日常と女神
《生命の知恵輪》を褒美として貰った。
この指輪に刻まれている歴史は指輪が製造されてから現在まで。
私は前世では、よく世話になった代物だ。また使えるのはとても嬉しいことだ。
「ギルティナ。今暇?」
指輪を使おうとしたとき、フィオナに声をかけられた。
「暇だわ! どうしたの?」
「久しぶりに王国へ帰ってきたんだから、遊びましょうよ」
「いいわね! どこに行く?」
「特に決まってないわ。適当に歩きましょう」
「わかったわ!」
私はすぐに準備をした。
テーブルに置いた指輪を見た。持っていくか迷ったが、せっかくの遊びなのだから、と持っていかないことにした。
■
久しぶりにオートレイス王国王都を歩く。王都はかなりのダメージを受けたはずだが、魔法教育機関が優秀なおかげか、すぐに復興している。
人々は何事もなかったように生活している。
「私たちの故郷は大丈夫かしら? 長期休みには一回帰りたいものね」
「そうね!」
適当に街を歩くのは中々ないもので、新鮮だわ。
前世では遊びという遊びなど経験したことなかったからね。
こういう時は、どうすればいいかよくわからないけど、行きたい店に片っ端から行けばいいのよ……そう、行けばいいわ!
「フィオナ! あそこのお店、良さそうじゃない!」
「? ああ。確かにあそこは良さそうね。行きましょう」
完璧過ぎぃいい! 私、センスあるじゃん!
私たちが入った店は、ケーキ屋だった。
置いてあるケーキはどれも美味しそうで、選べるわけがない。
「フィオナ。ここは私が奢ってあげるわ。好きなものを食べなさい!」
「あら、羽振りがいいわね? じゃあ遠慮なく……あ、これください」
店員さんに言ったのは、高級カカオを使ったチョコケーキだった。
なんと、おひとつの値段……五万円だった。
「あ、いいわよ……」
フィオナ……容赦ないわね。
覚えている限り、フィオナは奢りという言葉に敏感だ。昔から、ね。もちろん、奢りと聞いた瞬間、我慢しなくなる。
「―――私はこれで……」
二番目に安いただのイチゴケーキを買った。
私たちは、ケーキ屋のテラスで食べた。
今日は気温が高く、晴天だ。テラス席に合った日だった。
「一口頂戴、フィオナ!」
「いやだわ」
「え?」
「奢ってくれたのは、ありがたいけど、一口もあげるとは言ってないわよ」
このクソフィオナめ……。誰の金だと思っていやがるッ!!
少しぐらい寄こしてくれてもいいだろうがッ!!
そう心にとどめておきながら、私は安いケーキを食べた。
■
「ギルティナ動きはありますか?」
「先輩。今のところ、目立った動きはしていません」
「そうですか……」
私はギルフォードを転生させた。私には特に理由はなかった。
今でもなぜ転生させたか……後悔だけがある。
いや、もしかしたら将来的に、手駒にできるように、と当時の私は思っていたのだろう。
「はぁ……」
大きなため息をつきながら考える。
フィオナの身体さえ、手に入れることができれば楽なのだけれど……。ギルティナが近くにいるためか、魅入ることができない。
フィオナさえ……フィオナさえ手に入れば……この世界は私の支配下とできるのに……。
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