器
私はターセル。先輩——ヘールラ様の助手として仕えている。
そして先程私は下界に行くことになった。
《器》———魂がのっている皿のようなものである。そこに私の魂を移し、元の人格を封印して私は下界に行くことになる。
これは禁忌としていると聞いているのだけれど、ヘールラ様はそんなことはどうでも良いらしい……。
「ターセル。準備ができました」
ヘールラ様はここ最近、焦っているのがわかります。その原因は《ギルティナ・エリスフォード》という千年前に生きた剣聖であると聞いている。
「先輩、わかりました。覚悟はできています」
「ふふ……覚悟など必要ありません。死ぬわけではありませんから……」
「そうですか」
ヘールラ様は普段通り慈愛に満ちていた。
■
アクシオムを沈めた私は王国の働きかけにより、無処罰とされた。精霊国から借りた船は正式に私の物になり、その代わりとして新しい飛行戦艦を建造することになった。
アクシオムを沈めた私は各国から冷たい目で見られつつあるが、別に影響はない。
あ、まあ自由に旅する時くらいかな、それが仇となるのは。
「今日は転校生を紹介する」
シルビアがそう言って教室に入ってきたのは、青から紫のグラデーションの色をした髪、そして紫の瞳を持つ女。
「パステル・グレアンといいます。今日からよろしくお願いします……」
パステルという女が一礼し、こちらを見た。
だが、このパステルという女——強い。
常識から外れている。警戒をしておこう。
■
ヘールラが下界の様子を見ていた。
「さて……ターセルはどう動くかしら」
ターセルを監視に向けたのはいいが、思い通りに動いてくれるかも気になっている。
最悪妨害以上……殺しても構わない。強力な器を用意している。元から相当の実力者であった器を使用。ターセルの力と合わせ、ギルティナと対抗する力を手に入れた。
女神ヘールラは焦っている。
(ここで決めなければ……私の野望は———)
遅くなりました。
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