魅了にかかって
気配がした。
まだ下り始めたばっかりだが、確実にここへ 向かっている。大体ここに来る奴らはまともじゃない。
今回は誰が来るか……。
「ここっすね……」
私と目が合った瞬間、こちらへと向かってくる。
服装からして聖職者だと思う。聖職者という天職はずいぶんと当たり枠ね……。でも、そんな天職を持った人がここに来るなんてなんかきな臭いわね。
「あなたがギルティナさんすか?」
「え、ええ」
「私は聖職者カプリスっす。あなたに聞きたいことがあってきました」
ギルティナの顔には隈ができていた。
結界の解読に忙しく、いつものような元気はなかった。
「今、何してるんすか?」
「言う必要あるの?」
そう言われ、カプリスは魅了を発動する。
だが、それに気づいたのはアメイズだった。
「そこの聖職者。師匠に何しようとしてるの」
カプリスはアメイズのほうに向いた。
「え、いやなんもしてないっす」
「あなたは魅了を発動した。私にはわかる」
アメイズから目をそらすカプリス。
「アメイズ……私は大丈夫……」
「師匠。危険です」
「えーと、カプリスですっけ。今は結界の解読をしてるとこ、です……」
アメイズがギルティナの瞳を見ると光がなかった。
「し、師匠?」
アメイズの少し戸惑った声が響いた。
師匠が簡単に墜ちるとは思っていなかったからだ。師匠には耐性があると思い込んでいた。
今はどうすることもできない。別々の牢に入れられているせいで正気に戻すことも難しい。もし解読済みの場所を話してしまったら厄介。
「どこまで解読お終わったんすか?」
「し、師匠!!」
「最初の四万文字……。結界の自己再生の阻止……の辺り」
カプリスは女神から聞かされていた情報と照らし合わせる。
結界の自己再生とはそのままの通り、結界破壊をされたとき、結界が再生するということ。
「ありがとうっす!」
そう言ってカプリスは去っていく。それと同時にギルティナの瞳に光が戻る。
「師匠! 何をしてるんですか!」
「え、ええ? 私は何もしてないでしょ」
「さっきの聖職者に解読箇所話してしまってましたよ」
「へ? うそでしょ!?」
アメイズがここまで焦っているのは初めて見た。というか、解読箇所を話したってことは……あの女神に対策されちゃうわね。
■
「国王陛下。ギルティナの拘束を解いていただけませんか?」
「ならぬ」
国王の声が王の間に響く。周りには数々の貴族がいた。
周りにいる貴族はエリスフォードをよく思っていない人等が多かった。
「何故ですか……」
「アリストが言ったのだ。エリスフォードの令嬢が浮気を働いた、と」
「そんな……」
アリアは明らかに嘘だとわかっていた。
「あの子はそんな事しませ―――」
アリアは背中を刺された。
「―――かはッ……なにを……」
アリアを刺したのはブルーハード男爵家当主バネッド・ブルーハード。
「前から気に食わなかったんだ。あんな男と結婚しやがって。駆け落ちしたくせにエリスフォード家の名を名乗りやがって」
「へい、か……おこと、ばを……」
王は黙ったままアリアの意識がなくなるのを見ていた。目の前で命がなくなりそうなのをだだ、見ていた。
遅くなりました。この話からとても空気が変わってきます。
聖職者の名前がかぶっていたのでカプリスに変更です。
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