第四十一話 修練の成果
「おはようございます!」
晴真が教室へ入ると、クラス中の視線が一斉に集まった。
「晴真!」
真っ先に駆け寄ってきたのは刀也だった。
「もう大丈夫なのか!」
「うん!」
「心配かけてごめん」
凛も安心したように微笑む。
「元気そうでよかった」
「ありがとう」
道満も席から立ち上がる。
「修練の成果はあったのか?」
「……たぶん」
晴真は照れくさそうに笑った。
「前よりは少しだけ」
迅が笑う。
「少しじゃなさそうだけどな」
与一も頷いた。
「顔つきが変わった」
晴真は首を傾げる。
「そうかな?」
「前より落ち着いて見える」
凛の言葉に、晴真は少し照れた。
⸻
その頃
職員室
正臣は教室へ向かう前に晴真の出席簿を手に取る。
「今日から復帰か」
玄が笑う。
「楽しみだな」
紫苑も微笑む。
「晴隆様が直々に教えたんだもの」
「きっと変わっているわ」
正臣は頷いた。
「授業が楽しみだ」
⸻
ホームルーム
正臣が教室へ入る。
「おはよう」
「おはようございます!」
元気な返事が響く。
正臣の視線は自然と晴真へ向かった。
(雰囲気が違う……)
以前は、教室へ入るだけでもどこか霊力が揺らいでいた。
しかし今は違う
静かだった
霊圧が落ち着いている。
(晴隆さん……)
(ここまで整えたんですね)
正臣は小さく微笑んだ。
「晴真」
「はい」
「修練、お疲れ様」
「ありがとうございます!」
⸻
午前の授業が終わると、午後は陰陽術の実習だった。
正臣は一枚の札を取り出す。
「今日は火球の術を行う」
その一言に教室がざわつく。
刀也が小声で笑う。
「また教室燃やすなよ」
「燃やさないよ!」
晴真は苦笑した。
凛も少し心配そうに見ている。
正臣は静かに言った。
「晴真」
「まず、お前からだ」
教室中が静まり返る
晴真は一歩前へ出た
札を構える
深呼吸
丹田を意識する
霊圧を整える
霊脈へ霊力を流す
焦らない
ゆっくり
一定に
修練の日々を思い出しながら、札へ霊力を送る。
札が淡い金色に輝いた。
正臣の目が見開く。
(きれいな流れだ)
「火球」
晴真が静かに術名を唱える。
ボッ
札の前に現れたのは、人の頭ほどの美しい火球だった。
炎は揺らぐことなく、真っ直ぐ飛んでいく。
ドン
的の中心へ命中
火球は役目を終えると静かに消えた。
教室は静まり返る
数秒後。
「おおーーーっ!」
刀也が真っ先に声を上げた。
「成功した!」
凛は嬉しそうに拍手する。
「すごい!」
迅も驚いている。
「別人じゃねぇか」
与一は静かに頷いた。
「霊力の流れがまるで違う」
道満だけは晴真をじっと見つめていた。
(流し方が変わった……)
(いや)
(霊力そのものが安定している)
正臣は穏やかに微笑む。
「よくできた」
「ありがとうございます!」
晴真は嬉しそうに笑った。
「ですが」
正臣は続ける。
「これはゴールではない」
「晴隆さんから学んだことを忘れず、これからも鍛錬を続けなさい」
「はい!」
晴真は力強く返事をした
教室の窓から春風が吹き込む。
晴真はそっと自分の丹田へ意識を向けた。
あの修練の日々は無駄ではなかった。
まだ課題はある。
それでも、一歩ずつ前へ進んでいる。
その確かな手応えを胸に、晴真は静かに微笑んだ。




