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あさみ  作者: 梅子


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唇

 表面的な会話が終わると、沈黙が続いた。あさみは、「お手洗いに…。」と言って、席を立った。僕は、「案内するよ。」と外に出た。それは、気遣いというより、両親と少し離れたい気持ちからだった。あさみが出て行ったら、朝登と両親に囲まれて、僕は何を話せばいいんだ?

 あさみは、トイレから出てくると、「あっ!」と言って、階段を駆け上がった。

「何っ?」 

「たーくんの部屋!ベッド!」 

「……。」 

あさみは、ベッドに座った。 あさみがドタドタと階段を上がったせいで、下から、「どうしたの?」という声が聞こえた。

「ちょっと、部屋に…」

「えっ?」

「部屋にあさみといる!」

「……。そう。」


 あさみは、伸びをした。

「たーくん、覚えてる?昔ここで…」

「やめろよ!」

「…。来て。」

あさみの声は、変に艶めかしかった。僕の頭には、かつてのあさみの裸の姿が浮かんだ。自分でも嫌になるほど、胸の感触や、赤い顔、熱い体を思い出してしまった。

「たーくん…」

あさみは、腕を引っ張って、僕をベッドに座らせた。そして、僕に顔を近づけて、じっとこちらを見つめてくる。僕は、自然とドキドキとして、彼女の柔らかそうな唇をじっと見ていた。かつては、何度も重ねた、その唇を…

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