38日目 Be quiet!
「だかラ!!!一目だけでモ!!それがダメならこれヲ!!!」
奏海の病室の前で佐久良は看護師と言い合っていた。どうやら面会したいのに面会できないので、差し入れを頼んでいる様だ。
「困りますよっ」
「奏海はこれを見たら元気になるんダ!!」
帯タイツなんて見てもちっとも元気になりそうもないのだが。
「なら・・・ここに置いておくゼ・・・奏海ィーーー!!」
佐久良はドアの前に帯タイツを置いた。少し邪魔っぽかった。
「あっ、あのっほんとに困りますから!!!!!!!!」
看護師は本当に迷惑そうだった・・・
「おいロビィ!!離せって言ってんだろ!!」
「ごちゃごちゃ言わんと任しとき!!」
ロビィはナースステーションにいる看護師に奏海の病室を尋ね、病室へ向かった。
「あのっ、三上さんは今面会できませんよー!?」
看護師の叫びも虚しく、ロビィは秀を引っ張ってどんどん進む。
「おいっ!!ロビィ!!面会できないんだってよ!!おい!!!」
秀も自分勝手なロビィにだんだん腹が立ってきた。
「ホンマにうっさいなー!!!お前、ケツの穴が小さいわホンマ!!!」
そしてロビィもキレている。・・・関西弁で。
そんな2人の前方から俯いた佐久良が歩いてきた。
「あっ!!サク!!!助けてくれ!!」
「・・・・ン?」
「邪魔やなー!!ちょっとどきーな!!」
ロビィの関西弁は佐久良をも攻撃する。
「あァ!?」
突然暴言を浴びせられて、佐久良もキレそうだ。
「てゆーか何やねんこれ!?あぁ!?帯タイツやないか!!」
ロビィは佐久良が看護師から突っ返された箱を奪い取った。
「やめロ!!それハ!!!!!」
「ロビィ!!!!」
佐久良と秀の叫びを無視してロビィは箱から取り出した帯タイツを―――
腰につけた。
「ヒデェ・・・・俺の手編みだってのニ・・・・」
「ロビィ、それはいくらなんでも許せねぇよ」
どうやら他人の帯タイツを勝手に使用することはご法度らしい。
「ほら行くでぇ!!!!」
帯タイツをつけたまま、奏海の病室へ向かうロビィ。
ガチャガチャガチャ!!
奏海の病室には鍵がかかっていた。
「だからやめろって!」
「うっさいっちゅーねん!!止めんなやボケ」
ロビィの後ろで震える佐久良が言った。
「いいかげんにしろヨ!!俺の手編みだって言ってんだろーガ!?」
バチ バチッ
ロビィと佐久良の間に火花が散っている。
「ロビィ!!!」
遅れてきた香がただならぬ気配のロビィを呼んだ。
「あ、ちょうどよかった香ちゃん!!」
秀は香に助けを求めようとした・・・が。
「今日のロビィはなんだか強引でステキね♪」
((何ーーー!!!))
秀と佐久良は目を見合わせ、心の中で叫んだ。
「ん、なんやこれ」
ロビィは帯タイツの箱の中に入っているもう1つの物体に気が付いた。
「あッ・・・!それハ・・・!!」
そう、佐久良が作った紐笛である。
「紐笛・・・ん??Made by Sakura・・・あ"!?」
「しまっタ」
ロビィの怒りは最高潮。そう、“鳴らない笛”の一件を思い出したのである。
「よくもだましたなーーー!?」
「静かにしてくださいっ!!!ここは病院です!!!!!!」
ついに看護師がしびれを切らして叫んだ。
「O、Oh・・・Sorry、Nurse・・・」
ロビィはびっくりして通常運転に戻った。
「奏海がこれ以上悪くなったらどうしてくれるのっ!!!」
その看護師は奏海を呼び捨てにしている。
「あのー、お姉さんですよね、奏ちゃんの・・・あの、私、香ですっ!覚えてらっしゃいますか!?」
どうやらこの看護師は奏海の姉らしい。
名札には“三上 響”と書かれている。
「香ちゃん・・・・あー確か奏海の親友の・・・」
「そうです!お久しぶりです!」
香は響に飛びついた。
「ねぇ香ちゃん?悪いこと言わないからこんな連中と付き合うのやめなさい?奏海にも言っておくから」
(Thisな連中!?)
病院で騒ぐ様な奴らは一看護師として許せない。
「で、でもっ・・・みんな良い人たちなんです・・・!」
(OH・・・・・Kao~ri!!)
「秀先輩はすごく優しいしっ!!」
(What!?MeよりShuかい!?)
ロビィが少し傷ついていることも知らないまま、香は秀のことだけをほめ続けた。
「えぇっと、それからっ!!秀先輩は・・・・」
「もういいよ香ちゃん。お姉さんの前だからって・・・」
「Oh・・・Shu・・・・KaoriはVery very kindだろ・・・?」
すっかりおとなしくなったロビィ。さっきまでの勢いはどうした。
「わかったわ香ちゃん!!その秀くんが奏海の彼氏なのね??」
「そうです!」
「やっぱりね・・・いいわ、秀くんだけ面会させてあげる」
なんと。粋な計らいである。
「ちょっと待ってくれヨ!!俺だッテ・・・!」
佐久良は名乗りを上げた。
「奏海ね、うわ言で何度も“秀先輩”って言ってたの」
「えっ・・・?」
秀は驚きを隠せない。こんないい加減な自分の名を、苦しい中呼んでくれるなんて。
「わかりました。俺・・・面会します!」
「Oh~~~~~~~~~~~~~~!!!!ThisはHAPPYになるよー!??!?」
「うるさいっ!!」
再び響に怒られるロビィであった。




