28日目 Transfer student
―――――――キーンコーンカーンコーン
「きりーつ、れいー!」
時は1998年。秀達は小学5年生である。
「えー今日はみなさんに新しいお友達を紹介します。さ、炉火井くん入って」
先生に言われ、教室に入ってきたのは1人の少年だった。
「炉火井多可志くんです。彼はアメリカからの帰国子女で、英語が得意だそうです。みなさん仲良くしてくださいね」
「ロビィとCallしてPlease、Everyone!!」
クラスの皆は聞きなれない英語に呆然としている。
「席はー・・・八幡山くんの隣があいてるね」
(うぉ、ヤベェ・・・・どうしヨ・・・)
「Hey!Nice to meet you~!HACHIMANYAMAくん!」
「ど、どうも・・・・・八幡山佐久良だヨ・・・」
佐久良は慣れない英語にしどろもどろである。
「OH~、SaKuRaとCallしてもGoodかい!?」
「え、えっとこーる??えっとー・・・・」
「Goodだよロビィくん!」
後ろの席の秀が声をかけた。
「Oh・・・Youは?」
「俺は伊吹秀!よろしくな!」
「Oh~!Shu!Very fine boyだね!」
2人は意気投合した。
―――そして休み時間。
「たかしくん、ゴムとびやらない?」
女子の1人が誘ってきた。
「Oh??Whatゴムトビ???」
「えー!?知らないの!?」
数人の女子がロビィを取り囲んで文句を言った。
「ooooh~・・・・」
ロビィは転校早々泣きそうになっていた。
「おい女子ー!たかしくんは男だぜー!サッカーしようぜ!!」
今度は数人の男子がロビィを引っ張って行った。
「What??」
――サッカー。サッカーなんてほとんどやったことがない。
「ポジション何がいいー!?」
――ポジション??
「Oh、ItはWhatだい??」
「え・・・・・・」
男子たちは顔を見合わせた。いくらなんでもサッカーを知らないなんて・・・!
「じ、じゃぁ何やりたい???」
「Oh??MeはChooseしてOKなのかい?ん~・・・アメフト?」
「え、アメフトってなんだよー・・・(汗)」
「Oh??Knowしていないのかい??American food ballの略だよ」
小学生が休み時間にアメフト。それもどうかと思うが、ロビィはアメリカの友達とはそうやって過ごしてきた。
しかし日本ではそうもいかない。周囲が静まり返る中、
「よっしゃー!!アメフトやろうぜ!!!」
秀が元気に言った。
「Youは・・・Fine boy!」
この後、クラスではサッカーボールでやるアメフトが大流行した。
給食。今日はカレーだ。
「たかしくん!一緒に食べようよ~!!」
数人の女子がロビィを誘う。
「O,Oh・・・Meは・・・」
「なぁにー!?可奈子ちゃんの方ばかり見て!!私たちじゃ不満!?」
可奈子とは、クラスで一番人気のある女子だ。
しかしロビィが見ていたのは可奈子ではなく、その隣にいる秀だった。
「KaNaKo・・・?Whoだい??」
「ふーってなによー!!」
英語の意味がわからない女子がロビィを責める。
「ooooh・・・WhoはWhoだよ~・・・・」
ロビィは何と言って良いのかわからなかった。
「何よー!!男子ってみんな可奈子ちゃんなのー!?」
「Who is Kanako~~~!??!?」
ロビィはわけがわからなくなっている。
「私が可奈子よ。どうしたの、たかしくん」
ロビィがあまりにも可奈子可奈子と叫ぶので、可奈子本人がやってきた。
「Oh・・・?YouはEnglishをUnderstandできるのかい・・・?」
「えっと・・・・少しなら。英語教室に通っているし・・・」
「可奈子ちゃんは英語の他にもピアノ、茶道、お習字、塾にも通ってるんだから!」
隣にいる女子が何故か自慢げに言う。
「Oh!?MeもEnglishとSadouとShujiならOKだよ!Wellだよ!?」
自分でWellとか言うなよ・・・
「まぁ!ステキ!!たかしくん、良ければ今日の放課後、お家にお邪魔しても良い?一緒にお茶を点てましょうよ!」
「おおおおおおおおおOKだよ!!!!」
日本に帰ってきてまだ友達と呼べる人がいなかったロビィ少年は可奈子の申し入れを快諾した。
放課後。
「たかしくーん!Goしましょ!」
「なんでたかしくんが可奈子ちゃんと一緒に・・・?」
周囲の男子の目線が痛い。
「O、Oh・・・・・Kanako、Fine boyもOKかい!?」
2人きりだとまずいと思ったロビィは秀を誘おうとした。
「え?Fine boy???誰・・・」
「Fine boy!NowからMy houseにComeしないかい!?」
可奈子の言葉を遮ってロビィは秀に声をかけた。
「あ、ごめん、今日これからクラブがあって・・・」
「Oh・・・・」
「また今度誘ってよ!ごめんな!!」
秀はさわやかに去って行った。
「Fine boyって伊吹くんのことだったのね。クラブなら仕方ないわよ!いきましょ、たかしくん♪」
周囲の男子の視線が突き刺さる中、ロビィは可奈子と2人で家へ向かった。
「おじゃましまーす・・・」
ところ変わってロビィの家。
「たかしくんの家て大きいのねぇー・・・」
可奈子は純日本風の豪邸に感動している。
「Oh、そうかい?それじゃHereでWaitしててPlease」
ロビィは可奈子を茶室へ案内したあと、自分の部屋へ向かった。
(Oh、WhatをWearしよう・・・?)
ロビィのクロゼットには大量の洋服が入っている。
ロビィはその中からタキシードを選んだ。
「たかしくんかっこいー!!!」
タキシードを着て茶室へ戻ったロビィに可奈子は感動していた。
「Oh!そうだ!Meの点てたPowdered teaをDrinkするかい!?」
「そうね、いただこうかしら!」
茶室でタキシードを着て抹茶を点てる小学生・・・異様な光景である。
「結構なお点前で・・・」
可奈子は一通りの作法のあと、そう言った。
「OH!Goodだったかい!?」
ロビィは嬉しくて1人で舞い踊った。
「それは何の踊り??日舞???」
「Oh??What Nichibu????」
ってゆーかロビィの怪しい踊りが日舞なわけがない。(茶道と書道ができるのだけでも不思議なのに!)
「たかしくん」
可奈子が急に真剣な表情でロビィに向き直った。
「私と、お付き合いしてくださらないかしら」
「oh?????????」
ロビィは言葉の意味が理解できないらしく、首を傾げている。
「Oh・・・Tsukiai????」
「その・・・・デートしたり・・・とか・・・」
「What!???!??!?!?」
やっと理解できた様だが、ロビィは突然の可奈子の告白にひどく動揺している。
そりゃ無理もない。今日出会ったばかりなのだから。
「わ、わ、わ、Why!??!?」
「たかしくんは家柄も良さそうだし、茶道や書道のたしなみもあるし、英語もできて今後の国際社会で生き残れる人だと思うの!私の家、結構有名な旧家で、いづれは親が決めた相手と結婚しなくちゃいけないし・・・それなら今自分で選んでしまおうかなって!たかしくんならきっと両親も納得してくれると思うの!!!!」
「ば、But・・・・・!」
「ダメ・・・?」
ロビィを見上げた可奈子の目は潤んでいる。
「O、OH・・・・MeはまだYouのことをよくUnderstandしていないし・・・」
ロビィは遠回しに断ってみたが、
「じゃぁ私、もっと自分のこと知ってもらえる様に頑張るね!」
逆に可奈子をやる気にしてしまった様である。
炉火井多可志11歳春の出来事であった―――
ノート3冊目に突入です!
この巻はいつもと違うテイストのちょっとシリアスなお話も入ってたりするので(まぁそれも某ロの付く人物によってぶち壊されますが)乞うご期待!




