帝国聖女
帝国の森林は原形をとどめていなかった。帝王が逃げ込んだのは森林。木々が生えている場所なら、気配察知が困難と思ったのだろう。だけど、私の研ぎ澄まされた気配察知能力の前には意味がない。
「……」
無事に理性を取り戻した私。体が暴走しなくて何よりで安心した。
帝王の気配は完全に消えていた。あの瞬間は帝王ですらにげることはできない。あの技は禁忌。絶対に使ってはならな―――
「久しいですね。ギルティナ……いいえ、剣聖ギルフォード」
「――!?」
■
青白い光が帝国方面から見えた。
「ギルティナ……大丈夫よね……」
フィオナはギルティナを心配し、その後ろにはシルビア先生がいた。
「あいつなら大丈夫だろう。確かにあいつは馬鹿だが……実力は確かだ」
シルビア先生は腕を組み、自信満々に言った。
「私はギルティナを見ていないが……あの短期間で実力を示してくれたのだ」
「ええ……そうですね。シルビア先生。ギルティナなら……必ず……」
■
「ぐあッ―――!?」
壁にたたきつけられた。
「あなたは―――聖女?」
「そう、私は聖女フレン」
聖女は……帝国嘘じゃなかったのね。
聖女フレンの目は緑。自然の魔力を自然に纏っている。
「帝王……倒しちゃったの?」
「なにか? 悪いことでもした?」
「別に~」
そんな軽い反応に私は拍子抜けした。もう少し怒るかと思っていたけれど……こんな軽いとは思ってもいなかった。
「でも……あなたは厄介だから」
「厄介だから?」
「始末させてもらうわ」
立ち上がって大剣を構える。視界が一瞬ぼやけるが、まだ体は持つはず。
「へぇ……さっきの攻撃を受けて立ち上がれるんだ。さっきの魔法は特殊詠唱だったんだけどな~」
特殊詠唱とは、限られた人物にしか扱えない魔法私も使えるのだけれど……この体じゃ耐えれないかもしれない。
「戦界閃光―――防御魔法陣展開」
二重詠唱式を唱えた。
「へえ……通常の人間には使えないロストマジックなのにね。しかも……何回も使えるって……演算能力が高いのかしら」
二重詠唱は、一個の脳に二つの魔法式を構築する。その工程は最も脳に負荷がかかる時。いくら魔法ができたとしても、耐えれる者は少ない。
「ッ……」
さすがに限界が近づいてきた。何か決め手が欲しいところ……。剣技、魔法の両方を使うのはこの身体では厳しかったのかもしれない。
遅れました
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