何事もない、日常
戦争終結から一年。私達の見習い期間は終わり、正式にこの国に仕えることになった。学園は五年制なので、勝手に卒業されない。
それと―――
「師匠。今日も剣技をお願いします」
「いいわよ!」
ハルト、毎日見ていたからよくわからなかったけど、こう見ると、一年でとても成長した。背も伸びたし……顔も……いやいや、私は師匠、前世は男だっつーの……危ない危ない。
「師匠! 今日も剣技を教えてなのですわ!」
ローズもだいぶ成長した。私と並ぶほどの大きさ……成長速いわね。
「じゃあ、二人同時にかかってきなさい!」
レイピアを構えた。木刀ではなく、真剣で。二人は怪我しないはず……いや、怪我しないと見ている。
「始め!」
合図した瞬間、二人が視界から消えた。気配は左右から。左ははハルト、右はローズだろう。気配隠蔽が甘い。気配が消せていないのは、剣士としては致命的。そこは後で指導を施そう。
「甘いわよ」
左からの攻撃を弾き、すぐさま右へと体を捻り、交わす。ハルトを蹴り飛ばす。
「隙ありなのだわ―――」
ハルトを壁代わりにし、一瞬でローズの背後へと回る。そして―――
「チェックメイト」
ローズが倒れた。
「くッ……師匠……強いです」
「また負けた……のだわ」
「ふたりとも、この一年で大きく成長したわ。余裕があると思うなら、フィオナから魔法も学ぶのもありよ」
「「はい!」」
■
夜。
「一年はあっという間ね。そう考えると、故郷に帰りたいと思ってしまうわ」
フィオナがボソッと呟いた。
わからないこともない。でもこの段階は、私達の成長を飛躍的に行ってくれる大事なステップでもある。さらに、私達は王の護衛と言う任務が与えられている。本格的に始まるのはいつか……それはわからないけど、すぐに行けるよう私たちは準備しておく。
「そうね。両親はいまどうしているかな」
「ギルティナがそんなこと言うのね。いつも元気だから、そんなテンションの低さ見たことないわ」
「私だって、これくらいはあるわよ。真剣な話とか、空気読むものでしょう?」
「……まあそうね」
咳ばらいをした。
「ほら、もう遅いわ! 寝ましょう!」
「はいはい」
そうして部屋に戻っていく。前世では得られなかったもの、二度目の人生では得られればいいと思う。この最高の日々が続いてほしい。
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