戦争とは、人の過ち
「ねぇ、戦争って喧嘩なの?」
前世で、子供にそんなことを聞かれた。
「戦争は喧嘩に見えて喧嘩じゃない。だれも止めない、いや止められない。喧嘩なら、ケガだけで済む。だが、戦争はそれだけじゃない。死人が出る、そして人を殺すと言う事は、精神的に呪いがかかる」
「その呪いってなに?」
「罪悪感、後悔。それが一生残る。人を殺した感覚が気持ち悪いほどに。まだ、君は子供だ。後悔しない様、生きてほしい」
「うん!」
■
古い記憶に浸りながら歩く。
「ケホッ……」
王都はまだ綺麗な状態だ。死者は多少出ているだろうが、まだ少ない。骨が折れたか、ひびが入っているかもしれない。
歩くのも一苦労だ。
「ギルティナ!」
「フィオナ?」
近づこうとしたが、距離を取った。
「どうして離れるの……?」
「フィオナ……じゃないでしょ」
「チッ……」
フィオナだった顔が変わる。
「女なのね」
「そうよ。なにか?」
「顔を変えなきゃ、自信がつかないヘタレなのね」
私は煽る。
「あぁ? なめてんのかぁあ?」
剣を構える。
『主、こいつ、ただの人間ではないのだ。改造されているのだ』
帝国、ここまで非道なことを……。
私は、相手の視界から消える。
「バレバレよ」
簡単にグランドを止めた。手が変形し、触手になっている。
距離を取る。相手の反応速度は異常なほど早い。先ほどの速さで反応できるなら、魔力を使って、速度を上げても簡単にかわされるか、止められる。
私はグランドの先端に魔力を集めた。これから放つ技は、発射されるまでは目に見えるが、放たれた瞬間、魔力の気配が消える技。
デメリットは、まぁ……固有詠唱がある事。
『充填率100%』
「サイレント・バースト」
「見え見えな技を撃ったところで、私には意味がな―――」
女の体に、無数の穴が空く。血がドバドバと出る。女は一瞬固まったかと思ったが、すぐにこちらを向いた。その顔は笑っていた。
「へぇ……なかなかやるじゃない? でも、それだけじゃぁ……私は倒せない」
女の体に空いた穴はすぐにふさがる。体が改造されているとグランドが言っていた時に、再生する可能性があると考えていたが、やはりそうだった。
少しだけ……実力を見せてあげる。アンザーの時ほどではないけど。
軽くご挨拶程度。残像百体を出現。その中の一体を本物だと思わせるために、構える動きをする。これを本物だと思い込むはずだ。
「バレバレッ―――」
そちらに意識を向けている間に、後ろから攻撃を仕掛ける。
ドゴゴゴォォォン、という音と共に土埃ができる。やがてそれが晴れると―――
血だらけの女。首は斬れて、転がっている。
「なぜ……」
「アンザーより、弱いわね。改造体のくせに」
「だま……れ」
女は白目をむき、息絶えた。
あの時の子供の質問を思い出す。
「戦争って、なんだろうな」
笑う。いつもの元気さはなく、そこには、一刻も早く戦争を終わらせたい思いがあった。
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