無事、返る
気配がしなくなり、私は宿に音を立てずに戻って、ベッドに入った。
ワープは前世以来だから心配でもある。成功しなかった場合を考えて挑むしかない。
■
起きたのは日の出直後。
「ラクティスさん起きて!」
「んう……あ」
「起きた?」
「お、おはようございます……」
ラクティスが起きた。
「寝起き早々で悪いけど、荷物まとめて国から離れるわよ」
「は、はいぃ……」
朝が弱いとわかる。目がしょぼしょぼで、前が見えていないようだ。
前世でも居たわね。こんな弟子が……。そうね、時間があればお墓参りでもしに行こう。ある場所はわかる。
弟子専用の墓がある……というか死ぬ前に伝えておいたから。指示通りであればあるはずだわ。
荷物をまとめたのを確認して、街を離れ、国を出た。
国を出てしばらくし、何も見えなくなった。
「さて……始めるとしましょう!」
「は、はいぃ……」
持ち物を触り、ラクティスとも手をつなぐ。このワープには詠唱はいらないただ、ワープ先のイメージをしっかり持たなければならない。
学園を思い浮かべ、決める。
視界が真っ白になった。
■
「成功……ね」
視界が戻り始めた。少し見える景色は完全に学園だった。
「す、すごいですッ」
「―――私も久しぶりに使ったわ。成功するとは思わなかったわ」
学園の演習場。生徒たちは練習に取り組んでいる時間帯だった。
「ワープに時間がかかっていたのね」
昼前の時間で朝ではなくなっていた。
「ギルティナ? それと、獣人?」
「あの顔―――ラクティスさんじゃない!?」
同じ学年の生徒の実技の時間と被っていた。
「よかった……わ」
安心したら意識が遠くなっていく。ワープを使ったからか……何かはわからないが蓄積していたのだろう。
■
目を覚ました時には寮にいた。私の部屋だった。
「目を覚ましたか。ギルティナ。エリスフォード」
視界に入るのはこの学園の学園長だった。その目は私を怪しんでいる目。信用されないのはわかってる。信じられなくてもいいから正直に言うしかないわ。
「アクシオム内部で、私とラクティス以外は洗脳されましたわ」
「なに? そうか―――だから二人で帰ってきたのか」
「信じてくれるのですか」
「……まだ半信半疑だ。それが本当ならアクシオムは潰すことになる」
そうなると嫌なのは各国だ。オートレイス王国だけでは潰すことはできない。だが、覚悟を決めるしかないという学園長の決意を感じた。
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