私は心から怒っている
気配は残り二人……。身体はもうボロボロ。歩くのですらままならないわけだが……。
『主。自動回復機能を開始しているのだ。もうすぐ元通りなのだ』
「余計なお世話よ……」
『そんな事を言わないでほしいのだ! こっちだって、やりたくてやってるわけじゃないのだ』
その時、上から気配が二つ現れた。私はそれを感知し、すぐ避けた。
「身体、痛いっていうのに……」
「ふーん……なかなか可愛いわね。そう思うでしょ?」
「そうね、お姉ちゃん。この子が、他の幹部を倒したとは思えないわ」
こいつらだ……代々双子の家系……前世で私の大事なものを奪った家系。私は剣に力を込めた。この二人は強い。見て分かる。
「あらあら? 剣を構えちゃって、私達に歯向かおうとするのね?」
「ふふ……そんなこと、無意味なのに、ね」
気配が消えた。厄介だ。この能力は千年前から変わっていないのか……。
「チッ……」
『主? 広範囲攻撃を使えば良いのだ!』
「バカ……ここで使えるわけ―――」
飛ばされた。だが、空中で体制を立て直す―――はずだった。空中で何度も蹴られる。骨が折れた。痛い……ただでさえボロボロだと言うのに……
「ゲホッ」
吐血しだ。グランドを杖代わりにし、なんとか立っている。
「あら? もう終わり? つまらないわねぇ……もっと楽しませてよねぇっ!!」
真空斬撃が、双子から同時に放たれた。私は折れた骨を魔力で無理やりくっつけて避けた。あまり魔力は消費させたくないが、今の状況じゃ、そんな事を言ってられない。
魔力で身体を完全回復をさせ、魔力で身体強化を施した。
一気に魔力が持ってかれたが、私の膨大な魔力には影響ない。そして私は笑って、眼を瞑る。
「なに? なぜ笑っているの?」
目を開ける。その眼は、赤い目に変わっていた。
「少し、本気を見せてあげる」
私も気配を消す。倒壊した建物の壁を伝う。この双子の家系は、遠距離攻撃を苦手とする。
「弓に変形して」
『了解なのだ』
魔力で弓を生成し、撃つ。魔力矢にブースト用魔法陣を重ねがけする。これで、避ける隙を与えない。私は怒っているのだ。
「ッ―――!?」
姉の腹部を貫く。
「お姉!!」
この隙を狙って、三本同時に撃つ。一本は姉側の頭。もう二本は妹側の足、頭用。
ドドン、と言う弓から発せられる音ではない音がなり、双子に向かう。
「さっさと死ねよ」
私は無意識の内に、そう言っていた。だが、私の本音でもあった。心の底から思っていたことを、ただ言っただけなのだろう。
「―――ッ!?」
矢が頭と足に当たる音がした。とてもグロい。でも、私は何千、何万と、その光景を見てきた。今更グロいと言える神経ではない。
双子は、倒れた。もう、動くことはなかった。この家系の事を徹底的に調べていたお陰か、簡単に倒せてしまった。
まあ、苦労しなくて済んだと思えばなにもない。
「幹部を倒した事によって、帝王は更に起こるでしょう……もしかしたら……聖女を出してくるかもしれない……」
『帝王は臆病なのだ! 自分から戦争に赴こうとはしないのだ!』
「そうね」
私は腕に力が入らず、グランドを持つ力すらなく、グランドを引きずって移動する。
『主! 痛い、痛った……痛ったいのだ! 今すぐ持つのであっ!?』
「グランド、うるさいわよ」
そう言いながら、私は笑った。
戦争は、もうすぐ終わるはずだ。
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