで手に入れた長杖コレクションに移ってもらう。これらの魔法攻撃補正はいずれもB以上。肉斬骨断で威力を底上げすれば、先ほど以上のダメージを与えられるだろう。変幻自在ツールと違い、壊れるとそれっきりなので使い捨てになるが、無意味に幾つも持っていても仕方がない。ここが使いどころだ。


 蔦に絡みつかれて、苛立つ巨人に向けて、フレイムピラーを放つ。ドンという轟音が響き、巨人全体を包むほどの炎の柱が聳え立った。一瞬の熱気だけで、体力が奪われそうな強烈な一撃。さしもの巨人も悲鳴を上げた。


「もういっちょ!」

『じゃあ、今度はこれ!』


 次にペルフェが移ったのは光魔術が強化される長杖だ。だとすれば、使う魔術は決まっている。シャイニング・レイだ。昼と見まがうほどの光の奔流が空から降り注ぐ。幾度となくそれを受け止めた巨人はすでにぼろきれのようだ。すでに生きているのが不思議なくらいであった。


「これで最後だな」

『よーし、次は――……』


 ペルフェが次の杖を選び、移動しようとしたときのことだった。バババという炸裂音が響く。巨人の攻撃――――ではない。ルゥルリィの【爆裂果実】だ。弱った巨人に拘束は不要と見て、攻撃に転じたのだろう。


 炸裂する攻撃は満身創痍だった巨人の僅かに残った生命を削り取ったようだ。無数の光の粒となり、薄れ消えていく。圧倒的な存在感を誇った巨人も、その末路は他の魔物と同じらしい。


「勝った!」


 ルゥルリィが飛び跳ねて勝利をアピールしてくる。おそらく悪気はないのだろうが、完全に手柄を横取りしたような形だ。


 意外な結末に呆気に取られていたペルフェが、ようやく正気に戻ったらしい。


『え、えぇ!? これで終わり!?』


 戦いが終わり、静かになった戦場で、ペルフェの声だけが響く。いや、周囲には聞こえていないので、静かなままなのだろうが。


『僕がとどめを刺すはずだったのにぃ~~!』


 勘弁して欲しいほどの大きな声だったが、今回ばかりは許すとしよう。

 まあ、なんだ……気持ちはわかる。


------

名  前:ファントム|ミツカイ・セプテト

戦闘職業:ファントム|盗賊

    :     |盗賊

レベル:25

――――――――――――――

生命: 812/1036

マナ: 219/ 866

筋力: 462 魔力: 406

体力: 428 精神: 388

器用: 508 抗力: 407

敏捷: 515 幸運: 526

スキル:

【盗む Lv24】【幻惑 Lv18】

【格闘 Lv20】【剣術 Lv22】

【槌術 Lv24】【杖術 Lv41】

【鉄拳 Lv19】【強撃 Lv19】

【暗殺 Lv20】【突撃 Lv19】

【鉄壁の構え Lv20】【跳躍 Lv21】

【登攀 Lv21】【足捌き Lv22】

【潜伏 Lv19】【看破 Lv29】

【暗視 Lv20】【▼生命活性 Lv21】

【消費マナ軽減 Lv42】

【魔法範囲強化 Lv20】【領域把握 Lv23】

【吸収力強化 Lv25】【火魔術 Lv21】

【水魔術 Lv18】【光魔術 Lv21】

【闇魔術 Lv21】【土魔術 Lv19】

【風魔術 Lv48】【操砂術 Lv19】

【▼念動 Lv15】【▼獣力解放 Lv20】

【▼咆哮 Lv20】【▼▼竜の血族 Lv20】

【解錠 Lv14】【罠解除 Lv15】

【従者強化 Lv21】【毒耐性 Lv13】

【環境耐性:砂 Lv25】【▼渇水耐性 Lv14】

【付与:肉斬骨断 Lv17】

【呪い:生命の蝕み Lv19】

特性:

【痛覚耐性++】【頑強+】

【状態異常耐性++】【精密動作+】

【魔術威力UP+】

職業特性:

【近接攻撃+++】【盗賊技能+++】

【守護者の心得】【魔術技能+++】

【法術技能+++】【魔攻ブースト】

【破邪】【気配察知+】

【サブ職業付け替え可】



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