天職偽装、そして本当の天職
「フィオナの本職は弓。私が直接偽装天職を授けたのです」
それを聞かされて私の思考は停止した。魔剣士というのは偽造だったらしい。確かに、何かとフィオナは剣が苦手なような感じだった。
決して私に言う事はなかったけどね。私は気づいていたわ。
「そして、弓の才は世界最高。剣で言うとギルフォード……あなたと同じ、それ以上の力を持っているのです……」
「私は負けないわ! 誰が敵でも勝利してきた私なんだから」
ヘールラは黙って弓をまた構えた。
『私に貫けないものはない。千矢一集』
千本の矢がブレることなくギルティナへと向かって放たれた。その技に隠れて《無》が付与されていた。この攻撃が当たれば何もかも消える。
ギルティナの頭には、千本の矢をどう弾くかを考えていた。
「そんなもので私は倒せないわッ! 無音一刀断―――火魔法効果付与」
剣を動かしたかもわからない速さ、それなのに音もない。大剣で無音とはありえないこと。
矢は爆発する。火魔法効果のおかけだった。
「ッ……」
ヘールラが動かすフィオナの身体。まだ慣れていないようだわ。
「まさか新技を持ち出してくるなんて……」
ヘールラは少しギルティナを見誤っていた。大剣で攻撃を弾くと必ず音が出るはず。それに、千本の矢が一瞬で弾かれ爆発する。二重詠唱のレベルも高い。
ギルフォード時代から下界の様子を見ていたが、こんな強いとは思ってもいなかった。
「……」
ギルティナが黙った。ヘールラが一歩踏み出そうとした時、魔力のドームが張られた。
魔力密度が非常に高く、可視化できるほど。ゆっくり点滅している。
「な、なんです、か……これ……」
この程度の魔力は簡単に出せる。魔力枯渇なんて到底縁のない事。
「さて……いくわよ」
「二重結界ッ!」
上級結界が二重に張られギルティナの攻撃を防ぐかに思われたが、この魔力ドーム内では結界など無意味に等しい。
ギルティナがグランドを一振りするだけで結界が同時に割れる。
ヘールラは即座に距離を取り、弓を構える。
「次元跳躍」
矢が放たれた瞬間、矢が消えた。そして私は避けた、避けたが頬に浅く傷を負った。
放たれたときよりも速い速度で現れた矢は、私でさえも避けれなかった。
「フィオナの固有技術の一つでもある次元跳躍を避けるなんて」
頬から少量の血が流れるが、ギルティナは気にしなかった。
「固有技術?」
なるほど、固有技術の効果でこの魔力ドームの中でも最高のパフォーマンスができる訳ね。しかもフィオナは魔力が少ない。弓は比較的魔力消費が少ないと聞く。
魔力枯渇をさせることは難しいわね。なら、弓を斬ってしまえばいいじゃない? 私にしてはあったまいい!
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