第二十七話 御堂家へ
翌日の放課後。
勝田正臣 西御門紫苑 神門玄の三人は 御堂家へ向かう準備をしていた。
「いきなり訪ねても迷惑でしょうし」
正臣がそう言うと 紫苑が微笑む。
「沙羅に仲介してもらえばいいじゃない」
「そうだな」
玄も頷いた。
こうして三人は御堂沙羅へ事情を説明し 御堂家への取り次ぎを頼んだ。
沙羅は話を聞き終えると 呆れたように肩をすくめる。
「別に構わねぇよ」
「伯父さんも兄さんも そのくらいで怒る人じゃねぇし」
沙羅にとって 御堂晴隆は伯父。
御堂家当主・晴時はいとこの兄だった。
「話は通しておく」
「ありがとな」
正臣は頭を下げた。
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その話を聞きつけた晴臣が、なぜか同行すると言い出した。
「俺も行く」
正臣は首を傾げる。
「晴臣先輩もですか」
「ああ」
「晴真のことも気になるしな」
そう答えたものの どこか歯切れが悪い。
沙羅はニヤリと笑った。
「本当は伯父さんと顔を合わせづらいだけだろ」
「息子を理由に帰ろうって魂胆か」
晴臣は顔をしかめる。
「うるさい」
「久しぶりなんだから仕方ないだろ」
「情けねぇなぁ」
「お前には言われたくない」
二人はいつものように言い合いを始める。
その様子を見て 晴真は苦笑した。
「二人とも仲がいいですね」
「「よくない!」」
声がぴったり重なり その場に笑いが広がった。
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御堂家へ向かう道中。
晴真はどこか嬉しそうだった。
「楽しみか」
玄が尋ねる。
「はい」
「伯父さんには 入学の準備をしていただいたお礼を言いたくて」
「それに」
少し照れくさそうに笑う。
「父さんの家族に会うのは初めてなんです」
その言葉に 晴臣は少し胸が痛んだ。
本来なら もっと早く会わせてやるべきだった。
そんな思いが胸をよぎる。
⸻
しばらく歩くと 大きな屋敷が見えてきた。
立派な瓦屋根。
白壁に囲まれた広い日本庭園。
歴史を感じさせる堂々とした門構え。
そこが――
御堂宗家だった。
門の前には すでに四人の姿があった。
御堂家当主・晴時。
その妻・照美。
長女・陽乃。
次女・陽香。
晴時は穏やかな笑みを浮かべる。
「よく来てくれた」
照美も優しく頭を下げた。
「皆さん いらっしゃいませ」
陽乃と陽香も 嬉しそうに晴真を見つめている。
その時だった。
陽香が目を丸くする。
「あれ」
「晴真くん 制服?」
晴真は少し照れながら制服の裾を整えた。
「はい」
「せっかくなので」
「入学用品を用意してくださった皆さんに見てもらいたくて」
「制服姿を見せたかったんです」
その一言に その場の空気が止まる。
照美は思わず口元を押さえた。
「まあ」
陽乃は優しく微笑み
「本当にいい子ね」
と小さく呟く。
陽香は目を輝かせる。
「すごく似合ってる!」
晴時も目を細め 嬉しそうに頷いた。
晴臣は頭をかきながら苦笑する。
「こういうところは 美咲に似たな」
沙羅は小声で呟く。
「反則だろ」
「こんなの誰でも可愛いって思うじゃねぇか」
紫苑も思わず笑みをこぼす。
「これはずるいわ」
玄も苦笑した。
「晴臣先輩」
「こんな子が来たら 誰でも甘くなりますよ」
晴臣は照れくさそうに笑う。
「だろ」
そんな温かな空気に包まれながら 一行は御堂家の門をくぐった。




