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【コミカライズ決定!】原初のネクロマンサー〜いかにして死霊術は生まれ、いかにして魔王は生まれたか〜  作者: 犬型大


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魔物に奪われた遺跡1

「慎重に動くんだ。ここはもう魔物の巣窟だからな」


 スタットを始めとした数人の魔族たちは大森林の奥に来ていた。

 魔族たちが住んでいるところも人間からすればかなり奥になるのだが、そこよりもさらに奥に足を踏み込んでいた。


 大森林は奥に進むにつれて魔物が強くなる。

 比較的奥側に住んでいるといえる魔族たちではあるが、住んでいる区域の魔物でも単独で戦うのは難しいぐらいなのである。


 さらに奥の魔物となると複数人で一体相手にしても厳しい戦いになる可能性が高い。

 魔物との戦いでさらに魔物が寄ってくることもある。


 魔物と戦いながら進むのではなく、魔物と戦わないよう避けながら進むことが大事なのである。


「向こうに魔物が見えます」


 魔法で遠くを確認していたカティナが魔物を見つけた。

 まだ相手にはバレていない。


 スタットたちは木の影に姿を隠して息を殺した。

 木の高さほどもある大きな魔物が近くを通り過ぎていく。


 唾を飲み込むことすら我慢して魔物が離れるのを待つ。


「ふぅ……」


 魔物が十分に離れていってスタットは胸を撫で下ろす。

 こんなところで死ねば死体も見つけられないだろう。


「こっちでいいんだよな、サーキャス?」


「このまま進んでいけばあるはずだ」


 今回同行しているのはテルシアン族だけではない。

 デーミュント族の魔族も一緒である。


 ケラエルアランの場所はテルシアン族では分からない。

 デーミュント族の案内が必要なので協力して遺跡の調査を行うことになったのだ。


 デーミュント族のサーキャスという青年が調査のためにテルシアン族に派遣されてきていた。


「この辺りにあるはずです」


「崖なんてあったのか……」


 さらに慎重に森を進んでいくと崖に突き当たった。

 見上げるほどに高い崖からは木の根っこが露出しているところがある。


 崖の上も森が続いているようだ。


「ここにケラエルアランが?」


 どうみてもただの崖である。

 知識が移してある場所というからには図書館のようなものを想像していたが、そのような場所には見えなかった。


「もう少しあっちですね」


 サーキャスは手に持ったコンパスのようなものと崖を見比べる。

 指示に従って崖沿いを少し移動するけれど崖は崖である。


「ここです」


「本当にここにあるのか?」


 ここというが、やっぱり崖である。


「どう見ても崖だが」


「ちょっと見ていてください」


 サーキャスは何かを探すように崖を見る。


「あった」


 サーキャスがスッと手を伸ばした先には小さな割れ目のようなものがある。

 割れ目の中に手を差し込んでいく。


「よいしょ……」


 割れ目は意外と深いようでそのまま肘まで二の腕ぐらいまで腕を入れる。


「どこだ……これかな?」


 少し割れ目の中をまさぐっているとサーキャスの指先に何かが触れた。

 岩とはまた感触が違う金属質なものである。


 サーキャスはもう少し腕を差し込むと金属をグッと押し込んだ。

 するとガチャリと大きな音がした。


「おお……」


 地面がわずかに振動し、割れ目のすぐ横の崖が上に開いていく。


「これがケラエルアランです」


「こんな仕掛けが……」


「すごいですね」


 人が通れるぐらいの入り口が現れてスタットとカティナも驚いてしまう。


「魔物が入らないように入り口は隠してあるんです。人間が来ないとも確実には言い切れませんからね。それに閉めておけば雨風にさらされて劣化するのも防げます」


「こんな場所があったなんて、この森で生まれたが知らなかった」


「必要があるまでは入らないように言われている、隠された場所ですからね」


 サーキャスは魔道具のランプをつけて中を覗き込む。

 かなり長いこと手入れもされていないが、中はしっかりと作られていて崩れているところもない。


 スタットが中を見ると下に続く階段となっている。

 サーキャスを先頭にして階段を降りていく。


「そろそろ下に着きます。あまり声を出さないようにお願いします」


 下まで降りると大きな石の扉があった。

 階段は無事であったのに石の扉は半ば壊れていて中途半端に開いている。


「これは一体……」


 階段の綺麗さとは違っていて何があったのかとスタットは顔をしかめる。


「しっ!」


 サーキャスに睨まれてスタットは悪かったとジェスチャーする。


「ここで待っていてください」


 小声でみんなのことを階段近くに留めて、サーキャスは静かに扉に近づく。

 扉の影に体を隠して中を覗き込む。


 今度はこちらに来いと手招きしたのでスタットたちは慎重にサーキャスのところに行く。


「見てください」


「……あれが例の」

 

「そうです」


 中の様子は薄暗い。

 しかし天井の一部が崩落していて光が差し込んでいる。


 柱のようにも見える光の下に一体の魔物が寝ていた。


「巨大な蛇の魔物か……」


「名前をクルカンという。はるか昔にケラエルアランを奪ったものと同一の個体だ」


 とぐろを巻いている白い巨大な蛇は光を浴びて輝いているようにも見えた。

 崩れた天井から入ってきたクルカンは、ケラエルアランを自らの巣穴として住み着いてしまった。


 石の扉はクルカンから逃げようとした時に、閉じ込めてしまおうと扉を閉めたら壊されたのである。

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