飛行船、グランドマスター
「隣国へ訪問するため、護衛を頼む」
私達、近衛兵兼剣技、魔法師範は、王からそう言われた。
「行き先はどこですか?」
この国は、面積が広いため、三方向に国がある。帝国はまずないとして、残り二つ……和平交渉は済んでいるため、それ以外の訪問となると、伝統的なイベント等に招待されたのだろう。
「フラント公国だ。あそこは、飛行船技術が発展している為、我々の魔力技術と合わされば、最強の飛行船を作れるはずだ。こちらからしても、技術提供の見返りとして、飛行船提供の約束もある」
「なるほど……」
「でも、この国で作った飛行船があるはずよ!」
「ああ……あるにはあるんだが……まあ見てもらったほうが早い」
■
王城の地下、夏なのに肌寒い。薄暗い大きな空間。
「ここだ」
魔力を流すと電気がついた。
「大きい」
「ああ」
「これは、グランドマスター?」
「そうだ。当時の最先端だった」
グランドマスター。私が一から作成し、最先端技術を詰め込んだ最高傑作。駆動方式は魔力圧縮爆発エンジン。これを高速で行うことによって、速く進むことが出る。全ては、魔力循環で動かしている、というわけ。
「現在のエンジンの仕組みは?」
「空気圧縮式魔力混合エンジンだ」
やはり千年で大きく変わっている。私も空気圧縮式を採用しようとしたが、欠点が多すぎた為やめた。その欠点を補う力があるなら、一から作ればいいと言う結論に至っただけなんだけど、ね。
「なぜ、魔力圧縮爆発エンジンを採用しなかったの?」
「ロストテクノロジーと言って、失われた技術なんだよ。なにせ、設計図が見当たらなくてな」
「解析などはしたのですか?」
フィオナが質問をした。どうやら、剣聖の残したものには興味があるようだ。
「解析はしたが、複雑で解析不可能な場所があった」
「動かすことはできるはずよね!」
「ああ、気になるか? 動かしてみよう」
■
乗り込んだ。懐かしい景色。船内は綺麗に掃除されていて、千年前の品物だと言われるまで気づかない程だった。
グランドマスターの起動方法は、青い魔力を持つ王族か、私だけ。
「起動」
コックピットにある画面にエンジンの図が映る。機体後部からグォオーンと言う音がし、機体が微振動する。
「よくわからないのが、エンジンの回転の持続なんだ。起動時、必ず魔力を少量持っていかれるのだが、それだけじゃ、エンジンはすぐ止まるはずなのだが―――」
「空気中の微小な魔力を基準値まで一瞬で溜めてぇー溜まったら圧縮し、爆発するのだわ!」
私は言ってしまった。つい、自慢したくなってしまった。
「え?」
「は?」
二人が目を丸くしていた。
「ほ、ほら? エネルギーの流れが画面に出てるでしょ? ね?」
「確かに……気になってはいたが、空気を入れると思われていた場所は、実は魔力を集めるための穴だったのか。よく考えられている」
画面には、発電中の文字があった。徐々に、船内の照明がつきはじめ、コックピットの複数の画面をついた。
「まだ動く……なんのエラーもない。剣聖様は全知全能だったのだろう」
エンジンなんて、いくらでも作れたし、これよりすごいのもあるんだよね。防御、攻撃を重視し、戦争時にも壊れないような機能をつけている。それは……まあ次戦争が起きた時に使えば良いでしょう。
「では、グランドマスターで隣国へ行くことにしましょう」
「ああ、そうしよう」
そう言い、グランドマスターの電源を切った。
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