もっともな意見
予想通り話し合いが始まった。
「うちのラクティスが獣人化したことについて……学園側はどう責任を取るのですか?」
先に来ていた学園長は汗を拭きながら答えた。
「それに関しては……アクシオムの責任者を捉え、元に戻すための薬を開発させます」
「それが可能だとお思いですか!! アクシオムはどこの国にも属さない浮遊機関ですよ!! 学園一つができることではない」
真っ向から否定され学園長はより焦る。私と話した時もそうだが、どこにも属さないというのが実に厄介だ。
そして洗脳されているのは成績トップ達であるためにテレポートしても危険がある。
「——なにも言えないです」
「あなたはどうですか、ギルティナさん」
正論を言われて私も口を出せない。ラミンの意見は非の打ち所がない。
国王ですら議会に持っていくのをためらう事案である。学園——いや国を巻き込んでも収束しない大問題なのだ。
「ええ、私は何も言えません。ラミンさんの意見がごもっともすぎるので」
こうなれば……私が単独で動くしかない。グランドも奪い返すしかないし、洗脳されたフィオナ達を助けにも——
「今日はこの辺で終わりにします」
私は身を引き、帰ることにした。これ以上は話が進まないと思ったのだ。
「わかったわ。ただ今後も話し合いに参加してもらうわよ」
剣聖の私ですら方が震える圧があった。このラミンという人は只者ではないようだ。
■
「ギルティナよ。すまないね」
「学園長。謝らないでください!」
「あはは。君は気楽でいいな」
気楽に見えるなら何よりだわ。実際には重い過去や後悔を持ちながら生活している剣聖だというのに。そして同時に、楽しそうに見えるように行動している証拠でもある。
「そう見えるなら何よりですわ」
「そうかい、そうかい」
学園長の微笑む顔は前世の兄に似ていた。
兄も戦争で殺されている。恨みを持つ人が多いと聞いていた。その為狙う人たちも数多くいたんだろう。そして私に嫉妬もしていたと聞いた。私だけ明るい光を浴び、兄は暗いところでこっそり努力を重ねていたと母から聞いていた。
——それでも、努力しても何をしようとギルフォードという男には叶わなかった。自分の存在は霞んでいると自覚をしていたんだと聞いた。
そんな悲しい気持ちと嬉しそうな気持ちが混ざったような微笑みはどうしても兄と重ねてしまう。
「どうしたのかい」
「い、いえ! 少しボーっとしてしまっただけですわ!」
「そうか。今日は早く帰りなさい。危険はまだあるんだから」
「わかったわ!」
私は踵を返して去っていく。
そして私はアクシオムへの単独行動の作戦を立てることにした。
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