手加減を知らない令嬢
「ムカつくッ!!」
「なに、どうしたのよ」
ギルティナは起きてすぐ、騒いだ。
その様子をジト目で見るフィオナ。
「あの男、あの男に一発切り込んでやりたいのよ!」
「そんな事してる場合じゃないでしょ? 初日から遅刻したら、名門エリスフォードの名に泥を塗ることになるわよ……?」
「でも、やっぱりぃいいいいい!?」
腕をガッチリと掴んで、引きずりながら、教室へ、運んでいく。
「はなせぇぇええ!!」
■
「はい。今年の担任、シルビア・ティルスだ」
女性だったが、まるで軍人のような、いくつもの戦場を駆けてきたと思うほどのオーラが、担任・シルビアからは出ていた。それはもちろん、ギルティナも分かっているようで……
ほほーん……今年の担任……なかなか強うそうじゃないの。決闘しがいがありそうね!
――と、思っているのが分かるように、フィオナはギルティナを見ていた。
「話は終わりだ。いまから、技能試験を開始する。外に出ろ」
■
クラスメイトが外に出たのを確認し、シルビアは、説明を開始した。
「これは、なにか分かるかな?」
「自動人形です」
そう答えたのは、フィオナだった。
(ふーん……どれだけ耐えられるかしら)
ギルティナはニヤけていた。
クラスメイトの技能試験、次に呼ばれるのは私。手加減……しなくても大丈夫でだよね……
――と、思いながら、細剣を鞘から抜いた。
「ギルティナ・エリスフォード! 前へ」
たとえ身体が変わったとて、私の剣技は変わらない。
魔力を剣に纏わせ、当たらなくても斬れるようにし、構える。
「ハズレ剣士が、真剣になっちゃって……どうせ、大した記録も出せ―――」
その声が聞こえた瞬間には、ギルティナのレイピアは鞘にしまわれていた。
「へ?」
誰も見えていなかった……いや、フィオナは見ていた。
魔力を纏わせたのは、斬れる範囲を広げるため。その魔力は、目に見えないほど細い、糸状のものであり、魔力を可視化できなければわからないであろうが、フィオナは魔剣士のため、感じ取り、可視化できる能力があった。
そして、速すぎたのか、時差で地面が割れ、オートマタが木っ端微塵になった。
(どうよ……私を馬鹿にしたこと、後悔したかしら? してなくてもいいけど。それと、オートマタ、あんなに脆いのね……)
ギルティナは後ろに戻ろうとした時、呼び止められた。
「ギルティナ・エリスフォード!!!!」
「ヒッ……」
ゆっくり後ろを向いた。
「あ……」
■
ギルティナは、殴られた。どの時代も、教師は厳しいということが分かった。
千年前も変わらず殴られていた事を思い出して、次の試験に望んだ。
「魔力測定器だ。魔力を最大まで流せ。魔力は測定が終われば散乱せず体に戻る。安心しろ」
またしても、私からね。
「また、名門エリスフォードの令嬢ね。剣技はまぐれだとしても、魔力はごまかしようがないから、恥かくわよね」
「そうそう……あの身体なら、剣士じゃなくて……夜の仕事のほう―――」
バキギギギギギィィィィィィィィィィ
「あ……」
(魔力を集中させて、一気に流し込もうとしたら、割れちゃったわね。前世にはなかった装置だから、もっと試したかったのに……)
「ギルティナ・エリスフォードォォォオォォオォォォオォ!!」
「ヒィヤァァァァァアァァ」
フィオナはその様子を眺めていた。
■
ギルティナは寮にて、しょんぼりしてた。よっぽど、怒られて怖かったのでしょう。
でも、異常な実力があるのも事実……付き合ってあげるわよ。楽しそうだしね。




