褒美の品
戦争が終わり、はや一週間。
帝国聖女が死んだことにより、帝国の権力は一気になくなったため、今年中には合併されるとのこと。
まあ、なんとも思わないことはないけど、自業自得だわ。
私は現在、国王に呼ばれている。転生してからの故郷でもまだ王に会っていないのに、隣国の王と顔を合わせるなんて……。
「ギルティナ・エリスフォード公爵令嬢、入りなさい」
大剣をフィオナに預け、私は謁見の間へと足を踏み入れた。
踏み入れた瞬間、空気が変わった。オートレイス王国の貴族たちが私を見る。中には帝国と関係を持っていると思われる貴族が、私を睨んでくるのがわかった。
まあ、睨まれてもいいわ。
「ギルティナ・エリスフォード公爵令嬢。貴女は、オートレイス王国に留学の身でありながら、とても多くの事に貢献したため、褒美を与える。欲しいものはあるか?」
この国には確か、私が前世使っていた指輪があった気がする。いや、位置は同じだが、旧名のウトレイル王国と言ったほうがいいだろうか。
「―――旧名ウトレイル王国に残されている《生命の知恵輪》という指輪、あれば褒美としていただきたい次第です」
頭を下げたまま、こっそりと視線を国王に向けた。
王は、側近に宝物庫から探すよう命令していた。
生命の知恵輪とは、どんな時でも止まることなく、生命の歴史を刻む特別な指輪である。
私が転生するまでの空白千年。何が起きて、どう変わったのかがイマイチ理解できていなのよね。
理解するための手段として、指輪を手元に置いておきたい。
そういう狙いがあっての事。それと、使い方が判明されると、とても厄介である為でもあるわね。
程なくして、王が私に言った。
「《生命の知恵輪》を褒美として与える。大切に使うと良い」
「ありがたき幸せ」
私は王に深々と頭を下げ、出ていった。こういう礼儀は前世でやりつくしたと言っても過言ではない為、楽だわ。
「ギルティナ? いつもと全然雰囲気が異なっていたわね」
「当たり前だわ! 緊張だってあるわよ?」
フィオナはクスクスと笑いながら話を進めていく。
「ていうか、その《生命の知恵輪》て何なのよ? まさかただの飾りとか言うんじゃないでしょうね?」
「違うわよ! これは私にとっては重要なもの―――」
「しー。なんか気配がするわ」
フィオナは、私の話を遮って、耳打ちしてきた。
私はとっくに気づいていたのだけれど、フィオナが気づくか試していた。やはり成長が早い。とてもいいことではあるわね!
「また、厄介なことにならなければいいのだけれど……」
フィオナはそう、小声で言った。
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