表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
心夢見て宇宙《そら》を翔《ゆ》く  作者: 赤羽道夫
第4話 詐欺師のマネーカード
25/61

Act 1

『探したぜ、ホセ。あのときはお互い災難だったな。いや、思い出したくない気持ちはオレにもわかる。しかし、やつの居所がわかったんだ。今度はこっちがやつの鼻をあかしてやる番だ。やられっぱなしどうしで協力しようってわけさ。悪い話じゃないだろ? 乗る気になったら返事をくれ。二日待つ。アントニオ』


 突然飛び込んできたメッセージに、ホセは戸惑う。

 アントニオという名前には覚えがあり、文面にも心当たりがある──ごく限られた人間しか知り得ない内容だ。

 それでも本物だろうかと疑り深くなってしまうのは、「あのとき」のことがあったせいだろう。

 無視してもよかったが、心が揺れてしかたがなかった。あのとき──いまいましい出来事は忘れようにも忘れられない。思い出すたびに、ぎりぎりと歯ぎしりするほど口惜しい。だからこの話は望むところでもあった。

 ひと月ほど前のことだった。

 職もなく、その日暮らしでいたホセは、チンピラとして中途半端なケチくさい犯罪を繰り返していた。そこへロベルトと名乗る男から、ひと仕事乗らないか、と誘いを受けた。胡散臭い話であったが、大金が入ると聞いてホセは乗った。同じくロベルトから誘われたアントニオという男とともに三人でその計画を実行した。

 それは簡単にいえば詐欺であった。多額のカネを残して死んだ男の遺産争いでもめている遺族に近づき、魔法術師の作った魔法アイテムを使って巧みに騙してカネを横取りし、しかも証拠が残らないから警察からも追われないという。今思えば、そんなうまい話があるわけはなかった。

 それを実行するには三人が必要とのことで、ホセは偶然選ばれたにすぎないが、その幸運に無邪気に舞い上がった。これでとうぶん贅沢に暮らせるぞ、と。

 ところがやはりそううまくはいかなかった。たしかに大金は手に入った。百五十万MQRという、これまで見たことのない額だ。だがそれを手にしたのはロベルトだけであり、ホセとアントニオはただ働きであった。それどころか、警察に追われ、身を隠さなくてはならなくなった。話がちがうではないか、とホセは憤ったが、ロベルトとの連絡はそれっきりつかず、アントニオの行方も警察から逃げているうちにわからなくなってしまった。そのアントニオからのメッセージなのだ。

 あのカネの分け前をもらう、いや、ロベルトから全額奪ってやる──そんな意気込みに燃えるのも無理からぬことだろう。

 ホセはメッセージを返信した。わかった、話に乗ってやる、と。このうえ失うものなどない。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ