エンジン開発成功
変な感覚になった。フラント公国に滞在を始めてから二日目の事だった。
『はあ、結局私の言葉を信じなかったのね』
「あんたの言葉を信じて何になるのよ」
『ま、別に信じてもらわなくてもいいし。ただ、あなたの向かう先には破滅しかない事になるけど、それでもいいなら、ね』
「そうやってほざいてればいいわよ」
『あっそ。でも一つだけ本当に警告しておくわ。私より厄介な存在はいる。それだけは忘れてはダメだからね?』
「回りくどい言い方ね。しっかり伝えることができないの?」
『うっさい!! 文句言わずに聞きなさい!』
女神が大きな咳ばらいをした。そしてまたしゃべる。
『とにかく、言いたいことは―――私を倒したからと言って油断はしないほうがいいと言う事。まああんたごときに倒されるわけないんだけどね。んじゃ、またね~』
■
「はあ……」
私は大きなため息をした。他の開発者の人たちと食事中の時だった。
「そんな大きなため息ついちゃって……」
「そうだぞ。ストレスを溜め込みすぎるのは良くない。俺達に言ってくれれば、たまには開発を休んでいいんだぞ」
「ありがとうございます」
元気な声をだす気力もない。疲れすぎている。
■
「エンジン……どんな仕組みにすれば……」
「現在主流の空気圧縮式魔力混合エンジンは、電気を主に使う。そのため加速は速いものの、コストがかかる」
となると……魔力を溜められるタンクを設置し、空気中の微小魔力も使うハイブリット機構を作ろう。加速したときには溜めてあるタンクの魔力と、空気中の微小魔力を同時に送り込み、ゆっくり飛行するときは、微小魔力。加速から減速するときには、魔力回生機構を作り、微小魔力を魔力になる基準値にまで集めて、タンクに溜める。
いいエンジンが作れそうね……。
「エンジン、機体共に少々巨大化するけど、いいエンジンが作れそうよ!」
早速、エンジンの仕組みを書き、設計図を描き出した。
「このエンジン……最高ね! でも、冷却方法は?」
「空冷と水冷をあわせる」
「了解」
空冷だけでも冷却には問題はないが、加速時に膨大な熱が発生する為、即時加速が困難になる可能性がある。そのため水冷で冷やす。
私の作った第二世代目のエンジンは最強になるわ。
■
エンジンが組み上がったのは、設計してから約一ヶ月だった。
「パーツは魔力合金削り出し。強度は文句無し。後は不具合がないか……」
私達の何倍もある大きさのエンジンを起動させる。どれだけの質量が発生するかは予想してある。大丈夫、大丈夫だわ……。必ず、起動できるはず。
「起動!」
エンジンが回る瞬間、風が私達に襲いかかった。
耳をつんざく音がし、エンジン出力をあげる事に風が強くなっていく。
「加速、冷却ともに問題ないです!」
「出力下げて、減速!」
出力を下げた瞬間、エンジン内部のタービンが逆に回り低音が出る。さらに減速したことによって内部の高圧魔力が燃焼を起こし、火が吹き出た。
「停止!」
エンジンが止まり、静かになった。
「成功だわ」
開発者全員が喜んだ。
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