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第八十一話 甘味処の異変


陰陽術道具店おたから屋を後にした一行は、女子たちの強い要望で甘味処へ向かった。


店の名は――


甘味処 佐倉茶屋 麗らか


店内には甘い香りが漂っている。


「あんみつ!」


「わらび餅もある!」


「おはぎも美味しそう!」


凛、紅葉、美鈴、綾女、小夜は目を輝かせた。


品揃えは豊富。


どれも美味しそうだ。


そして。


「店員さん!」


「僕 あんみつと おはぎと わらび餅ください!」


女子たちに混じって一番嬉しそうに注文している人物がいた。


晴真である。


刀也が呆れたように笑う。


「お前……」


「完全に女子チームだな」


「え?」


晴真は首を傾げる。


「だって甘いもの美味しいじゃん」


その一言に女子たちは大きく頷いた。


「分かる!」


「甘味は別腹だよね!」


晴真も楽しそうに笑う。


「どれから食べようかな」


女子たちは甘味の話で大盛り上がりだった。


一方その頃。


男子たちは別の話題で盛り上がっていた。


「秋はいよいよ桜駆けだな」


与一が口を開く。


刀也が拳を握る。


「絶対優勝してやる!」


迅も笑った。


「クラス対抗戦も楽しみだ!」


道満も静かに頷く。


「霊馬との連携も重要になる」


「今のうちから鍛えておかないとな」


穏やかな時間が流れていた。


その時。


晴真がふと窓の外を見る。


「あれ?」


「どうした?」


道満が尋ねる。


晴真は外を指差した。


「今 沙羅さんみたいな人が歩いてた」


皆が窓の外を見る。


しかし人影は角を曲がり見えなくなっていた。


「気のせいじゃない?」


凛が言う。


その瞬間。


晴真の表情が変わる。


「違う!」


「あの人!」


「フードを被った人が追いかけてる!」


全員が一斉に立ち上がる。


その時だった。


「キュイン!」


式神札から小桜が飛び出した。


毛を逆立て周囲を警戒するように鳴いている。


「小桜?」


晴真は驚く。


刀也、迅、道満、与一もただ事ではないと察した。


「どうした?」


「何があった?」


晴真は真剣な顔で答える。


「沙羅さんみたいな人を」


「怪しいフードの人が追いかけてる」


女子たちも集まってくる。


店内は一気に緊張した空気に包まれた。


「追いかけよう!」


刀也が立ち上がる。


迅も頷く。


「急げ!」


だが。


「駄目」


凛が二人を止めた。


「え?」


道満も頷く。


「状況が分からない」


与一も冷静に言う。


「無闇に動くべきじゃない」


その時だった。


「キュイン!」


小桜が店を飛び出していく。


「あっ!」


晴真も駆け出そうとする。


しかし。


凛が腕を掴んだ。


「待って」


凛はすぐに皆を見回す。


「役割を決めます」


全員が頷いた。


「与一君」


「美鈴さん」


「綾女ちゃん」


「三人はすぐ学園へ戻って」


「正臣先生に報告してください」


「分かった」


与一が力強く頷く。


「刀也君 迅君」


「二人は沙羅さんらしき人と怪しい人物を追って」


「でも絶対に近付かないこと」


「様子を見るだけ」


「了解!」


「任せろ!」


「道満君」


「紅葉さん」


「二人は刀也君たちが無茶をしないようについて行って」


「任せろ」


「承知しました」


最後に。


凛は晴真と小夜を見る。


「私は晴真君と小夜ちゃんで小桜を追います」


「小夜ちゃん」


「式神で皆の状況を知らせて」


小夜は静かに頷く。


「……分かった」


全員がお互いの顔を見る。


「行こう!」


その一言とともに。


一年一組は三手に分かれ、それぞれの役目を果たすため一斉に駆け出した。

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