異常
卓人は、受験が近付くと、毎日、塾で遅くまで映像授業を見て、過去問を解き、教科書を読み込み、だんだんと、げっそりしてきた。
あさみは、受験しないらしい…。あいつは、大学に行けるほどの、学力がない。どうやって働くのだろう?もしかしたら、働かないのかもしれない。だったら、僕が養わなきゃ…。あいつは、ずるい。でも…あいつを背負ったのは、僕だ。
卓人は、あさみに受験の間は、連絡できない。合格して、会おう。将来のためだから…と、説明したが、毎日のように、ラインが来る。正直、うざい。取り留めのない話がうだうだ書いてある。母さんに返信を任せた。母さんは、だんだんと、あさみのおかしさに気付いたようだったが、あの朝登くんのママなんだから…と、大切に扱ってくれた。
ある夜、母親が部屋をノックして、「起きてる?」と聞いてきた。
「うん。何?」
「……。ううん…」
母親の声は、少し湿っていた。
「な、何?どうしたの?」
「……。開けていい?」
「いいよ。何?」
「あの、あさみさんって…。……。何なの?」
「えっ?」
「これ…」
母親が差し出してきたラインの画面には、
たーくん、大好き。ぎゅ~したい!
あおいくんとこには、弟がいるんだって!朝登も、弟ほしいのかも。
ぎゅ~したら、また、赤ちゃん、できるんだよね。たーくんは…
そこまで読んで、僕は、あさみの恐ろしさを思った。あいつ、懲りてないんだ




