表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
35/100

第三十五話 霊力を巡らせる


 翌朝


晴真はいつものように修練場で瞑想を終えた。


丹田を感じる。


霊脈を感じる。


昨日まで見えなかった霊力の流れが 少しずつ分かるようになっていた。


晴隆は静かに頷く。


「ずいぶん感じ取れるようになったな」


「ありがとうございます」


「でも まだ術になると上手くいきません」


晴隆は微笑んだ。


「当然じゃ」


「今までは丹田と霊脈を知る修練」


「今日からは その霊力を動かす修練じゃ」



晴隆は地面へ一本の円を描いた。


「晴真」


「霊力はどこから生まれる」


「丹田です」


「どこを通る」


「霊脈です」


「その後は?」


晴真は少し考える。


「札……でしょうか」


晴隆は首を横へ振った。


「それが今の陰陽術の考え方じゃ」


「じゃが それでは霊力は一方通行になる」


晴真は首を傾げる。


「一方通行……」


晴隆は円を指差した。


「自然を思い出せ」


「湧き水は川になり 海へ流れる」


「海から雲になり 雨となって山へ降る」


「そして再び湧き水となる」


「自然は巡っておる」


晴真は目を見開いた。


「だから水はなくならない……」


「その通り」



晴隆は晴真の胸へ軽く手を当てる。


「霊力も本来は巡るものじゃ」


「丹田から霊脈へ」


「身体中を巡り」


「再び丹田へ戻る」


「戻る?」


晴真は驚いた。


「学校では教わりませんでした」


「今の術理では 術を使うために丹田から札へ流して終わりじゃ」


「じゃが 身体強化などでは 身体の中を巡らせた方が効率がよい場合もある」


晴真は真剣に耳を傾ける。



「まずは試してみよ」


晴隆は言う。


「霊力を札へ送るのではない」


「丹田から腕へ」


「腕から肩」


「肩から胸」


「胸から腹」


「そして丹田へ戻す」


「一周じゃ」


晴真は静かに目を閉じた。


丹田。


そこから温かな霊力が動き始める。


腕へ。


肩へ。


胸へ。


腹へ。


丹田へ。


しかし。


「うっ!」


途中で流れが乱れた。


霊力は腕から一気に外へ漏れてしまう。


晴真は肩で息をした。


「難しい……」


晴隆は落ち着いた声で言う。


「焦るな」


「川も最初から真っすぐ流れてはおらん」


「何度も形を変えながら海へ辿り着く」


「霊力も同じじゃ」



何度も繰り返す。


一周。


また一周。


最初は途中で止まっていた霊力が 少しずつ身体を巡るようになっていく。


やがて。


丹田へ戻った瞬間。


下腹部の温もりが少しだけ強くなった。


晴真は驚いて目を開く。


「戻ってきた……」


「おじいちゃん!」


「戻ってきました!」


晴隆は嬉しそうに笑った。


「それでよい」


「今 お前は初めて霊力を巡らせた」


「これが後の修練の土台となる」


晴真はもう一度丹田へ手を当てる。


流れた霊力が消えたのではなく 自分の中へ戻ってきた。


その感覚は 今まで術を使った時とはまったく違っていた。


晴隆は空を見上げる。


「巡る流れを自在に操れるようになれば お前の霊力はさらに安定する」


「その先に 本当の霊力の鍛え方がある」


晴真は力強く頷いた。


「はい!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ