最先端教育浮遊機関アクシオム
結果は満点に近かった。一位は最初の頃に会った灰色、緑目の男。
何回か見かけたことがあるし、ほんの少しだが、喋ったこともある。
でも、何を考えているかわからない。
「まあ、これでアクシオムへといけるわ」
「ギルティナ」
「フィオナ!」
フィオナと私の服装がとても似ていた。ほぼ毎日私は動きやすい服装を着ているけど、フィオナも私を真似しているのか、最近似せてきてる……わね。
悪い気はしないけど。
「あれ、今日はなんで戦闘衣服なの?」
「え、聞かされてなかったの?」
「へ……?」
「今日出発よ」
いや、聞かされてないし……シルビアのやつ……私に言わなかったわね。
「上位十名は中央ホールに集合だって」
「荷物は?」
「一週間宿泊らしいわよ」
「ふーん……」
結構長いわね。いろいろと調べられそうだし、私からしたら好都合だわ。
■
「っ……さて、上位十名が集まった。今から《最先端教育機関アクシオム》へと転移する。準備はできているな」
全員がうなずく。未知の場所への期待と恐怖が混じる。
そして、転移魔法陣が展開され、次々と人が転移していく。昔とほぼ変わらない転移魔法陣で安心したわ。
視界が真っ白になり、体感数秒で視界が戻る。
「おお、思った以上ね」
周りには最先端と言われるほどの精密機械が置かれていた。シルビアの後をついていくと、担当者と思われる人物が待っていた。
「君たちか、学園で優秀な者たちよ。ワシの名前はベレル・ホーネット。ここ《最先端教育機関アクシオムの最高責任者だ」
中々の権力者が出迎えとは相当期待されているわけだわ。
「まあ、長話は好かんだろう。早速案内していく」
■
一通り、案内された。現在は古代魔法の再現に尽力しているらしい。古代魔法の基準は約五百年前以上の事を指すと言う。
だとしたら、私が使う身体強化、効果付与までもが古代魔法認定になる。二重詠唱は完全ロストマジックの為、完全に古代魔法魔法になるわね。
それと、気になったのが立ち入ることができない部屋の存在だ。明らかに怪しいが、今回は深く探らないことにする。ろくでもないことになるよりはマシ……ええ、そうよ。
剣聖だからって調子に乗ってもダメだわ。自由に学んで、旅をするってことが危うくなるのはごめんだわ。
あっという間に夜になってしまった。指定された部屋に入ると窓があった。外にはベランダみたいなものがあり、外の景色や空気を味わえる。
ここは一人一部屋らしい。まあたまにはいいかもしれない。
「それにしても景色がいいわね。眺めてて飽きないわ」
最先端教育機関アクシオム―――正式名称《最先端教育浮遊機関アクシオム》は常に移動し続けている。選ばれし人材だけが入れる一つの都市って訳。
どの国にも属していないから、堕とされる可能性もあると考えたが、どうやらそんな事は想定済みで、解決済みのようだわ。
魔力の流れを感じてみると、浮遊機関アクシオム全体を結界で覆って守っている。
さすが最先端教育機関。人を育成して、その技術をアクシオムに使い込むという。この浮遊機関こそが実験台であり、学びの場所っていう感じね。最高じゃない!
■
夜中、私は喉が渇いて自室から出てしまった。
ベレルの注意を忘れて、ふらふらと水道へと向かって行った。
『夜中、指定された部屋からトイレまでなら好きに出歩くことを許可するが、その範囲を超えたら……何があっても責任はとれない』
そう言われたことなど微塵も覚えていない。コップを手に取り、水を汲んで一口飲んだ。
何故か、ここの水は少々甘くておいしい。
「もう一杯だけっと……」
水を味わって飲んでいるギルティナの近くに気配があったが、気づかない。
そして気づかないまま、部屋へと戻って寝たギルティナだった。
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