アリストの企み
「どうしたらいいんだろうね」
「来てくれてありがと」
そう言ったのはフィオナだった。
私はセレスティア家の屋敷に来ていた。ここも何年ぶりに来たことか……。
「フィオナが心配で来たわ!」
できる限り私は明るく振る舞う。フィオナがまた暗くならないように。
「そ、そう? そんな心配いらないのに」
「まあまあ。そんなこと言わないで!」
お茶を啜る。私はフィオナの部屋を見渡す。
何も変わっていないか、異変がないかを見ていく。
「そんなに部屋をキョロキョロ見ないでよ」
フィオナにジト目で睨まれる。
特に変わった変化はなくてよかったわ。
お茶を飲み切り、今日は帰ることにした。
「何かあったらすぐ家来てね」
「わ、わかった」
そういって私は屋敷を出た。
■
一方その頃、アリストは……。
「第二王子殿下……ギルティナ様をお連れ戻しにならないのですか?」
「いい。ギルティナは戻ってくる。もっと従順になってね」
「そ、そうですか。わかりました」
ギルティナ。君が逃げてからすぐに闇薬師を用意した。見つかり次第取り押さえて堕とす。
ギルティナとの子ができれば……神に献上できるはずだ。わざわざセレスティア家の令嬢を使わなくて済む……。
「……女神へ連絡を取るとしよう」
「了解いたしました。即時馬車を手配いたします」
「ああ、頼むよ」
少しして、馬車の音が聞こえる。
屋敷から出て、馬車に乗り込んだ。
「協会へ向かってくれ」
「はい」
馬車が動き出した。向かうは王都最大の教会だった。
■
「最近変な夢ばかりで嫌になる」
そう言ったのはアメイズだった。ソファーに適当に座りながらコーヒーを啜っていた。
相変わらず行儀がなってないわね、アメイズは。
そう思いながら私はお茶を啜る。やっぱり実家のお茶は高い物だからおいしい。
「それで、変な夢ってなによ?」
「うーん……。言葉には表せない」
「何よそれ」
私は呆れた顔になっていた。言ったからにはちゃんと説明してほしいものよ。
「それにしても、あんたの夫だっけ? アリスト。あいつ、怪しすぎるでしょ。なんか企んでるんじゃない?」
「そう? まあ、フィオナには敵対しているし、そこが怪しいていうか―――」
「―――そういう事じゃないわよ」
そんな事言われても、私にはわかりませんわ。
「じゃー私は基礎練習をしてくるわ」
「気を付けてね」
アメイズの目は真剣だった。本気で心配しているようだ。
私は少し離れた山へ来ていた。
「グランドとも最近話してなかったし、寂しい思いをさせたわね」
『そうなのだ。寂しかったのだ』
「じゃあ、今日はいっぱい使ってあげるわ!」
『それは遠慮するのだ』
「そんな事言わないで―――」
その時、気配がした。
気づいた時には遅かった。囲まれていた。
「めんどくさいわね。グランド、久しぶりに戦うわよ」
『はいはいなのだ』
私は瞬時に空中へ飛んだ。
視界に映ったのは三人だけ。気配は十二人。散らばった可能性が高いわね。
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