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心夢見て宇宙《そら》を翔《ゆ》く  作者: 赤羽道夫
第3話 灼熱地獄の漂流船
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Act 5

 べー・ダナムの店舗兼作業所の前で、すでにアルンとマーヤは待っていた。ワシェンゴの運転するコンパクトカーが目の前の路上に急停止すると、すごい勢いで後部座席に飛び込んだ。

「雪ノ原宇宙港まで全速力だ」

 すかさずアルンは命じた。

「承知」

 ワシェンゴはアクセルを踏み込む。大胆なハンドルさばきでUターンすると、振り落とされそうな加速で雪ノ原宇宙港を目指した。

「修理の具合はどうだ?」

 ゲイスンが聞いた。

「すこぶる良好だ。さすがダナムだ、いい技術うでしてるぜ」

「わたしの左腕も、丁寧に直してもらいました」

 マーヤは腕まくりする。人工皮膚の継ぎ目がわからないほど表面の加工がなめらかだ。

「そいつはよかった、あとでガトリングガンの使い方をレクチャーしてやるからな」

「そんなもの、入ってません」

「アルン、すぐに出発するつもりか?」

 ゲイスンの冗談につきあわないワシェンゴが事務的に尋ねた。

「もちろんさ。ここでとっ捕まるわけにはいかないからな」

「だが注文した品物の搬入がまだ終わってないだろう。宇宙港に届いてない荷物があったらどうする? 待つか?」

「ものによるな。どうしても必要なものがそろっていたら、ためらいなく出発だ」

「それでお宝が手に入れ損なわなければいいが」

「そこは時の運ってやつよ。準備万端ととのえていっても、失敗するときは失敗する」

「たしかに、回収つかまったら、おれたちゃおしまいだからな」

 ゲイスンはアルンの意見に賛成だ。

「ロボットには人権なんかないからな。いきなりスクラップだ」

「わたしもそうなるの?」

 マーヤが絶望的な声をあげた。

「心配するな。そんなこと、させやしない。おれたち四人で人間になるんだ」

 力強い口調でアルンは胸を張る。

 地元の交通警官にひっかかってつまらない時間をとられないよう注意しつつ、クルマは法定速度を守って、一路、雪ノ原宇宙港へと急いだ。

 自転周期十五時間の惑星ティプトリー・イプシロンは、急速に日が暮れようとしていた。

 もともと二十四時間のサイクルで活動していた地球人であったが、様々な惑星に移住し、世代を重ねるようになると、その惑星の一日に適用するようになった。

 恒星ティプトリーが傾き、大地を赤く染めて平線に沈もうとしている。

 アルンたち乗ったクルマが到着した雪ノ原宇宙港は、迫り来る夕闇を追い払うかのように明かりが広大な敷地の宇宙港じゅうをくまなく照らし出し、どこにも影ができないほどだった。

 不夜城のようなそこへ入っていくと、クルマのまま駐船スポットに向かった。すでに離床の許可は申請しており、出発時間が指定されてきていた。

 メンテナンスを終えた長岡天神丸は、静かに主の帰還を待っていた。いままた宇宙へ飛び立つまでのひとときの眠りから覚めるときが迫っていた。


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