第七十五話 実技試験を終えて
驚きの連続だった実技試験も、ついに最後を迎えた。
試験場には、まだ興奮の余韻が残っている。
教師たちは深いため息をつきながらも、どこか満足そうな表情を浮かべていた。
正臣は苦笑する。
「……本当に」
「一年生か?」
紫苑も肩をすくめる。
「来年が今から怖いですね」
神門玄は小さく笑った。
「間違いなく歴代でも記憶に残る一年一組でしょう」
沙羅は腕を組みながら得意げに笑う。
「だから言っただろ」
「面白いって」
神の眷属たちも笑顔で頷いていた。
その時。
学園長・御堂若陽が静かに前へ歩み出た。
場の空気が引き締まる。
若陽は一年一組全員を優しく見渡した。
「皆」
「実技試験、ご苦労であった」
穏やかな声が試験場へ響く。
「成果が出た者」
「思うような結果を残せなかった者」
「それぞれ思うところはあるじゃろう」
若陽は優しく微笑んだ。
「じゃが」
「皆、本当によく頑張った」
「その努力は決して無駄にはならぬ」
生徒たちは真剣な表情で耳を傾ける。
「これからも励みなさい」
「そして」
「多くを学びなさい」
「術を学び」
「武を学び」
「人を学ぶ」
「それが陰陽師として何より大切なことじゃ」
若陽は満足そうに頷いた。
「以上をもって」
「一年一組実技試験を終了する」
大きな拍手が会場を包んだ。
こうして一年一組の実技試験は無事――。
……本当に無事だったかはさておき、幕を閉じた。
⸻
教室へ戻ると、張り詰めていた空気は一気に消え去った。
「あー!」
「終わったー!」
刀也が机へ突っ伏す。
迅も大きく伸びをした。
「緊張したぜー」
「あんな試験、もう勘弁だ」
「いや」
与一が静かに笑う。
「一番騒いでいたのは迅だったけどね」
「うるせぇ!」
教室中に笑い声が広がる。
「あの白狼、すごかったね」
美鈴が小夜へ話しかける。
小夜は照れくさそうに微笑んだ。
「私もびっくりした」
凛も嬉しそうに言う。
「白鷲があんなに大きくなるなんて思わなかった」
紅葉は腕を組みながら頷く。
「式神も成長するんですね」
その横では。
刀也と迅が桜花を見つめていた。
「なぁ」
「桜花」
「さっきの雷は痛かったぞ」
桜花はぷいっと顔を背ける。
「ご主人様を笑った罰です」
「反省してください」
「はい……」
二人は揃って肩を落とした。
その様子に、また教室中が笑いに包まれる。
一年一組の実技試験。
それは誰にとっても忘れられない一日となったのだった。




