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第十九話 ルームメイト


黒桜寮の中へ入ると、木の香りがふわりと漂った。


広い玄関。


磨き上げられた廊下。


中庭には立派な桜の木が植えられ、池では鯉がゆったりと泳いでいる。


「わぁ……」


晴真は思わず見入った。


「本当に旅館みたい」


刀也は笑う。


「黒桜寮は学園でも歴史がある寮だからな!」


刀姫は新入生たちを見渡した。


「それでは部屋割りを発表する」


新入生たちは自然と背筋を伸ばす。


刀優が一枚の紙を手に読み上げる。


「男子一号室」


「桜晴真」

「立身刀也」

「麻倉迅」

「鏑木与一」


「おっ!」


刀也が真っ先に声を上げた。


「迅と与一も一緒か!」


迅も嬉しそうに笑う。


「面白くなりそうだな!」


与一は苦笑した。


「君たちが少し静かならね」


晴真も笑顔になる。


「よろしくね」


「こちらこそ」


与一は穏やかに微笑む。


「よろしく 晴真」


迅は晴真と刀也の肩を組んだ。


「これで四人組決定だな!」


「勝手に決めるな」


与一がすぐに突っ込む。


教室の時と変わらないやり取りに、晴真も思わず笑った。


刀優も楽しそうに見守っている。


「男子二号室」

「麻賀多道満」

「岩名豪太」

「青菅隼人」

小篠塚太一こしのづか たいち


豪太は嬉しそうに拳を握る。


「やった!」


「道満様と同じ部屋です!」


一方、隼人は大きなあくびをした。


「どこでも寝られるから別にいい」 


「お前なぁ……」


豪太が呆れる。


道満は静かに頷いた。


「よろしく頼む」


その一言だけだった。


続いて女子の部屋が発表される。


「女子一号室」

「麻賀多凛」

「木之子小夜」

馬渡紗月まわたし さつき

弥富(やとみ)ひなた」


凛は小夜へ笑顔を向けた。


「よろしくね」


小夜も小さく頭を下げる。


「よろしくお願いします」


「女子二号室」

「麻賀多紅葉」

「根郷綾女」

「江原美鈴」

臼井千尋うすい ちひろ


「やった!」


紅葉は嬉しそうに綾女と美鈴を見る。


「これからも一緒ね」


綾女は静かに頷き、美鈴は笑顔で答えた。


「毎日楽しそう!」


その後も刀優は、他のクラスメイトたちの部屋割りをいくつか読み上げていった。


名前が呼ばれるたびに、あちこちで歓声やため息が上がる。


「え、あいつと同じ部屋かよ!」


「やったー!仲いい子と一緒だ!」


そんな声が飛び交い、寮内は一気に賑やかな空気に包まれていった。


刀優は紙を閉じた。


「以上が今年の部屋割りです」


「基本的に四人部屋になります」


「共同生活になりますので、お互いを思いやることを忘れないようにしてください」


刀姫が続ける。


「部屋割りは生活しやすさや相性だけで決めているわけじゃない」


「互いに刺激し合い、成長できる組み合わせも考えられている」


「時には意見がぶつかることもあるでしょう」


「ですが、それも学びの一つです」


新入生たちは真剣な表情で頷いた。


「それじゃあ」


刀優が微笑む。


「荷物を置いて三十分後に食堂へ集合」


「今日は歓迎会があります」


「歓迎会!」


刀也と迅の声がぴったり重なる。


「ご飯だ!」


「腹減った!」


「……」


与一が呆れたようにため息をつく。


晴真はそんな三人を見て思わず笑う。


(なんだか毎日楽しそうだな)


新しい仲間


新しい部屋


そして、これから始まる寮生活。


期待に胸を膨らませながら、晴真たちは自分たちの部屋へ向かって歩き始めた。

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