ベレルの焦り
ギルティナの部屋ではまだ話が続いていた。
「ラクティス・ラクロスが何故獣人化したのかを教えてもらいたい」
「アクシオム内部で実験されてそうなりましたわ」
普段とは違い真面目な口調には学園長も少し驚いている。いまはそれを口には出さない。
「そうか……これは学園にとっても王国にとっても問題だ。ましてや伯爵家の令嬢だぞ」
「ええ、そうですね。ラクロス家は学園に言いに来るはずですわ」
「それは予想がつきます」
私は名門エリスフォード家。詳しく言うと公爵の位置にある家だ。現在は母様が亡くなって父様が頑張ってくれているわ。敵は多いけど実力では負けていないため今の地位にいる。
■
浮遊機関アクシオムでは派遣した研究者たちが戻らないことに焦りを感じているベレルがいた。
「おのれ……あの小娘がッ!!」
グランドを手にしたのはいいのだが、反応がなくあの二人を捕まえることもできていない。
「この大剣も無反応……分析はできるが実際に使うことができない」
「ベレル様」
一人で愚痴っている時にシルビアが入ってきた。
「どうした、シルビア」
「派遣した研究者たちは皆殺しにされていました」
「———クソッ」
台を叩く。ベレルの顔には焦りが見えていた。あの実験台は成功の一つである。
洗脳した学園生徒たちはしっかりと働いてくれているが、見つけ出すことはできていない。今は足がついていない状態だった。
「ベレル様……」
シルビアの次に入ってきたのはフィオナだった。
「ギルティナが現在いる場所を予想しました」
目には光がなく、完全に洗脳されている状態だった。
「そうか。言ってみろ」
「まずは———」
フィオナが絞ったのは二か所だった。
一つ目がアスコット公国の中央都市。前の襲撃場所が下側だったため中央に移動したとフィオナは予想していた。
二つ目は学園だった。
「なぜ学園に?」
「ギルティナは私たちではわからない力を使える。もしかしたら学園に帰っている可能性もある」
長年一緒にいたフィオナの考えは適当だった。
「それは厄介だ。まあいい。少しばかりアスコット公国に人をだそう」
「はい、わかりました」
側で聞いていたシルビアが準備を進める。
■
私はラクティスの実家へと来ていた。
ラクロス伯爵家に足を運ぶのは初めてである。だけれど母様とは母同士で仲が良かったと聞いているため警戒は最低限でいいだろう。
「あら、来てくれたのね」
出迎えてくれたのは母様の友人である《ラミン・ラクロス》だった。
「わざわざお出迎えありがとうございます」
最低限の礼儀作法を活かす。
「そう固くならなくていいわよ。エリスフォード家とは仲良くやらせてもらっているからね」
「そ、それならよかったです」
ラミンはうふふ、と笑ってドアを開けた。
この雰囲気も……中に入れば別物だ。そう——話し合いが始まるんだから。
気に入ったら、積極的にブックマークや、評価を!(☆が並んでいるところ)
評価や、ブックマークをしてくれると、作者の励みにもなりますので、ぜひ!!
(書籍化目標なので、そのためのアドバイスなどもください)
コメントや、リアクションも忘れずに!




