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第八十九話 俺たちは弱い


 翌日


昨日の戦いへ参加した生徒たちは、御堂家の修練場に集められる。


晴真は霊力を使い果たしたため、鈴華から安静を命じられていた。


爆裂の札は銀花がすべて預かり、晴真は術を使わず見学することになる。


凛と小夜も、晴真が勝手に修練へ加わらないよう監視していた。


一方。


いつも明るく自信に満ちている刀也と迅は、深く落ち込んでいた。


刀也は正臣へ告げる。


「俺たちは……弱い。」


刀也は自分なら敵に勝てると思い込み、実力も確かめず飛び込んだ。


その結果、直弥に攻撃を見切られ、技まで再現された。


迅も、自分の速さなら通用すると考えていた。


しかし直弥には、得意の紫電疾風一閃さえ簡単に避けられた。


二人は道満や紅葉の援護がなければ戦うことすらできず、晴真たちを助けに行くこともできなかった。


もっと自分たちが強ければ、晴真が危険な札を使わずに済んだかもしれない。


二人はそう考え、自分を責めていた。


晴真は、


「僕だって弱かった」


と答える。


晴真も仲間に守られなければ爆発に巻き込まれていた。


敵を追い払えたのも、一人の力ではない。


凛が札を思い出し、深月、紫月、小夜たちが結界を張ったからこそ、札を使うことができた。


晴真もまた、霊力を使い果たさずに仲間を守れるようになりたいと語る。


晴隆の教え


刀也は、自分には晴真のような莫大な霊力も特別な札もないと言う。


それを聞いた晴隆は、


「愚か者」


と叱る。


晴隆は、莫大な霊力量があるだけでは強者とは呼べないと教える。


実際に晴真は敵を追い払った後、霊力を使い果たして動けなくなった。


敵がさらに残っていれば、晴真は負けていた。


迅の速さも同じ。


ただ速いだけでは、軌道を読まれれば通用しない。


道満の結界も、紅葉の術も、一度成功したから次も通用するとは限らない。


晴隆は厳しく、


「昨日、お主たちは確かに弱かった」


と認める。


敵の実力を見誤り、感情に任せ、互いの力も十分に知らないまま戦った。


大人たちが来なければ、命を落とした可能性も高かった。


しかし、


弱かったことと、何もできなかったことは同じではない。


生徒たちは逃げずに仲間を守った。


道満は敵を倒すことではなく、全員が生き残る道を選んだ。


刀也、迅、紅葉も自分勝手に戦うのをやめ、道満の指示を受け入れた。


昨日の戦いで得たものは勝利ではない。


自分一人の力には限界があること。


そして、仲間と力を合わせれば限界を越えられるという経験だった。


刀也と迅は、自分の弱さを受け入れたうえで、強くなることを決意する。


刀也は、


「一人で勝とうとはしない。皆で勝つ」


と宣言。


道満に仲間の力を生かす方法を考えてほしいと頼む。


迅も、自分の速さをどう使えば仲間の役に立つのか教えてほしいと求める。


ここで初めて、刀也と迅はただ強敵を倒すためではなく、仲間と共に戦うための強さを求め始める。

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