婚姻届
「だから、僕は、パパじゃ…」
「あっ!どこしまったっけ…あった!これ!」
「何だよ、これ…」
あさみは、くちゃくちゃな婚姻届を鞄から出した。字が汚い。大きさもバラバラだ。高3にしては、汚なすぎる…。
「結婚、しよ!!」
「は?」
「私、馬鹿だから、朝登、まともに育てられないよ…」
「何で、君の子を僕が?」
僕は嫌悪感を剥き出しにした。来年は、受験だってある。こんなことに巻き込まれてたまるか。
「嫌なの?」
「僕には、関係ない。」
「……。」
あさみは、分かりやすく悲しい顔をして黙った。感情を処理しきれなくなったのか、あさみは突然、立ち上がった。
「朝登、帰ろう!」
「まだ、ジュース飲んでるの…」
「ジュース、後で買ってあげるから。」
「嘘だ!」
朝登は、両手でグラスを持って、泣きそうな顔で叫んだ。
「嘘じゃないって!」
「前も嘘だった!」
「…。お金、大切だから!朝登、わがまますぎ!!」
あさみは立ち上がったまま、叫んだ。
「ふ、ふえーーん…」
朝登は、ついに泣き出した。
「知らない!もう、ママ、帰るから!1人でジュース飲んでなさい!!」
「わーーん!」
僕は、子供に泣かれて周りの目をまた気にしたっていうのもあるけれど、だんだんと子供が不憫になってきた。
「ちょっと、あさみ…」
「もう、帰るよ!!」
「わーーん!!」
「ちょっと、待ってやれよ…」
「たーくんまで、私を責めるの!?」
「えっ?」
「私がジュース買えないから?」
「そんな、話してな…」
「朝登!!帰るよ!!帰るよ!!」




