戦争は無事終わる
身体がもう動かない。戦争の激戦区……に行くことはできない。私は瓦礫に背中を付けた。魔力は余っているが、回復までには時間がかかる。寝ていたほうが早く回復するだろう。
意識が薄れていく。ほんの少しの休憩……良いじゃないの……。
■
起きたときには夜だった。視界には見慣れた天井。いい匂いがする。
「起きた? 随分長かったわね」
「戦争……行かないとッ!!」
「ちょッ……落ち着いて」
「そんな事言ってる間だって―――」
「戦争は、ブルーウォームの圧勝で終わったわよ」
「へ?」
私はそれを聞いて、頭が真っ白になった。まさか……私が寝てる間に戦争が終わっているなんて……経験したことなかったから。
「ギルティナ……あなたは今噂になっているわ」
「なんでよ?」
「幹部と思われる遺体の近くに、ギルティナが気絶してたんだもの。で、五人倒したのが、この国にいた伝説の剣聖―――ギルフォード。だから貴方は剣聖の生まれ変わりだと言われているわ」
私はビクッとした。一瞬バレたかと思ったけど、ただの例えなのね……。
「それと……その剣」
「うッ――」
「かっこいいわね。レイピアと併用するのに良いわね」
「そ、そうね!」
その時、扉がノックされた。夜に誰かが尋ねてくるのは珍しい。
「ギルティナよ、起きたと聞いて尋ねた。開けてもらいたい」
この声は王の声だ。
「どうぞ」
私が答える前にフィオナが答えた。別に断ろうとは思ってなかったのだけれど……ね。
「フィオナもいたのか。看病感謝する。だが少しギルティナと話したいことがある」
「了解しました」
フィオナは王の意図を理解し、部屋を出た。
「これで君は英雄だな」
「英雄にはなりたくないわよ」
「まさかそこまでの力があるとは思わなかった。幹部を四人倒したということは、剣聖の記録に最も近い。誰にも破られない記録だろう」
「いえ、そんなことは」
「だが、君は剣聖に匹敵するほどの実力を持っている。それと、謝罪したい」
王から、急にそう言われた。王が謝罪……? いやダメでしょ……ダメすぎるでしょ。
「しゃ、謝罪は大丈夫ですわッ! 国王陛下が頭を下げるなど―――」
「いいや、言わせてもらう。すまなかった。辛かっただろう。戦争に出したこと、私は後悔している。大事には至らなくて良かったと思う。そして、よくやってくれた。今度表彰がある。楽しみにしていてほしい」
しれっとそう言われた。この家系は皆、無意識に大事なことを言ってしまうのか……まあ昔から変わらないのか。よく染み付いているのね。
「はい、分かりました。夜遅くにありがとうございます」
「元気がないな」
「戦って疲れているだけです。それと、陛下の前なので、いつもの元気さは出さないようにと――」
「堅苦しいのはいい。これからは好きに呼ぶと良い。俺はギルティナと呼ぶ」
「良いのですか?」
「ああ、俺は正直、フラットの方が良い。立場は関係ない」
ああ、これはアイツの血を濃く受け継いでいる証拠だわ。懐かしい。
「分かった」
「それでいい」
私達は笑った。
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