帝王よこんばんわ
帝国王都―――アクトロス。
ここは帝国にしては綺麗で、人々の治安も悪くない。そして、ここには帝王がいる城がある。
■
少し前のこと。
先の戦闘が終わり、少しずつ疲労が溜まっていた。その時……
「直接王城攻めればいいんだわ!」
■
そして今現在、王城前にいる。
帝王がどんな奴かは知らないけど、私は元剣聖。世界に名を轟かせた最強の剣士。負けるわけないわ。
負けると思ってたら一生勝てない。意地でも勝つと心に誓えば必ずとは言えないが、勝てるようになるでしょう。
「帝王と言うだけあって、とても強いはず。気を抜いてはならない」
私は王城の屋根まで飛んだ。先制攻撃を仕掛ける。
「重斬」
その瞬間、屋根が吹き飛んだ。
城の外壁が崩れ、落ちていく。
■
「なんだ」
帝王は城の揺れを感じた。そして、遅れて何かが崩れる音がした。
「襲撃ですッ!!」
「なに?」
「空中に人影があります! おそらく王国軍の者……至急対応をお願いします!」
「俺自身が行こう。王国軍の者がどれほどなのか……」
「ハッ!」
帝王は立ち上がった。重い鎧を着ているが、表所は一つも変わっていない。
■
「帝王……出てきなさいッ! 私はギルティナ・エリスフォード。王国軍よ」
「貴様か……精霊国の時……邪魔をしてくれたのは」
とても低い声が、私の鼓膜に響いた。
いくつもの戦いを経験してきた私でさえ、肩が震えた。圧……そして殺気。
「ええ。そうよ」
「女だと聞いていたが、こんな小娘だとは」
「こんな小娘に負ける帝国なんて敵じゃないわ」
大剣を構えた。
帝王もこちらに剣を向けた。帝王の剣はただの剣ではなく、魔剣だった。剣単体から出る魔力は異常で、グランドの力に匹敵するほどの力があった。
■
私が前世の戦場で考えた技、今ここで使う。
『戦界閃光―――気配消去』
帝王の視界からギルティナが消えた。気配も完全に消えている。
ギルティナは、戦界閃光と同時に気配消去を唱えていた。それは今や再現できないロストマジック――― 《二重詠唱》だった。
二重詠唱は、メインの詠唱に重ねて唱える技術なのだが、成功させるには脳で術を二つに分けなければならない。こんがらがると失敗する。
二重詠唱のメリットとしては、混合魔法を使うことができるためである。
それと同じで、剣に応用しただけ。仕組みは同じだからね。
「二重詠唱というわけか。ロストマジックを扱える小娘……そういえど、限界はある」
今だ。
後ろから攻撃を仕掛けた。そして―――
「遅い」
簡単に剣で弾かれ、軌道をずらされた。相手の剣は魔剣。だが、大剣の重さを考えれば弾くのはきつい筈。なのに―――なぜ?
「小娘よ……なぜ弾かれたか知りたいか?」
「ええ。当たり前だわ」
「この魔剣……大剣殺しと言われている。その名の通り、大剣を殺す《壊す》という意味だ」
大剣には特段の耐性があるというわけ、ね。さすがに予想してなかったわ。
この戦いは長引きそうね。被害があまり出なければいいけど……。
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