対面
あさみに連絡すると、
急には無理。土日とか?
と返信が来る。
土日か、少し先だね。
劇の練習
どういうこと?
保育園、お休みさせたくない
劇の練習があるから、平日は休ませたくないの?
うん
分かった
僕は、あさみに焦らされた。僕は、その間、両親と気まずく過ごさなければならなかった。
土曜の朝、あさみは、朝登を連れて、家に来た。僕は玄関で迎えた。あさみは、真っ白な膝丈のワンピースを着ていた。靴を揃えるために不用意に屈んだ裾から、太腿が覗きそうで、僕は、不覚にもドキッとした。朝登も、白いシャツに、ベージュの半ズボンを履いていた。
あさみは普段と違い、ひどく引っ込み思案な様子で、「たーくん…。」と言ったきり、ばつが悪そうに黙った。僕は余計、ドキリとした。
「どうしたんだよ。」
と言うと、「イヤホン、落としちゃった。」と言ってくる。
「は?」
「駅かも…無くしちゃった。」
と、ひどく、うなだれて言う。
「これから、母さんたちに会うんだから…ちょっとは、明るくしろよ。」
あさみは、泣き出しそうな顔をした。その顔が、子供じみていて、朝登とそう変わらないように見えた。
リビングに案内すると、母親も父親も立っていた。あさみは、二人を見ると、「こんにちは…。」と言った。母親も父親も、会釈こそしたが、何とも返しようがなく、あさみのワンピースの裾の後ろに隠れている、朝登の輪郭を、じっと見つめるしかなかった。




